報道発表資料
2025年03月28日
- 地球環境
パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)アドバイザリーグループ第2回会合を実施しました
1. 2025年3月11日から同月12日にかけて、パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)のアドバイザリーグループ第2回会合を開催しました。
2. アドバイザリーグループ会合では、パリ協定6条の実施に関わる政府担当者や国際機関をはじめとする実施支援機関、民間企業等が参加し、6条の実施状況(削減・吸収プロジェクト及びその可能性)にかかる現状の確認、事業形成・実施における成功事例や炭素事業の経験の共有、民間が実施する排出削減認証制度(Independent Crediting Standard)が6条のルールに沿って活用されるために必要な事項、6条に基づく事業形成及び実施における課題及び今後の方向性が議論されました。その上で、2025年度のA6IPセンターの活動及び2030年から2050年に向けた中長期計画案について活発な議論が行われました。
3. 環境省では、「パリ協定6条実施パートナーシップ」等を通じた具体的なプロジェクトのさらなる拡大・加速や6条に基づく取組の世界各国への展開に取り組んでいきます。
2. アドバイザリーグループ会合では、パリ協定6条の実施に関わる政府担当者や国際機関をはじめとする実施支援機関、民間企業等が参加し、6条の実施状況(削減・吸収プロジェクト及びその可能性)にかかる現状の確認、事業形成・実施における成功事例や炭素事業の経験の共有、民間が実施する排出削減認証制度(Independent Crediting Standard)が6条のルールに沿って活用されるために必要な事項、6条に基づく事業形成及び実施における課題及び今後の方向性が議論されました。その上で、2025年度のA6IPセンターの活動及び2030年から2050年に向けた中長期計画案について活発な議論が行われました。
3. 環境省では、「パリ協定6条実施パートナーシップ」等を通じた具体的なプロジェクトのさらなる拡大・加速や6条に基づく取組の世界各国への展開に取り組んでいきます。
1. 参加国等
英国、イタリア共和国、インド共和国、インドネシア共和国、オーストラリア連邦、カナダ、シンガポール共和国、スウェーデン王国、タイ王国、チリ共和国、ドイツ連邦共和国、ニュージーランド、ノルウェー王国、バハマ国、フランス共和国、アジア開発銀行(ADB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、CAD-TRUST、グローバルグリーン成長機構(GGGI)、経済協力開発機構(OECD)、米州開発銀行(IDB)、国際排出量取引協会(IETA)、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画コペンハーゲン気候センター(UNEP-CCC)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、国連大学サステナビリティ研究所(UNU-IAS)、世界銀行、The European Roundtable on Climate Change and Sustainable Transition(ERCST)、Integrity Council for Voluntary Carbon Market (ICVCM)、Voluntary Carbon Market Integrity Initiative(VCMI)、公益財団法人地球環境センター(GEC)、日本エネルギー経済研究所、Gold Standard
日本国環境省、パリ協定6条実施パートナーシップセンター
日本国環境省、パリ協定6条実施パートナーシップセンター
2. 主な議論内容
(1) セッション1: パリ協定6条の実施、プロジェクト、その潜在的可能性に関するグローバルな現状
A6IPセンターより、昨年11月にセンターが発行した「パリ協定6条実施状況報告書」に基づきパリ協定6条の実施の現状について発表があり、今後の可能性や対処すべき課題等について議論が行われました。パリ協定6条の実施に向けた関心は高いものの、具体的な事業の実施は限定的であり、今後のクレジット需要に応えていくには、様々なアプローチ、基準、方法論、MRVシステムを調和させつつ、実際のプロジェクト経験を共有し、より多くの民間事業者の参加を促す必要性を確認しました。
日本国環境省からは、環境十全性を損なうことなく、JCMの制度をより使いやすい仕組みに変えていく必要性や具体的なプロジェクトのさらなる拡大・加速の重要性について発表を行いました。
(2) セッション2:プロジェクト開発の成功事例とビジネスマッチングの経験
メタンの排出削減や交通分野の排出削減等のクレジット創出の具体的なプロジェクトの実例に照らし、成功要因として、関係者のコミットメント、ガイドライン等を通じたルールの明確化、透明性の高いシステム、実践を通じた学習等について言及がありました。一方で、課題として、資金調達、ルールの複雑さ、政府間交渉の状況に影響を受けやすいこと等について指摘がありました。
(3)セッション3:パリ協定6条に基づく信頼性の高い民間クレジット制度の利用促進
A6IPセンターから、2023年4月のG7環境・エネルギー・気候変動大臣会合のコミュニケにて採択された「質の高い炭素市場原則」について発表があり、パリ協定6条の実施に向けて民間が実施するクレジット認証制度の活用やその報告の支援等を促していくことが必要との指摘がありました。
(4)セッション4:パリ協定6条のプロジェクト形成を促進し、実施を強化するための課題とアプローチ
A6IPセンターから、パリ協定6条実施促進に向けて行われてきた能力構築活動や6条実施報告書における課題について報告が行われ、A6IPの活動を通じた可能性が討議されました。議論を通じて下記の事項が挙げられました。
● パリ協定6条に関する知識だけでなく、京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM)やJCMなどから得られた経験に関するリソースやノウハウの蓄積が重要
