報道発表資料
環境省では、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づき、農林水産省とともに農用地の土壌汚染対策を進めております。
これに関連して、平成18年度の法の施行状況について取りまとめました。
(1)常時監視の結果、農用地土壌汚染対策地域の指定要件基準値以上の汚染はありませんでした。
(2)新たに3地域が農用地土壌汚染対策地域に指定されたほか、3地域について追加指定がありました。
(3)指定解除された地域はありませんでしたが、2地域について部分解除がありました。
(4)4地域について農用地土壌汚染対策計画が策定されました。
(5)平成18年度末の対策事業等完了面積は6,532haであり、基準値以上検出等地域面積の87.3%が対策事業等を完了しています。
1.概要
農用地については、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(以下、「農用地土壌汚染防止法」といいます。)に基づき、人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止することを目的とした各般の対策が講じられています。
今回、平成18年度に行われた農用地土壌汚染防止法に基づく対策地域の指定、常時監視及び土壌汚染対策事業の状況が取りまとめられましたので、お知らせします。
2.常時監視について
農用地土壌汚染防止法では、都道府県知事に農用地の土壌汚染状況について常時監視(過去の調査結果等から状況を把握していることを含む)することが義務付けられています。
常時監視には、以下の調査が定められており、平成18年度の調査結果は以下のとおりでした。
- (1)細密調査
- 汚染のおそれがある地域において適宜ほ場を変えながら、汚染の広がりと程度を把握する調査。平成18年度には4地域の28.98haで実施され、基準値以上の汚染はありませんでした。
- (2)対策地域調査
- 対策地域内及びその周辺において地点を定めて、農作物や周辺環境の汚染と地質の状況を把握する調査。平成18年度には7地域で実施され、基準値以上の汚染はありませんでした。
- (3)解除地域調査
- 地域指定が解除された地域において地点を定めて、再汚染の有無を確認する調査。平成18年度には2地域で実施され、基準値以上の汚染はありませんでした。
3.農用地土壌汚染対策地域について
農用地土壌汚染防止法では、人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産されること、または農作物等の生育が阻害されることを防止するため、指定要件※に該当する地域を都道府県知事が「農用地土壌汚染対策地域」として指定することができます。
「農用地土壌汚染対策地域」では、「農用地土壌汚染対策計画」を策定し、これに基づき対策を行うことにより、汚染の除去や防止を図っていきます。
- (1)平成18年度に新たに地域指定を行った地域
- 新規指定 秋田県 亀田第2地域(36.38ha)
〃 秋田県 鹿角北部地域(90.75ha)
〃 秋田県 鹿角南部地域(38.97ha)
追加指定 秋田県 館花地域(3.54ha)
〃 秋田県 八木地域(12.59ha)
〃 秋田県 福島・北原地域(18.29ha) - (2)平成18年度に新たに対策計画の策定を行った地域
- 新規策定 秋田県 亀田第2地域(36.38ha)
〃 秋田県 館花地域( 3.54ha)
〃 秋田県 八木地域(12.59ha)
〃 秋田県 福島・北原地域(18.29ha)
※館花、八木、福島・北原の各地域については、追加指定を行った区域について亀田第2地域と併せて対策計画を策定 - (3)対策が完了したとして平成18年度に指定解除を行った地域
- 部分解除 富山県 神通川流域(左岸)地域(69.8 ha)
〃 富山県 神通川流域(右岸)地域(61.3 ha)
この結果、平成18年度末現在で対策地域として指定された地域は累計で72地域、うち対策事業等がすべて完了したとして指定解除された地域は52地域、指定地域として現存している地域は20地域となっています。
(※)特定有害物質(カドミウム、銅及び砒素)について以下のいずれかを満たすこと
- 当該農用地で生産される玄米中のカドミウム濃度が1.0mg/kg以上である地域またはそのおそれが著しい地域
- 当該農用地(田に限る。)の土壌中の銅濃度が125mg/kg以上である地域
- 当該農用地(田に限る。)の土壌中の砒素濃度が15mg/kg以上である地域
4.農用地土壌汚染対策事業の進捗状況について
指定要件における基準値以上の特定有害物質が検出された、または検出されるおそれが著しい地域(以下、「基準値以上検出等地域」といいます。)の累計面積は、平成18年度末現在で7,483haになります。このうち、対策地域の指定がなされた地域の累計面積は6,577ha、対策事業等が完了している地域は6,532haになり、基準値以上検出等地域の累計面積の87.3%が対策事業等を完了しています。
I 常時監視について
1.常時監視制度の概要
農用地土壌汚染防止法では、全国での統一的な調査結果が必要として、都道府県知事に農用地の土壌汚染状況について常時監視することを委託(法定受託事務)しています。ここでいう「常時監視」とは、都道府県がその年に行った調査の結果のみならず、市町村が行った調査の結果や、過去に行った調査の結果などから土壌の汚染の状況を把握していることを指しています。
調査を行う場合の常時監視の方法としては、「2.調査の種類」の調査法を定めており、それぞれ各都道府県の実情に合わせて必要な調査が行われております。
2.調査の種類
- (1)細密調査
- 汚染のおそれがある地域において適宜ほ場を変えながら、汚染の広がりと程度を把握する調査。概況調査と精密調査を行う。
ア.概況調査
調査対象地域の概況等につき調査するものです。
イ.精密調査
概況調査の結果を参考に、調査対象地域について農用地面積おおむね2.5haに1点の割合で調査ほ場を選定し、当該調査ほ場において農作物の生育収量状況について調査するとともに、当該調査ほ場の土壌及び農作物を採取して、その中に含まれる特定有害物質等の量の分析測定調査を行うものです。 - (2)対策地域調査
