報道発表資料
2025年11月11日
- 地球環境
二国間クレジット制度(JCM)において初となる国際的に移転される緩和成果(ITMOs)の発行およびタイにおけるJCMへのビジネス参画促進に関するフォーラムおよびビジネスマッチングの開催について
1.二国間クレジット制度(JCM)において初となるパリ協定第6条に沿ったクレジットの発行
- 2025年10月30日、日・タイ間の二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)の第7回合同委員会を開催し、1事業からのJCMクレジット発行量の決定等が行われました。
- 合同委員会でのクレジット発行量の決定およびタイ政府によるタイ国登録簿に発行されたクレジットの国際移転の承認を受け、日本政府は、11月11日、JCMにおいて初めて、パリ協定に沿ったクレジットである「国際的に移転される緩和成果(internationally transferred mitigation outcomes: ITMOs)」として、日本国JCM 登録簿に日本政府が保有するクレジットを発行しました。
- 日本政府は、発行したクレジットについて、2030年度を目標年度とする我が国のNDC(国が決定する貢献)達成のために適切にカウントします。
2.タイにおけるJCMへのビジネス参画促進に関するフォーラムおよびビジネスマッチングの開催
- JCMにおいて初となるITMOsの発行を記念し、環境省は、タイ天然資源環境省傘下のタイ温室効果ガス管理機構との共催により、2025年12月17日(水)にタイ・バンコクにおいて、タイにおけるJCMによるビジネス参画およびビジネスマッチングの促進を通じたパリ協定第6条実施を推進するフォーラム「Forum on Advancing Article 6 Implementation through Business Engagement and JCM Project Matchmaking in Thailand」を開催します。
- 本フォーラムでは、パリ協定第6条の実施に関する理解促進と、タイにおけるJCMプロジェクト形成の加速を目的として、JCMの最新動向(二国間枠組み、プロジェクトサイクル、クレジット発行手続き、方法論等)に関して議論するとともに、タイの脱炭素化に資する革新的技術や自然を活用した解決策(Nature-based Solutions: NbS)を紹介します。
- また、JCMに関連する技術やソリューションを有する企業によるビジネスピッチプレゼンおよび個別相談会を実施し、日・タイ両国の関係者間での具体的なプロジェクト形成を促進します。企業の皆様の積極的な御参加を期待しています。
1.二国間クレジット制度(JCM)において初となるパリ協定第6条に沿ったクレジットの発行
■ 日・タイJCMによる、初のパリ協定第6条に沿ったクレジットの発行
2025年11月11日、日本政府は、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)(*1)において初めて、パリ協定第6条に沿ったクレジットである「国際的に移転される緩和成果(internationally transferred mitigation outcomes: ITMOs)」を、日本国JCM登録簿の政府保有口座に発行しました。
これは、パリ協定第6条に沿った二国間の協力であるJCMにおいて、日本とパートナー国が制度面および運用面の整備を重ねた結果として初めて実現したものであり、JCMの実効性を示す重要なマイルストーンです。
このITMOs発行は、2025年10月30日(木)にタイ・バンコクで開催された日・タイ間JCMの第7回合同委員会において、以下のプロジェクトからのJCMクレジット発行量が決定され、それを踏まえたタイ政府によるタイ国登録簿に発行されたクレジットの国際移転の承認を経て実現しました。
水上設置型太陽光発電システムは、フロート架台や係留設備、より耐久性の高い電気部品が必要となるため、陸上型システムよりも高価になる傾向があります。一方で、水上フローティング技術の活用により、パネルの温度上昇を抑えて発電効率を向上させるだけでなく、工業団地にとって不可欠な用水について蒸発を抑制する効果もあります。本事業の実現に当たっては、環境省JCM設備補助事業(2016年度)が資金的支援を行い、2020年1月に商業運転を開始しました。
本事業は、タイにおける民間事業者による水上太陽光発電導入の先駆的な取り組みであり、タイ、ひいてはASEAN地域での再生可能エネルギー導入の更なる可能性を示すものです。
