報道発表資料

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2025年03月13日
  • 地球環境

インドにて日本・インド環境ビジネス促進セミナーを開催しました

1.2025年3月4日(火)、インド共和国(ニューデリー)にて、インドの環境問題の解決と持続可能な社会の構築に貢献する技術や取組みに関して相互情報共有することを目的に日本・インド環境ビジネス促進セミナーを開催しました。

2.午前は、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM※1)スキームの概要、プロジェクト開発の流れ、資金支援事業、優良事例について発表がありました。

3.午後には、日本企業を中心に有望な技術や取組に関してビジネスピッチが行われた他、続くパネルディスカッションでは、脱炭素社会や持続可能な社会の実現に向けた日本・インドの協力の可能性、インドのネットゼロ社会に向けた技術協力の役割について政府機関・民間企業交えて議論が交わされ、クロージングとして、インド商工会議所連盟(FICCI)のシャルマ氏及び環境省松澤地球環境審議官より日印の脱炭素におけるビジネス協力の重要性が強調されました。

※1 JCMは、パリ協定第6条に沿って、パートナー国において優れた脱炭素技術等、製品、システム、サービス、インフラの普及や緩和活動を実施すると同時にパートナー国の持続可能な開発に貢献するものです。パートナー国で実施される緩和行動を通じて、日本からの温室効果ガス排出削減又は吸収への貢献を定量的に適切に評価し、それらの排出削減又は吸収によって日本及びパートナー国の排出削減目標の達成に貢献します。
https://www.env.go.jp/earth/jcm/index.html

■ 日本・インド環境ビジネス促進セミナー

(1)概要
 日時:2025年3月4日(火) 11:00-16:30(日本時間14:30-20:00)
 主催:日本国環境省
 後援:インド商工会議所連盟(FICCI)、インド日本商工会(JCCII)、地球環境戦略研究機関(IGES)、海外環境協力センター(OECC)
 会場:インド・ニューデリー The Leela Palace New Delhiホテル(対面)

(2)参加者
 政府機関・民間企業からおよそ120名の参加がありました。

(3)プログラム
開会挨拶
11:00-11:05 開会挨拶
日本国環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室 室長 飯野 暁

【概要】
インド・エネルギー資源研究所(TERI)や、FICCIを始めとするセミナー後援機関への感謝が示され、本セミナーの目的やプログラムの紹介を行い、本セミナーを通して相互が知見を得て、脱炭素に関するビジネス促進の重要性に触れ、ひいてはこれが日本とインドのJCMの開始に備えることになる旨を述べました。
基調講演
11:05-11:25 インドのエネルギー政策と脱炭素化政策、および協力の可能性
TERI特別フェロー(元環境森林・気候変動省事務次官、元気候変動交渉主席交渉官) ラジャーニ ランジャン ラシミ

【概要】 
世界全体に占めるインドの排出量や経済成長における立ち位置、脱炭素施策とその進展、将来の目標と政策の展望について紹介があった。加えて、脱炭素技術に関する促進方策として、国際炭素市場の活用に触れるとともに、インド政府が公表するパリ協定6条における14の活用分野について、日本との協力分野として期待ができる旨を述べました。
JCMおよびJCM案件開発の紹介
11:25-11:55 【概要】
JCMの最新動向および二国間クレジット制度日本基金(JFJCM)、JCM実現可能性調査、JCM事業形成について紹介が行われました。

JCMの最新動向
日本国環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室 室長補佐 木滑 黄平 

JFJCMの紹介
アジア開発銀行 気候変動スペシャリスト 村山 賢洋 

JCM実現可能性調査の紹介
パシフィックコンサルタンツ株式会社 国際開発部環境社会創造室 室長 野瀬 大樹

JCM事業の形成 
一般社団法人海外環境協力センター 研究員 蕗澤 音々
 
JCMパートナー国におけるJCM優良事例の紹介
11:55-12:30 【概要】
JCMパートナー国で実施した廃棄物発電と地熱発電に関するJCM案件およびインドで実施した圧縮バイオガス技術に関するJCM実現可能性調査について、下記のとおり3社の企業が発表しました。

ベトナム・バクニン省における廃棄物発電事業(JCM設備補助事業)
JFEエンジニアリング株式会社 環境本部海外事業部営業部 担当部長 高橋 元 

フィリピンにおける地熱発電事業(JCM設備補助事業)
Energy Development Corporation ビジネス開発グループ プロジェクト開発ヘッド フランシスコ カルロ サントス
 

