報道発表資料

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2023年12月14日
  • 地球環境

「早期警戒システム導入促進イニシアティブ」のCOP28におけるセミナー開催結果及び本取組の進捗について

  1. 環境省は、昨年の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)にて設立を発表した「アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム(EWS)導入促進イニシアティブ」に基づき、本年の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)ジャパン・パビリオンにおいて、EWS導入促進に関するセミナーを開催しました。
  2. さらに、環境省が日立製作所とともに構築したWebサービス「FloodS」について、COP28開会日である2023年11月30日以降、アジア工科大学(AIT)の運用により無償提供を開始しました。 

アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブ

 昨年、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)において、日本政府は「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害(ロス&ダメージ)支援パッケージ」※1と、そのパッケージの1つとして環境省の新たな取組である「アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブ」を公表しました。
 このイニシアティブを加速させるため、2023年6月には早期警戒システム導入促進に係る国際貢献に関する官民連携協議会(EWS協議会)を立ち上げ、日本企業と検討を進めてきました。
※1:https://www.env.go.jp/press/press_00826.html
 

COP28ジャパン・パビリオンにおけるセミナー開催

 アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催されたCOP28ジャパン・パビリオンにおいて、下記セミナーを開催し、本イニシアティブに関するEWS協議会の参加企業の優れたEWS製品・サービスを紹介するとともに、イニシアティブの取組状況等を報告し、タイ王国、ベトナム社会主義共和国の政府関係者等と今後のさらなる展開に向けた議論を行いました。
 
<開催日時>
2023年12月10日 10:30~11:45(現地時間)
 
<セミナータイトル>
ロス&ダメージ の最小化と対処のための早期警戒システム導入促進-アジア太平洋地域でEWSをいかに推進するか-
 
<セミナー内容>
  • 環境省よりイニシアティブの取組であるEWS官民連携協議会が2023年6月に設置されたことの報告、協議会による活動としてEWSに関するニーズの把握状況やビジネスモデルの提案について紹介。
  • EWS官民連携協議会のメンバーである日本企業2社が現地登壇し、EWSの事例として、ウェザーニューズはタイ等で展開している民間気象サービスをはじめ、日本からアジアに展開する気候変動適応・EWSに関わる各国政府機関との連携等について発表。日立製作所は気候変動に伴う浸水リスクを高速にシミュレーションする開発途上国向けのWebサービス「FloodS」について発表。
  • 各国の政府関係者等を交えたパネルディスカッションを通して、アジア太平洋地域における今後の早期警戒システムの導入促進について議論。  

<登壇者>
  • 日本国環境省
  • 株式会社ウェザーニューズ
  • 株式会社日立製作所
  •  Office of Natural Resources and Environmental Policy and Planning (ONEP) in Thailand
  • Vietnam Meteorological and Hydrological Administration (VNMHA) in Vietnam
 
<モデレーター>
  • United Nations Office for Disaster Risk Reduction (UNDRR)
 
【開催詳細】
http://copjapan.env.go.jp/cop/cop28/exhibition/details/ministry-of-the-environment-13/ 


現地でのパネルディスカッションの様子
 

セミナーで紹介した日本企業の取組

ウェザーニューズ

 ウェザーニューズは、グローバルでの高解像度かつ高精度の気象予測・サービスを実現するため、Xバンドレーダーや気象観測器、ライブカメラなどの独自観測器を設置により、該当国・エリアの観測網を補完・強化を実施し、防災における社会課題の解決や早期警戒システムの拡充による社会のレジリエンス向上への貢献を推進しています。具体的には、タイ、ベトナムにて現地の気象局や政府関係機関と連携し、観測網の強化を始め、現地の工場・工業団地エリアを中心に独自短時間降水予報を活用した民間気象サービスを開始しました。今後特にアジア・太平洋エリア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール等)へ展開予定。また欧州も並行し展開を予定しています。またEarly Warning For Allの対象国であるネパールやアフリカなどへの展開も見据え調査を開始しました。

左:タイ等で展開しているサービス例  右:ウェザーニューズ独自の観測器

日立製作所

 環境省と日立製作所が構築した、FloodSサービスは、全世界の河川氾濫、降雨、高潮よる浸水状況の時間変化を高速にシミュレーションし、Webブラウザー上で地図上に予測結果を表示するものです。
気候変動に脆弱なアジア・太平洋諸国等の行政官向けに無償で提供し、水文や河川工学の専門家でないユーザーであっても、直感的な操作で容易に浸水シミュレーションが可能です。本サービスにより、開発途上国に気候変動による浸水リスクの把握や気候変動への適応策の立案を支援することで、EWS協議会参画事業者の優れた製品やサービスの海外展開を促進します。
 https://top.floods.green/

参考

EWS協議会の参加企業一覧
https://www.ewsi.green/member

連絡先

環境省地球環境局総務課気候変動適応室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8242
室長
中島尚子
企画官
小早川鮎子