※ 上記プロジェクトの概要は添付資料もご参照ください。
これは、パリ協定第6条に沿った二国間の協力であるJCMにおいて、日本とパートナー国が制度面および運用面の整備を重ねた結果として初めて実現したものであり、JCMの実効性を示す重要なマイルストーンです。
このITMOs発行は、2025年10月30日(木)にタイ・バンコクで開催された日・タイ間JCMの第7回合同委員会において、以下のプロジェクトからのJCMクレジット発行量が決定され、それを踏まえたタイ政府によるタイ国登録簿に発行されたクレジットの国際移転の承認を経て実現しました。
| プロジェクト名 | Introduction of 5MW Floating Solar Power System on Industrial Water Reservoir in Thailand (TH014) (タイにおける工業廃水処理用ため池を利用した5MW水上太陽光発電システムの導入) |
| プロジェクト参加者 | (日本側)TSBグリーンネックス株式会社 (タイ側)TSB Bangkok Co., Ltd. |
| クレジット発行対象期間 | 2021年1月1日~2021年12月31日 |
| 発行が決定されたクレジット量 | 2,017 tCO2eq うち日本政府が獲得した量(ITMOs量):1,009 tCO2eq |
水上設置型太陽光発電システムは、フロート架台や係留設備、より耐久性の高い電気部品が必要となるため、陸上型システムよりも高価になる傾向があります。一方で、水上フローティング技術の活用により、パネルの温度上昇を抑えて発電効率を向上させるだけでなく、工業団地にとって不可欠な用水について蒸発を抑制する効果もあります。本事業の実現に当たっては、環境省JCM設備補助事業(2016年度)が資金的支援を行い、2020年1月に商業運転を開始しました。
本事業は、タイにおける民間事業者による水上太陽光発電導入の先駆的な取り組みであり、タイ、ひいてはASEAN地域での再生可能エネルギー導入の更なる可能性を示すものです。
※ 上記プロジェクトの概要は添付資料もご参照ください。
■ 我が国のNDC(国が決定する貢献)達成への貢献
日本は、パリ協定の交渉が続いていた2013年、モンゴルと初めてJCMを構築しました。現在、JCMパートナー国は31か国(*2)となり、世界全体で280件以上の事業が実施されています。今回の発行は、市場メカニズムに関するパリ協定第6条の実施において、日本とパートナー国が長年制度的・実務的な整備を経て実現したものであり、我が国のNDC達成に資するとともに、パートナー国のNDC達成および持続可能な開発にも貢献するものです。
我が国は、気候変動という地球規模の課題に対して、各国の連携が不可欠であるとの認識の下、引き続きJCMを着実に実施することで、日本企業と連携して世界全体の温室効果ガスの排出削減を実現していきます。
なお、発行されたクレジットについては、削減目標達成への二重計上を防止するため、JCM推進・活用会議がパリ協定締約国会合による決定に従い定めた「二国間クレジット制度(JCM)に係る相当調整の手続き」(2025年3月改定)に則り、2030年度を目標年度とする我が国のNDC(国が決定する貢献)達成のために適切にカウントします。
*1 JCM:パリ協定第6条に沿って、パートナー国において優れた脱炭素技術やインフラ等の普及および緩和活動を実施すると同時に、パートナー国の持続可能な開発に貢献するものです。パートナー国で実施される緩和活動を通じた日本からの温室効果ガス排出削減又は吸収への貢献を定量的に評価し、それらの排出削減又は吸収によって日本およびパートナー国の排出削減目標の達成に貢献します。
https://www.env.go.jp/earth/jcm/index.html
*2 JCMパートナー国:モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国、ウクライナ、タンザニア連合共和国、インド共和国。
我が国は、気候変動という地球規模の課題に対して、各国の連携が不可欠であるとの認識の下、引き続きJCMを着実に実施することで、日本企業と連携して世界全体の温室効果ガスの排出削減を実現していきます。
なお、発行されたクレジットについては、削減目標達成への二重計上を防止するため、JCM推進・活用会議がパリ協定締約国会合による決定に従い定めた「二国間クレジット制度(JCM)に係る相当調整の手続き」(2025年3月改定)に則り、2030年度を目標年度とする我が国のNDC(国が決定する貢献)達成のために適切にカウントします。