インドにおける圧縮バイオガス技術(JCM実現可能性調査)
三菱商事インド株式会社 地球環境エネルギー・電力ソリューショングループ グループ長 岩本 修  
12:30-13:30 昼食 
インドにおけるグリーン経済投資を促進するポテンシャルプロジェクト
13:30-15:00 【概要】
インドにおけるグリーン経済とインドへの投資を刺激する潜在的なプロジェクトについて、下記のとおり7社の企業が、蓄電池・CCUS・水素など様々な分野における自社の技術について発表しました。

水素製造装置
カナデビア株式会社 Business Development Department グループヘッド サムビット モハンティ

アンモニア利用
株式会社IHI インド事業開発拠点事業開発本部 新エネルギー担当部長 坂野 貴司 

二酸化炭素回収(CDR)技術
インド三菱重工業株式会社 マネジングディレクター 木村 玲

太陽光発電+大容量蓄電池システム(BESS)
ファームドゥ株式会社 Indiahub E-Governance Private Limited ディレクター ヴィカッシュ シャルマ、サブラタ バッタチャーヤ

エネルギー管理システム
株式会社堀場製作所 ビジネスマネージャー クナール ソニ 

蒸気管理システム
株式会社テイエルブイ Sr Consulting Engineer ラヴィ ミシュラ 

コークス乾式消火設備(CDQ)
日本製鉄株式会社 ジェネラルマネージャー 中島 弘喜 
パネルディスカッション 
【概要】
 
インド政府、日本政府、民間企業、開発支援組織の代表者が、日印の環境協力に関するパネルディスカッションを行いました。
インド政府は、両国のエネルギー分野における長期的な協力実績に言及し、日本の省エネルギーセンターと連携して大規模産業や中小企業向けの省エネルギーガイドラインを作成したことを紹介しました。日本政府は、日印の環境技術協力の継続と、JCMが脱炭素と経済成長の両立を促進することへの期待を示し、ネットゼロ社会の実現には政府と民間の協力が不可欠であると述べました。
民間企業からは、ネットゼロ社会の構築には大規模な技術導入が必要であり、インド固有の条件や環境に配慮した日本の技術と資金の活用やJCMを含む炭素クレジット制度への期待が示されました。また、日本の開発援助機関は、クリーンでエネルギー効率の高い技術への投資を主流化するためには、政府や民間企業を含む関係者全体の認識向上が重要であると強調しました。

<パネリスト>

■ エネルギー効率局(インド電力省) 次官 ミルインド デオレ
■ 環境省地球環境局JCM推進室 室長 飯野 暁
■ Jindal Steel and Power Limited 最高調達責任者兼グリーン水素・ガス化部門責任者 ナヴィーン アローワット
■ Tata Steel常駐役員 スガンダ ジャヤスワル
■ インド商工会議所連盟(FICCI)環境・気候変動委員会共同委員長、グリーンコ・グループ最高サステナビリティ責任者 ランバブ パラバスツ博士
■ 国際協力機構(JICA)インド事務所 次長 高橋 明人 
ハイレベル講演
15:10-15:30 ハイレベルスピーチ
■ インド商工会議所連盟 資源効率・循環経済産業連合(RECEIC)会長 FICCIエレクトロニクス製造委員会委員長 パナソニックライフソリューションズ インド・南アジア地域会長 マニッシュ シャルマ
Chair FICCI Resource Efficiency and Circular Economy Industry Coalition (RECEIC), Chair FICCI Electronics Manufacturing Committee, Chairman Panasonic Life Solutions, India and South Asia 

【概要】 
インドにおける持続可能な社会経済の構築には、資源効率と循環経済が重要であると強調され、インドのG20議長国時に設立された「資源効率・循環経済連合」が産業界を代表してその促進を主導していることが紹介されました。また、エネルギー安全保障の推進には官民連携と期限付きの行動計画の策定が不可欠であり、蓄電池を例に挙げ、バリューチェーンやサプライチェーン・マネジメントなどの分野での日印協力の可能性に言及し、日本の中小企業の参加が歓迎されました。



■ 環境省地球環境審議官 松澤 裕 
【概要】 
本セミナーに関する関係機関への謝意が示され、脱炭素化は一国のみの努力では達成が困難であり、国際協力の重要性が強調されました。また、クレジット・メカニズムを通じた投資加速が効果的であることが言及され、日本とインド間のJCM枠組みを通じて、日本からインドへの投資促進を目指す考えが示されました。 
ビジネスネットワーキング
15:30-16:30 ビジネスネットワーキング

また、プログラム、登壇者、発表原稿・資料等は以下のサイトに順次掲載いたします。
http://carbon-markets.env.go.jp/index.html

 
 
 

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
飯野 暁
企画官
百瀬 嘉則
室長補佐
木滑 黄平

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