報道発表資料
- 水・土壌
環境測定分析統一精度管理調査に関する令和4年度調査結果の取りまとめについて
今般、環境測定分析検討会において、令和4年度の調査結果を取りまとめましたので、お知らせします。
令和4年度調査結果の概要
(1) 調査項目
(a)基本精度管理調査
【模擬水質試料(一般項目等)】
六価クロム、カドミウム、鉛、砒素、全燐
【土壌試料(金属等)】
カドミウム、鉛、砒素
(b) 高等精度管理調査
【模擬水質試料(PFOS等)】
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)及びペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)
(2) 参加分析機関数
公的機関127、民間機関381、計508機関
(3) 分析・調査結果
(a)基本精度管理調査
【模擬水質試料(一般項目等)】
六価クロム、カドミウム、鉛、砒素、及び全燐は、低濃度であったにも関わらず、室間精度CV※が7.11~9.31%であり良好な結果となりました。
【土壌試料(金属等)】
カドミウム、鉛、及び砒素は、室間精度CVが6.12~9.78%であり良好な結果となりました。
(b) 高等精度管理調査
【模擬水質試料(PFOS等)】
PFOS、PFOA及びPFHxSは、室間精度CVが11.9~15.1%であり良好な結果となりました。また、PFOS、PFOAは過去調査と比較して参加機関が大幅に増え、PFOSについては過去調査と比較して室間精度CVが小さくなりました。
※「室間精度CV」は、参加分析機関間のばらつきを表す変動係数を示す。
(4) その他(指摘事項等)
棄却された回答の多くは計算違いや不適切な操作が原因であると思われるものであり、情報共有を含めた確認体制の再点検が重要です。
また、日常的な装置の点検やバリデーション(検量線の傾き、検量線の直線性、装置検出下限値等の確認)を実施すれば防げると思われるケースも散見されました。
分析においては、試料(性状、共存物質等)に関する情報の共有を行い、適切な前処理及び測定方法を選択し、最適化された分析条件を一定にしたうえで、得られた測定値について生データを含めて慎重に確認することが非常に重要です。
なお、調査結果については、測定分析統一精度管理調査ウェブサイトに掲載しています。
https://www.env.go.jp/air/tech/seidokanri/report/index.html【参考】環境測定分析統一精度管理調査の背景
環境測定分析は、これらの法令の施行や制度・施策の実施のための基礎であり、地方自治体や民間の環境測定分析機関において測定分析に携わっている技術者が、これを支えています。
環境測定分析の方法は、法令等によって公定法として規定されています。しかし、試料の採取・保管・前処理から、測定分析機器・薬品等の管理・調整・操作に至るまで、公定法に規定されていない細部を含めて、測定分析に携わる技術者の技能・経験等が測定分析データの精度に影響を及ぼします。
環境測定分析の精度が確保されなければ、上記の法令や制度・施策の実効性が損なわれ、環境行政への社会の信頼を揺るがす事態となります。また、誤った測定分析データにより適切な排出規制が行われず、適切な対策が講じられなかった場合には、それによって失われた環境の修復に多大な費用・労力と長い年月を要し、大きな社会的・経済的損失を招くこととなります。
こうした背景から、環境省では、「環境測定分析統一精度管理に関する調査」を毎年度継続して実施し、環境測定分析機関による測定分析の精度の向上及び信頼性の確保を図っています。
本調査は、500機関前後の環境測定分析機関が参加していますが、長期的な計画に基づいて、幅広い試料や項目を対象とするとともに、試料ごとに統計的な分析・評価を行い、その評価結果等を公表しています。
また、調査結果に関して、説明会等を毎年度開催し、分析上の留意点や分析結果に関して分析機関に技術的な問題点等をフィードバックしています。
併せて環境測定分析統一精度管理調査専用ウェブサイトにおいて、環境測定分析の精度向上に資する情報などを提供しています。
https://www.env.go.jp/air/tech/seidokanri/index.html
連絡先
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8297
- 室長
- 鈴木 延昌
- 室長補佐
- 柴 里実
- 担当
- 赤塚 理