報道発表資料

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2008年07月14日
  • 自然環境

第32回世界遺産委員会における知床世界自然遺産地域の保全状況に関する審査の結果について(お知らせ)

 平成20年7月2日(水)~10日(木)に、ケベック市(カナダ)にて第32回世界遺産委員会が開催されました。我が国の世界自然遺産に関しては、「既記載遺産の保全状況」の議題において、知床に関する審査が行われ、ユネスコ世界遺産センター及びIUCN(国際自然保護連合)による現地調査(平成20年2月)の報告書に基づく決議が採択されました。
 決議では、世界遺産一覧表記載時の勧告に我が国が効果的に対応していることを賞賛するとともに、ユネスコ世界遺産センター及びIUCN(国際自然保護連合)による現地調査(平成20年2月)の報告書の内容のうち9項目について重点的に取り組むよう要請し、その実施状況についての報告を平成24年2月1日までに世界遺産センターに提出するよう求めています。
 今後も、高く評価された管理の枠組のもとでの取組を継続・推進し、今回の勧告も踏まえ、知床世界自然遺産地域の適切な保全管理に努めていきます。

1.経緯

 平成17年の第29回世界遺産委員会において知床が世界遺産一覧表に記載された際、海域管理計画の策定、サケ科魚類管理計画の策定、海域の保全状況等について評価するための調査団を招くこと等が勧告された。
 これを受けて、平成20年2月19日(火)~22日(金)にユネスコ世界遺産センター及びIUCN(国際自然保護連合)による現地調査が行われ、その結果をとりまとめた報告書が平成20年5月30日に日本政府に送付された。
 報告書では、第29回世界遺産委員会における勧告に対して、日本は良好な進捗を遂げているとしている。また、地域社会や関係者の参画によるボトムアップアプローチによる管理と、科学委員会及び各ワーキンググループの設置を通した科学的知見に基づく遺産の管理を賞賛するとともに、他の世界自然遺産地域の管理のモデルとなると評価された。
 海域の管理とサケ科魚類の管理など今後も引き続き対応をしていくべき課題についても、建設的かつ効果的な方法で取組を進めている努力を継続し、推進させることが大切であるとしたうえで、包括的な遺産管理計画の策定、河川工作物改良の継続などに関して、今後の知床の保全管理に対する助言として17の勧告が記載された。
 その中には、気候変動の影響に関して注意深く観察していくこと、将来の気候変動による影響を最小限にするための戦略を作ることも含まれている。

2.決議の概要

 知床の保全状況については特段の議論を行わず、ユネスコ世界遺産センター及びIUCNによる調査報告書に基づく決議が採択された。
 決議では、日本が世界遺産一覧表記載時の勧告に効果的に対応していることを賞賛するとともに、報告書に盛り込まれた勧告事項に基づき、特に9項目について重点的に取り組むよう要請し、その実施状況についての報告を平成24年2月1日までに勧告への対応状況に関する報告を世界遺産センターに提出するよう求めている。(別添参照)
 なお、平成24年の第36回世界遺産委員会では、アジア・太平洋地域の既記載世界遺産地域の保全状況についての定期報告が行われる予定であり、我が国のすべての世界遺産地域が対象となる。

3.その他の自然遺産に関する審査概要

1)新規記載

新たに以下の8件が自然遺産として世界遺産一覧表に記載され、自然遺産は合計で174件となった。(名称は仮訳)

  • ソコトラ諸島(イエメン)
  • 三清山国立公園(中国)
  • サルヤルカ-カザフスタン北部のステップと湖沼(カザフスタン)
  • ジョギンズ化石崖(カナダ)
  • ニューカレドニアの礁湖-サンゴ礁多様性と関連する生態系(フランス)
  • スルツェイ(アイスランド)
  • スイス地殻変動の舞台・サルドナ(スイス)
  • オオカバマダラ生物圏保存地域(メキシコ)

2)既記載遺産の保全状況審査

 40件の自然遺産と4件の複合遺産について、保全状況の審査が行われ、新たに危機遺産一覧表に記載された遺産はなかった。

3)危機遺産の保全状況審査

 危機遺産一覧表に記載されている13件の自然遺産について、保全状況の審査が行われた。その結果、保全状況が改善したとして危機遺産一覧表から削除された自然遺産はなかった。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8274)
課長:渡邉 綱男(内線6430)
専門官:上野 真一(内線6482)
担当:濱名功太郎(内線6479)

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