報道発表資料

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2022年11月28日
  • 自然環境

ワシントン条約第19回締約国会議の結果概要について

  1. 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)第19回締約国会議が、2022年11月14日から同年11月25日まで、パナマシティ(パナマ共和国)で開催されました。
  2. この会議では、国際取引が規制される種を定めている附属書の改正が審議され、44件の提案(うち陸棲動物は30件)が採択されたほか、附属書掲載種の取引と保全、他の生物多様性関連組織等との連携に関する決議等が採択されました。

附属書改正の審議結果

44件の附属書改正の提案(うち陸棲動物は30件)が採択されました。陸棲動物に関する主な附属書改正の審議結果は、以下のとおりです。

(1)キガシラヒヨドリ(Pycnonotus zeylanicus
   附属書IIから附属書Iへ移行。ただし発効は改正附属書の採択より12ヶ月後。
(2)アデレードアオジタトカゲ(Tiliqua adelaidensis
   附属書IIIから附属書Iへ移行。
(3)ニシキセタカガメ(Batagur kachuga
   附属書IIから附属書Iへ移行。
(4)モエギハコガメ(Cuora galbinifrons
   附属書IIから附属書Iへ移行。
(5)ドロガメ属全種(Kinosternon spp.)
   K.coraK.vogti:附属書Iに掲載。その他の種:附属書IIに掲載。
(6)リーススッポン(Nilssonia leithii
   附属書IIから附属書Iへ移行。
(7)ツノトカゲ属全種(Phrynosoma spp.)
    附属書IIに掲載。
(8)アマガエルモドキ科全種(Centrolenidae spp.)
   附属書IIに掲載。

その他の審議結果

○ゾウの取引について
 生きているアフリカゾウ(附属書II掲載個体群)の取引に関して、受入先となる施設設備の評価方法及び取引が域内保全を促進するかどうかを判断する方法に関する2つの法的拘束力のないガイダンスが採択されました。
また、象牙については、国内市場を閉鎖していない締約国に対して、引き続き管理の取組について報告を求めること、任意拠出金等により外部資金が確保された場合には専門家グループにより象牙押収と合法国内市場の関係についての分析を検討すること等が決定されました。

○生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)との連携について
 IPBESが作成した「野生種の持続可能な利用に関するテーマ別評価報告書」について動物委員会・植物委員会がレビューし、条約実施との関係を検討すること等が決定されました。

次回の締約国会議

次回締約国会議は、2025年(令和7年)開催されることが決定されました(開催地は未定)。

参考

1.絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の概要

(1)目的
 野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図る。

(2)条約の規制のしくみ
 野生動植物の種を、その種の絶滅のおそれ及び取引がその種に与える影響の程度に応じて同条約附属書に掲載し、附属書掲載種について、国際取引の規制を行う。
  ①附属書Ⅰ:絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており、または受けることのあるもの。
        商業取引を原則禁止。
  ②附属書Ⅱ:現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となりうるもの。
        輸出国の許可を受けて商業取引を行うことが可能。
  ③附属書Ⅲ:いずれかの締約国が、自国内の種の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの。
        当該種を掲げた国と当該種について取引を行う場合、許可を受けて行う。
(3)管理当局及び科学当局
 条約の規定により、締約国は「許可書及び証明書を発給する権限を有する」管理当局と「種の保護の観点から許可書等の発給に関して管理当局に助言する」科学当局を指定することが義務付けられている。我が国の管理当局は経済産業省及び農林水産省であり、環境省が陸棲動物の科学当局、農林水産省が植物及び主な水棲動物の科学当局を務めている。

(関連情報)
ワシントン条約について(条約全文、附属書、締約国など)(経済産業省Webサイト)
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_about.html

2.附属書の改正に伴う国内対応について

 附属書の改正については、改正が採択される令和4年(2022)年11月25日から起算して90日目の令和5年(2023年)2月23日に効力が生ずる。新たに附属書Ⅰに掲載された種は、改正附属書の発効と同時に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)」第4条に基づき国際希少野生動植物種に指定し、国内流通規制の対象とする予定。

※国際希少野生動植物種は、生死を問わず、個体(器官も含む。以下「個体等」という。)の譲渡し等(あげる、売る、貸す、もらう、買う、借りる)が原則禁止される。ただし、規制適用前に取得した個体等については、個体等登録を行うことにより取引が可能となる場合がある。

(関連情報)
譲渡し等の規制及び手続きについて ワシントン条約と種の保存法(環境省Webサイト)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/species/trade/index.html

連絡先

環境省自然環境局野生生物課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8283
課長
中澤 圭一
課長補佐
守分 紀子
課長補佐
笠原 綾
係長
尾﨑 由布子