*1 JCM:パリ協定第6条に沿って、パートナー国において優れた脱炭素技術やインフラ等の普及および緩和活動を実施すると同時に、パートナー国の持続可能な開発に貢献するものです。パートナー国で実施される緩和活動を通じた日本からの温室効果ガス排出削減又は吸収への貢献を定量的に評価し、それらの排出削減又は吸収によって日本およびパートナー国の排出削減目標の達成に貢献します。
https://www.env.go.jp/earth/jcm/index.html
*2 JCMパートナー国:モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国、ウクライナ、タンザニア連合共和国、インド共和国。
2.タイにおける二国間クレジット制度(JCM)へのビジネス参画促進を通じたパリ協定第6条実施推進に関するフォーラムおよびビジネスマッチングの開催
■ 概要
日時:2025年12月17日(水) 09:45-17:00(バンコク時間)/11:45-19:00(日本時間)
開催場所:Pullman Bangkok King Power(タイ、バンコク)Map
開催形式:ハイブリッド(対面・オンライン)
使用言語:英語・タイ語
参加費用:無料
■ 主なプログラム
• JCMと実施支援プログラムの概要
• タイにおける国家政策と第6条実施枠組み
• プレミアムT-VER下でのJCMにおけるプロジェクト実施の主要要件とプロセス
• 両国企業によるJCM適用技術とソリューション
• ビジネスマッチングおよび個別相談会
■ 主催
• 日本国環境省
• 天然資源環境省 タイ温室効果ガス管理機構(TGO)
■ 協力・後援(予定含む)
• 在タイ日本国大使館
• 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)/パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター
• 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
• 日本政府指定JCM実施機構(JCMA)
• 日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所
• 国際協力機構(JICA)タイ事務所
• タイ工業連盟(FTI: The Federation of Thai Industries
■ 主な参加対象
• JCMおよび炭素市場に関心のあるタイ企業・プロジェクト開発者
• 環境配慮型技術・ソリューションを提供する日本企業
• 政府関係機関
■ フォーラムの詳細および参加登録フォーム
詳細は以下のHPからご確認ください。
参加登録が定員を超える場合には、企業関係者を優先して、厳正な抽選の上決定します。
抽選結果はご登録いただいた連絡先にご連絡いたします。
■ フォーラムおよびビジネスマッチングに関する問い合わせ先
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
担当:伊藤、川北
Email: a6ip-admin@iges.or.jp
■ 参考:第7回 日・タイ間の合同委員会
(1)概要
日時:2025年10月30日(木)
会場:タイ温室効果ガス管理機構(TGO)(バンコク)(オンラインとのハイブリッド開催)
(2)参加者
(日本側)○:オンライン参加者
・在タイ日本国大使館 公使 梶原 徹(共同議長)
・在タイ日本国大使館 一等書記官 大澤 友里恵
・外務省 国際協力局気候変動課 課長補佐 足立 宗喜 ○
・外務省 国際協力局気候変動課 課長補佐 臼井 佑介 ○
・経済産業省 GXグループ地球環境対策室 室長補佐 三井 博行 ○
・経済産業省 GXグループ地球環境対策室 係長 三浦 俊宏
・林野庁 森林整備部計画課 海外林業協力室 国際森林減少対策調整官 尾野 亜裕美 ○
・環境省 地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室 室長 辻 景太郎 ○
・環境省 地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室 国際炭素市場調整官 宇賀 まい子
・日本政府指定JCM実施機構 事務局長 水野 勇史