- 対策地域内及びその周辺において地点を定めて、農作物や周辺環境の汚染と地質の状況を把握する調査。対策地域内調査と対策地域関連調査を行う。これにより、農用地土壌汚染対策の効果を確認し、地域指定の解除を行う。
ア.対策地域内調査
対策地域内のおおむね25haに1点の割合で調査ほ場を選定し、地域の概況を調査するとともに、水、大気、土壌及び農作物中の特定有害物質の量を経時的に観測する試験を行います。
イ.対策地域関連調査
対策地域外においても、汚染状況を把握するために必要があれば(1)の細密調査や対策地域内調査と同様の調査を行うことができます。 - (3)解除地域調査
- 地域指定が解除された地域において地点を定めて、再汚染の有無を確認する調査。概況調査とほ場調査を行う。
ア.概況調査
調査対象地域の概況等につき調査するものです。
イ.ほ場調査
地域の水利条件や対策工事の工法などを考慮して調査ほ場を選定し、水、大気、土壌及び農作物中の特定有害物質の量を経時的に観測する試験を行います。
なお、土壌及び農作物に含まれるカドミウムの分析測定方法は「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定の方法を定める省令(昭和46年農林省令第47号」、土壌に含まれる銅の分析測定方法は「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る銅の量の検定の方法を定める省令(昭和47年総理府令第66号)」、土壌に含まれる砒素の分析測定方法は「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る砒素の量の検定の方法を定める省令(昭和50年総理府令第31号)」によります。
3.平成18年度の施行状況
平成18年度に行われた常時監視のための調査の結果は、以下のとおりです。
- (1)細密調査
- ア.カドミウムに係る調査
1県4地域28.98haを対象としてカドミウムに係る細密調査が行われました。
このうち、玄米については12地点で調査が行われ、基準値(玄米中カドミウム濃度1.0mg/kg)以上が検出された地域はありませんでした。
また、土壌については4地点で調査が行われ、最高値は2.99mg/kgでした。
イ.銅に係る調査
調査した地域はありませんでした。
ウ.砒素に係る調査
調査した地域はありませんでした。 - (2)対策地域調査
- 5県7地域において対策地域調査が行われた結果、各特定有害物質につき基準を超過する事例は見つかりませんでした。
- (3)解除地域調査
- 2県2地域において解除地域調査が行われた結果、各特定有害物質につき基準を超過する事例は見つかりませんでした。
II 農用地土壌汚染対策地域について
1.農用地土壌汚染対策地域指定制度の概要
農用地土壌汚染防止法では、特定有害物質※による農用地土壌の汚染により、人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産されること、又は農作物等の生育が阻害されることを防止するため、以下の指定要件を満たす地域を都道府県知事が「農用地土壌汚染対策地域」として指定することができます。
※特定有害物質…カドミウム、銅及び砒素
人の健康保護の観点から定められた指定要件
- 当該農用地で生産される玄米中のカドミウム濃度が1.0mg/kg以上である地域またはそのおそれが著しい地域
農作物等の生育阻害の防止の観点から定められた指定要件
- 当該農用地(田に限る。)の土壌中の銅濃度が125mg/kg以上である地域
- 当該農用地(田に限る。)の土壌中の砒素濃度が15mg/kg以上である地域
「農用地土壌汚染対策地域」では、「農用地土壌汚染対策計画」を策定し、これに基づき対策を進めていくほか、必要に応じて特別地区を指定し、作付けに対する勧告を行うことができます。
2.対策地域の指定状況
平成18年度末現在における農用地土壌汚染対策地域の指定状況は、参考資料のとおりです。
III 農用地土壌汚染対策事業の進捗状況について
1.農用地土壌汚染対策事業の概要
農用地土壌汚染防止法では、特定有害物質による農用地の土壌汚染を防止又は除去するため、「農用地土壌汚染対策地域」において「農用地土壌汚染対策計画」に基づき対策を進めることとなっております。
2.対策事業の進捗状況
- (1)
- 法に定められた特定有害物質が基準値(カドミウム:玄米1kgにつき1mg、銅:土壌1kgにつき125mg、砒素:土壌1kgにつき15mg )以上検出された地域の累計は134地域、7,483haとなっています。
これを特定有害物質別にみると、
カドミウム関連地域は 96地域: 6,941ha
銅関連地域は 37地域: 1,405ha
砒(ひ)素関連地域は 14地域: 391ha
となっています。 - (2)
- これらの基準値以上の汚染が検出された又はそのおそれが著しい農用地(以下「基準値以上検出等地域」という。)のうち、法に基づく対策地域として指定されたのは、累計で72地域、6,577haであり、未指定の地域は206haです。 また、指定地域のうち対策計画が既に策定された地域は70地域(6,306ha)であり、策定中の地域は270haです。
- (3)
- 対策計画が策定された70地域(6,306ha)のうち、これまでに対策事業等が完了した地域は、5,832haであり、そのうち再汚染のおそれがないとして指定が解除された地域は、5,559haとなっています。
- (4)
- 以上のことから、平成18年度末時点で、基準値以上検出等地域の面積7,483haのうち、対策事業等完了面積は6,532ha(国庫補助事業等:5,832ha、県単独事業等:700ha)であり、その割合は87.3%となります。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局
03-3581-3351(代表)
03-5521-8322(直通)
課長 坂川 勉 (内線6650)
課長補佐 寺田 剛 (内線6653)
担当 渕上 武士(内線6654)