● パリ協定6条に関する知識だけでなく、京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM)やJCMなどから得られた経験に関するリソースやノウハウの蓄積が重要
● ケーススタディや教訓など優良事例の集約と情報公開を通じ経験共有と様々なステークホルダーの対話促進
● 気候変動対策資金を通じたパリ協定6条の実施に貢献する方策の検討
(5)セッション5:A6IPの2025年度活動計画と中長期活動計画
A6IPセンターから、パリ協定6条に沿ったプロジェクト開発と実施を中心に据えた2025年度の活動計画案及び中長期の活動計画案について発表を行いました。参加国及び機関から、ネットゼロに向けたA6IPの各パートナー及びA6IPセンターとして取り組むべき課題や活動目標のあり方について様々な意見が挙げられました。


3. パリ協定6条とJCMについて
(1) パリ協定では、すべての国がNDC等を定めることが規定されています。一方、世界の温室効果ガスの排出削減・吸収を効率的に進めるため、パリ協定6条には、国際的に協力して排出を減らしたり吸収を増やす対策を行い、その効果を、国際的に移転するという協力枠組みが規定されています。パリ協定6条の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガス排出量の更なる削減のほか、持続可能な開発にも寄与することが期待されています。
・パリ協定
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000810.html
・パリ協定6条の解説:
http://carbon-markets.env.go.jp/mkt-mech/climate/paris.html
(2) 日本国は、パリ協定6条に沿ったJCM(Joint Crediting Mechanism)という取り組みを実施しています。JCMとは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガス(GHG)の削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。
日本とパートナー国双方のNDC(Nationally Determined Contribution:排出削減目標)に貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の社会・経済・環境面の各種課題の解決(持続可能な発展)にも寄与するものです。
2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに29か国※とJCMを構築し、250件以上のプロジェクトを実施中です。
※ モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国及びウクライナの29か国。
(3)パリ協定6条実施パートナーシップについて
「パリ協定6条実施パートナーシップ」は、パリ協定6条に関する能力構築を支援するため、2022年のCOP27において環境省が主導して立ち上げたパートナーシップです。
2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」が公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立され、環境省が運営資金を拠出しています。現在、パートナーシップには86の国、200以上の機関・企業等が参加(2025年2月末時点)しています。
※パリ協定6条実施パートナーシップセンターの「6条実施状況報告書」の発行について
https://www.env.go.jp/press/press_04056.html
・パリ協定
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000810.html
・パリ協定6条の解説:
http://carbon-markets.env.go.jp/mkt-mech/climate/paris.html
(2) 日本国は、パリ協定6条に沿ったJCM(Joint Crediting Mechanism)という取り組みを実施しています。JCMとは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガス(GHG)の削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。
日本とパートナー国双方のNDC(Nationally Determined Contribution:排出削減目標)に貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の社会・経済・環境面の各種課題の解決(持続可能な発展)にも寄与するものです。
2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに29か国※とJCMを構築し、250件以上のプロジェクトを実施中です。
※ モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国及びウクライナの29か国。
(3)パリ協定6条実施パートナーシップについて
「パリ協定6条実施パートナーシップ」は、パリ協定6条に関する能力構築を支援するため、2022年のCOP27において環境省が主導して立ち上げたパートナーシップです。
2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」が公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立され、環境省が運営資金を拠出しています。現在、パートナーシップには86の国、200以上の機関・企業等が参加(2025年2月末時点)しています。
※パリ協定6条実施パートナーシップセンターの「6条実施状況報告書」の発行について
https://www.env.go.jp/press/press_04056.html
連絡先
環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8246
- 室長
- 飯野 暁
- 室長補佐
- 髙橋 健太郎
- 主査
- 岡島 裕香