報道発表資料

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2024年03月22日
  • 地球環境

パリ協定6条実施パートナーシップアドバイザリーグループ会合を実施しました

1.2024年3月7日から8日にかけて、神奈川県三浦郡葉山町にて「パリ協定6条実施パートナーシップ」(以下、「A6IP」という。)の第1回アドバイザリーグループ会合が開催されました。

2.各国のパリ協定6条関連の実務者を中心に、世界中から48名(うち23名がオンライン)が参加し、①A6IPの取組及び活動計画、②各国・機関の6条実施及び能力構築の状況、③6条実施の迅速化に向けた協力と戦略、について共有及び議論しました。

3.環境省としては、パリ協定の1.5度目標の達成に向けて同協定6条(市場メカニズム)の活用により更なる世界的な削減を実現するためにも、今後も多くの国や機関等にA6IPへの参加を促すとともに、A6IPセンターを通じて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局や世界銀行といった国際機関等と連携し、COP28 で公表した「6条実施支援パッケージ」を通じて各国のニーズに応じた能力構築支援を行う予定です。

1.会議の概要

(1)日時 2024年3月7日~8日 9:30 ~ 18:00
   場所 湘南国際村センター(神奈川県三浦郡葉山町上山口1560—39)

(2)出席者等
<開会挨拶>日本国環境省 松澤裕 地球環境審議官
<参加国・機関> ※ オンライン参加も含む
 アメリカ合衆国、イギリス(英国)、イタリア共和国、オーストラリア連邦、カナダ、シンガポール共和国、スイス連邦、セネガル共和国、タイ王国、チリ共和国、ドイツ連邦共和国、ニュージーランド、ノルウェー王国、バハマ国、フィンランド共和国、フランス共和国
 アジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行(AfDB)、欧州復興開発銀行、CAD-TRUST、グローバルグリーン成長機構(GGGI)、経済協力開発機構(OECD)、研究開発湾岸機関(GORD)、国際排出量取引協会(IETA)、国連環境計画コペンハーゲン気候センター(UNEP-CCC)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、国連大学サステナビリティ研究所(UNU-IAS)、世界銀行、ERCST(The European Roundtable on Climate Change and Sustainable Transition)、NDCパートナーシップ、VCMI(Voluntary Carbon Market Integrity Initiative)

2.議論の概要

(1)セッション1:6条実施パートナーシップの紹介
A6IPセンターから、A6IPの設立背景と本会合の目的、さらには各国向け6条実施支援パッケージの開発状況について報告がありました。
 
(2)セッション2:6条実施の能力構築紹介
6条実施の能力構築支援を提供する国際機関及び6条実施に向けた国内体制構築を進める各国から、6条実施の状況、実施中の能力構築の取り組み、優良事例の共有、2024年以降の予定などについて共有がありました。
 
(3)セッション3:6条2項協力的アプローチガイダンス実施の能力構築紹介
A6IPセンターから、政府承認の実施体制や報告といった6条2項実施に必要な参加要件が示された後、世銀及びドイツ政府担当者から支援の事例が共有されました。また、A6IPセンターによるチュニジアでの能力構築支援例が紹介されました。
 
(4)セッション4:6条4項メカニズム実施の能力構築紹介
A6IPセンターから、6条4項メカニズムの実施に必要な条件が示され、能力構築の協力における優先的な取り組みが議論されました。また、UNFCCC事務局とセネガルの実務者から今後の協力に関する見解が共有されました。
 
(5)セッション5:十全性(質)の高い炭素市場と次期NDC引き上げに向けた議論
A6IPセンターから、十全性(質)の高い炭素市場の実現に向けて、供給サイド、需要サイド、および市場の十全性を確保させることの重要性が説明され、6条を通じたNDCの野心の引き上げに貢献することが発表されました。

3.A6IPとセンター設立の経緯と取組

(1)パリ協定6条の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガス排出量の更なる削減のほか、持続可能な開発にも寄与することが期待されています。一方で、パリ協定6条を実施するための各国の体制構築や知見の共有等が課題とされています。
 
(2)こうした中、2022年のCOP27において、環境省が主導してパリ協定6条に関する能力構築を支援する「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)」を立ち上げました。また、2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター(A6IPセンター)」が公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立されました。
 
(3)現在、パートナーシップには76の国、100以上の機関・企業等が参加(2024年3月時点)しています。昨年2月以降、センターのもとでテーマ別作業グループなどを通して、6条の実施に必要なクレジットの承認、国連への報告や記録等能力構築の優良事例の共有等が行われています。
【Webサイト(英語のみ)】https://a6partnership.org/

4.6条実施支援パッケージについて

(1)概要
 6条の実施に必要となる国内の法制度や体制等は各国で状況が異なることから、それぞれの準備状況に応じた支援が必要になります。6条実施の承認・報告・記録の各プロセスに関するツールを開発することで、各国は準備状況に応じた支援を受けることが可能になります。
 今後、A6IPセンターが中心となり、各参加国に対し、その支援ニーズに応じて、ツールを活用しながら、適切な支援パッケージが提供されることとなります。
 
(2)パッケージの内容 
・6条実施戦略:6条の目的や便益、NDCへの貢献など6条理解促進支援
・承認:政府によるクレジットの承認に関する手続き等の確立支援
・報告:6条の実施に関する初期報告、年次報告、定期報告の作成支援
・記録:排出削減クレジットの記録や登録簿の活用支援
・プロジェクトの形成:6条の対象となる事業の支援
・方法論の策定:排出削減量の同定と計算支援

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
参事官
水谷 好洋
JCM推進企画官
重松 賢行
参事官補佐
髙橋 健太郎
参事官補佐
迫口 貞充