他、オブザーバー、事務局
(タイ側) ※ 部局名および役職名は仮訳
・天然資源環境省 副次官 Ms. Preeyaporn Suwanaged(共同議長)
・工業省 工場局 多国間環境協定・戦略ユニット長 Dr. Pattanan Tarin
・天然資源環境省 天然資源・環境政策計画局 Mrs. Punvadee Arayawongwarn
・外務省 東アジア局 Mr. Romdej Phisalaphong
・タイ工業連盟 Dr. Savanit Boonyasuwat Srilerdfah
・エネルギー省 代替エネルギー開発・エネルギー保全局 Ms. Suchitra Jamnongbutr
・天然資源環境省 戦略・国際協力課長 Dr. Kittisak Pukkanone
・天然資源環境省 汚染管理局 Ms. Wanich Sawayo
・天然資源環境省 タイ温室効果ガス管理機構 事務局長 Mr. Nakorn Tangavirapat
・工業省 工場局 多国間環境協定・戦略ユニット長 Dr. Pattanan Tarin
・天然資源環境省 天然資源・環境政策計画局 Mrs. Punvadee Arayawongwarn
・外務省 東アジア局 Mr. Romdej Phisalaphong
・タイ工業連盟 Dr. Savanit Boonyasuwat Srilerdfah
・エネルギー省 代替エネルギー開発・エネルギー保全局 Ms. Suchitra Jamnongbutr
・天然資源環境省 戦略・国際協力課長 Dr. Kittisak Pukkanone
・天然資源環境省 汚染管理局 Ms. Wanich Sawayo
・天然資源環境省 タイ温室効果ガス管理機構 事務局長 Mr. Nakorn Tangavirapat
(3)主な議題と結果概要
① 計画中のJCMプロジェクトのPIN(1件):
日本側より、計画中のPIN(1件)の内容を説明し、質疑応答後、合同委員会は当該PINを承認しました。承認された案件は以下の通りです。
• TH_PIN008: Energy Supply Project by 55MW Solar Power System and 40MWh Storage Battery to Data Center in Chon Buri Province in the Eastern Economic Corridor(東部経済回廊内チョンブリ県におけるデータセンターへの 55MW 太陽光発電・40MWh 蓄電池導入による電力供給事業)
② プロジェクト登録
環境省JCM設備補助事業で支援する以下1件の事業について、合同委員会として、プロジェクト登録を承認しました。また、本プロジェクトは、日本政府およびタイ政府によるパリ協定第6条に沿った承認も得ています。今回の登録承認により、今後、本事業からの更なるITMOs発行が見込まれます。環境省としては、ITMOs発行を目指し、排出削減量の第三者機関による検証を進めていきます。
• TH022: Introduction of 0.8MW Solar Power System and High Efficiency Refrigerator to Food Factory(食品工場への0.8MW太陽光発電および高効率冷凍機の導入)
③ クレジット発行
環境省JCM設備補助事業で支援する以下の事業について、合同委員会として、クレジット発行量を決定しました。
• TH014:Introduction of 5MW Floating Solar Power System on Industrial Water Reservoir in Thailand(タイにおける工業廃水処理用ため池を利用した5MW水上太陽光発電システムの導入)
● 発行が決定されたクレジット量
日本側:1,009 tCO₂eq
タイ側:1,008 tCO₂eq
● 発行対象となったモニタリング期間:2021年1月1日から2021年12月31日まで
④ その他:
日・タイ間のJCMにおける緩和成果の国際移転に関して議論が行われました。また、潜在的プロジェクトおよび日本政府が支援する新規プロジェクトを含むJCMプロジェクト候補一覧について議論が行われました。
添付資料
連絡先
環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8246
- 室長
- 辻 景太郎
- 国際炭素市場調整官
- 宇賀 まい子
- 室長補佐
- 坂本 万純
- 担当
- 境野 達也

