報道発表資料

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2024年10月10日
  • 地球環境

第1回パリ協定6条実施パートナーシップ専門家トレーニングを開催しました

1. 2024年9月25日から同年9月27日にかけて、神奈川県三浦郡葉山町にて、パリ協定6条実施パートナーシップセンター(以下、「A6IPセンター」という。)が、環境省等の協力の元、「パリ協定6条実施パートナーシップ(Paris Agreement Article 6 Implementation Partnership)」(以下、「A6IP」という。)の第1回専門家トレーニングを開催しました。

※ A6IPは、削減吸収対策を国家間で協力して行うことを定めたパリ協定6条のアプローチを世界に広く展開する協力枠組です。A6IPセンターは、関係各国・機関とともに、環境省が主導して立ち上げた「パリ協定6条実施パートナーシップ」の事務局であり、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立されています。

2. 世界20か国から22名のパリ協定6条関連の実務者が参加し、A6IPセンターや国際機関等の実務家とともに、①6条の実施に必要な仕組み、②各国の実例や課題、③6条の実施による温室効果ガスの排出削減目標であるNDC(国が決定する貢献)への活用等について、知見・経験を共有し、どのようにして6条に沿った取組を進めていくのか、議論しました。

3. 環境省としては、引き続き、多くの国や機関等にA6IPへの参加を働きかけるとともに、A6IPセンターを通じて、各国のニーズに応じた効果的な能力構築支援を進めていきます。

1.トレーニング会合の開催概要

【日時】
2024年9月25日 ~ 同年9月27日

【場所】
レクトーレ葉山湘南国際村(神奈川県三浦郡葉山町上山口1560—38)

【トレーニングの参加国】
オマーン国、カンボジア王国、ジンバブエ共和国、スリランカ民主社会主義共和国、チュニジア共和国、タイ王国、ナイジェリア連邦共和国、東ティモール民主共和国、フィリピン共和国、バハマ国、パプアニューギニア独立国、パラオ共和国、ブルネイ・ダルサラーム国、バングラデシュ人民共和国、ブータン王国、ブルンジ共和国、ベトナム社会主義共和国、モルディブ共和国、モンゴル国、ラオス人民民主共和国

【講義を提供してくださった国際機関等】
世界銀行、国連気候変動枠組条約事務局、IETA、国連環境計画コペンハーゲン気候センター、気候行動データトラスト、国際航空運送協会(いずれもオンラインにて参加)

2.実施したトレーニングの内容

以下のテーマについて、A6IPセンター及び国際機関等から講義を行ったうえで、演習形式でのディスカッションを行い、理解を深め、各国においての具体的な対策の検討の端緒としました。
 パリ協定6条の概要、6条活用の利点
 パリ協定6条2項に基づくCooperative Approach(協力的アプローチ)における「Authorization(承認)」、「Tracking and Recording (記録)」と国際的に移転される緩和成果(Internationally Transferred Mitigation Outcomes ITMOs)の「Reporting(報告)」、「Initial Report(初期報告)」、「Corresponding Adjustment(相当調整)」の手続
 パリ協定6条4項における国連管理メカニズムの準備体制構築
 パリ協定6条と国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)活用

3.パリ協定6条とA6IP・A6IPセンターについて

(1) パリ協定では、すべての国が自国の温室効果ガスの排出削減の目標(Nationally Determined Contribution:NDC)等を定めることが規定されています。一方、世界の温室効果ガスの排出削減・吸収を効率的に進めるため、パリ協定6条には、国際的に協力して排出を減らしたり吸収を増やす対策を行い、その効果を、国際的に移転するという協力枠組みが規定されています。
 パリ協定:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000810.html
 パリ協定6条の解説:http://carbon-markets.env.go.jp/mkt-mech/climate/paris.html

(2) パリ協定6条の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガス排出量の更なる削減のほか、持続可能な開発にも寄与することが期待されています。一方で、パリ協定6条を実施するための各国の体制構築や知見の共有等が必要とされています。

(3) こうした中、2022年のCOP27において、環境省が主導してパリ協定6条に関する能力構築を支援する「パリ協定6条実施パートナーシップ」を立ち上げました。また、2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」がIGESに設立され、環境省が運営資金を拠出しています。現在、パートナーシップには81の国、170以上の機関・企業等が参加(2024年9月時点)しています。

(4) パリ協定6条の実施に必要となる「承認」、「報告」、及び「記録」の国内の法制度や体制等は各国で状況が異なることから、それぞれの準備状況に応じた支援が必要になります。A6IPセンターは、各国の準備状況に応じた能力構築支援を展開するとともに、6条実施や能力構築支援に関する情報発信やパートナーシップの運営委員会、全体会合、分野別ワーキンググループ等の会議運営も実施等も行っています。
 【Webサイト(英語のみ)】https://a6partnership.org/

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
飯野 暁
室長補佐
髙橋 健太郎
主査
岡島 裕香