報道発表資料

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2023年11月07日
  • 水・土壌

「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」の改訂について

1.  環境省では、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックについて、モニタリング結果のデータを比較可能にするためのガイドラインを改訂しました。
2.  引き続き、プラスチック汚染対策の基盤となる、世界的なデータの調和に向けて、世界を主導していきます。

背景

 海洋プラスチックごみは世界的な課題となっています。地球規模で海洋プラスチックごみを削減していくためには、海洋プラスチックごみの分布状況などの科学的な知見を世界各国で共有することが必要です。これまで、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックの実態調査は、調査の目的に応じて異なる調査手法がとられていたため、データの比較が困難でした。そのため、モニタリング手法の調和(モニタリング結果のデータを比較可能にすること)が重要な課題として認識されていました。
 平成27年のG7エルマウサミットにおいて、モニタリング手法の調和と標準化が優先的な施策として挙げられ、サミットのフォローアップとして開催された国際ワークショップにて、日本が漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法の調和等をリードすることが合意されました。また、令和元年のG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合において合意された「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」においては、調和したモニタリング手法の促進が挙げられ、実施枠組のフォローアップ会合において、日本がモニタリングの調和とデータ整備を主導することとされました。
 これらを踏まえ、環境省ではサンプリングと分析の手法を比較する実証事業を実施し、国内外の専門家による国際専門家会合での議論を経て、令和元年5月に「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」(Guidelines for Harmonizing Ocean Surface Microplastic Monitoring Methods。以下「ガイドライン」という。)の初版を公開しました。また、令和2年には、比較的手軽にモニタリングが実施できる小型船にもガイドラインを適用できるよう改訂を行っています。
 今般、モニタリングデータの更なる蓄積に向け、モニタリング報告において最低限必要となるデータ項目の明確化等の観点から、再度ガイドラインの改訂を行いました。

改訂の概要

(1)最大フェレー径※に関する定義の見直し

 プラスチックの粒子サイズを示す最大フェレー径については、最小フェレー径と直交する方向の長さと定義していましたが、この定義を用いた場合、多くのプラスチックの形状において最大とならない可能性があります。また、画像解析ソフト等で測定する場合における最大フェレー径は、上記の定義とは異なります。
 このため、フェレー径の定義を、ある方向に垂直な物体を制限する2つの平行な平面間の距離として、 最も短いフェレーの直径を「最小フェレー径」、最も長いものを「最大フェレー径」と定義を修正しました。 
 
 フェレー径:ある図形に外接する長方形の縦および横の長さ(別名:射影幅)

(2)データ項目に関する定義と分類の見直し

 従来のガイドラインにおいては、マイクロプラスチック存在量と分布を示すために必要なデータ項目を、全て「fundamental data items」として一つの分類で定義していましたが、今後、モニタリングデータの更なる蓄積を進めていくためには、最低限必要なデータ項目を明確化することが重要です。
 このため、「Fundamental data items」の定義を、「マイクロプラスチックの存在量、採取時間、採取場所及び4種類の単位(粒子数 / m3、粒子数 / m2、重量 / m3、重量 / m2 )で表示される粒子密度を特定するために必要なデータの最小要件」と改訂するとともに、「Fundamental data items」におけるデータ項目を、「粒子密度を表示する上で常に必要なデータ項目(FA)」と「当該分類のうち少なくとも1つは必要なデータ項目(FB)」の2つに分類しました。

連絡先

水・大気環境局 海洋環境課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8304
課長
大井 通博
主査
藤岡 勝之
水・大気環境局海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策室
直通
03-6205-4934
室長
藤井 好太郎
補佐
長谷 代子