報道発表資料

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1997年08月04日

AGBM7等気候変動枠組条約補助機関会合第1週目の状況

7月28日(月)から8月7日(木)まで、ドイツ・ボンで開催されている第7回ベルリンマンデート・アドホック・グループ会合(AGBM7)その他の気候変動枠組条約補助機関会合の第1週目の状況は、以下のとおり。
 ベルリンマンデート会合については、全体会合の後、(1)途上国を含む全締約国の義務の履行の推進、(2)数量目的、(3)組織・機構等の重要事項の3つの非公式会合を設けて議論が進められており、目標の枠組み等について、共通認識の醸成が進められている。
[1] 第7回AGBM会合

1.全体会合(7月31日)

 AGBM会合の開催に当たり、エストラーダ議長(アルゼンチン)及び各国からのステートメントが行われた。(各国のステートメントの概要は参考のとおり)
 エストラーダ議長は、国連環境開発特別総会の成果も引用しつつ、京都で合意が得られることに向けた明るい見通しを示した。他方、ベルリンマンデートで明確にされている先進国の率先的努力なしには、途上国が今まで以上の大きな責任を果たすことへの気運が生まれないことを強調し、かつ、このため、EUに加え、目標についての提案が今求められていることを指摘した。
 我が国からは、京都議定書(仮称)において二酸化炭素の吸収について目標を立てるならば、その前にSBSTAにおける検討が必要であること、最新の科学的知見を議定書改訂に結びつける仕組みを設けるべきこと、京都議定書の発効要件として、加入国の排出量が全先進国の排出量に占める割合が十分なものとなるようにすることの重要性を指摘し、補足的な提案を説明した。
 各国のステートメント後、今回のAGBM会合の進め方についての議事が行われ、エストラーダ議長の提案により、非公開の会合(ノン・グループ)を設けて交渉を行うこととした。具体的には、(1)途上国を含む全締約国の義務の履行の推進に関して、エヴァンス・キング氏(トリニダード・トバコ)の下で、(2)数量目的に関して、メイラ・フィルホ氏(ブラジル)の下で、(3)組織・機構等の重要事項に関して、柴田氏(日本・ジンバブエ公使)の下で、それぞれ検討を進めることとした。

2.非公式会合

(1) 全締約国の義務の履行の推進に関する非公式会合(7月31日、8月1、2日)

 キング座長からたたき台となる条文案が示されたが、これは議定書の事務局案に対する各国の反応も加えた幅広なものであり、さらに、今回の非公式折衝に際して追加的な提案を出す国もあった。
 7月31日(木)(現地(ボン)時間。以下同じ)には、主に原則的事項を巡って議論があったが、議論は収束しなかった。
 8月1日には、排出目録の作成、国家戦略の策定、技術移転の推進に関して条文案の整理が行われ、全体の分量を当初の4分の3程度に減らした。
 8月2日も継続して作業が行われ、途上国に今以上のことを求めるのであれば、新たな資金メカニズムが必要とする途上国と、条約の現行規定で対応可能とする先進国との間で大きく意見が分かれたが、議長が用意した条文案について一読の議論を終了した。
 今回会期中に二読用の条文案が用意される見通しである。

(2) 数量目標に関する非公式会合(7月31日、8月1、2日)

 7月31日には、(1)全ての温室効果ガスを目標の対象とするアプローチ、(2)特定のしかし複数の温室効果ガスを対象とするアプローチ、(3)当面CO2のみに具体的目標を設定するアプローチについて、それぞれの立場からの意見が出された。(3)のアプローチは、小島嶼国連合や我が国が支持しているが、他の途上国や多数の先進国は、より幅広いバスケットアプローチを支持している状況にある。
 また、吸収源による吸収量を差し引くネットアプローチとこれを合算しないグロスアプローチについても議論が行われ、支持が分かれている状況にある。
 8月1日には、数量目標に関する定義的事項、目標不達成の場合の履行確保措置に関し議論が行われた。複数年の合計排出量に関し数量目標を設ける方式(バジェットアプローチ)や、目標を超過達成した場合の超過達成量の次期の要削減量への繰り越し・充当(バンキング)については大勢が支持し、履行確保措置の厳重化についても多くの支持が寄せられた。
 8月2日には、数量目標を達成する上での弾力的な枠組み(フレキシビリティ)について議論を行った。このうち、排出枠の取引については、提案している米国に加え、日本等が条件付きではあるものの支持しうるとした。また、米国が、EUバブルについて、排出枠取引と近似の概念であるとし、排出枠取引の一環として是認する方向を打ち出した。これに対し、EUは、排出枠の取引が緩い対策の言い訳となってはならないとしつつも、少数国の間で調整したいと応じた。このように、排出枠の取引に関しては、これを認める方向で議論が進みつつある。
 また、共同実施については、途上国との間でも積極的に進めるべしとする米国に対し、EUは、排出量目標を課される国との間に限るとし、途上国は、共同実施活動の成果の評価がなされない現在は、そもそも判断の時期でない旨主張し、進展は見られなかった。

(3) 組織等の主要事項に関する非公式会合(8月1日)

 我が国の柴田座長の下で討議が進められた。全文の内容等に関し、各国それぞれの立場から意見が出されたので、座長の責任でタタキ台を用意し、一層整理された条文案を作成する方針が了承された。

(4) その他

 8月2日、新たな義務の履行確保について、関心を有する先進国により、非公式会合の形で検討が行われた。  米国が座長を務め、(1)様々の実体規定に伴う履行確保措置として検討すべき事項の範囲と、(2)そのような範囲で考えられる履行確保措置のあり方につき、自由な意見交換を行った。
 これについては、月曜日以降に再度検討を行う予定である。

3.今後の予定

 ベルリン・マンデート会合は、現在までのところ、着実に、条文案の整理が進められている。8月4日(月)からは、先週中は設けられていなかった政策措置に関する非公式交渉も開始されるなど、更に精力的な作業が進められる予定である。


[2].その他の補助機関会合

 7月28日(月)~30日(水)にかけて、SBSTA(科学上・技術上の助言に関する補助機関)、SBI(実施に関する補助機関)、AG13(条約第13条に関する特別会合)が開催された。SBSTA及びSBIは、引き続き、8月5日に開催され、今次会合の成果を討議・採択する予定である。また、条約第13条に定められている「多国間協議手続」について検討を行っているAG13では、COP3後も引き続き検討を継続することが合意され、会議を終了した。

1.SBSTA

 SBSTAにおいては、SBSTAとSBIの役割分担について、例えば、共同実施活動についてはSBSTAが中心に、NGOとのコンサルテーションや技術移転についてはSBIが中心に検討すること等が決定され、作業の重複の排除や効率化が図られることとなった。また、方法論的課題についても、ワークプログラムにおける優先順位の明確化が図られた。

2.SBI

 SBIにおいては、SBSTAにおける検討事項に加え、1998-99年事務局予算やCOP3の準備等について主として検討された。事務局予算については、集中的な検討の結果、事務局予算の大幅な増加を圧縮することの合意が得られた。COP3の議事次第については、8月5日の採択に向けて、引き続き非公式コンタクトグループで調整中である。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課課  長:小林  光
調 整 官:関 荘一郎(6765)
 課長補佐:石飛 博之(6737)
 係  長:中尾  豊(6738)