報道発表資料

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1997年04月25日

「地球環境問題をめぐる消費者の意識と行動が企業戦略に及ぼす影響(企業編)」調査概要について

環境庁国立環境研究所では、地球環境問題をめぐる消費者と企業の関係に関する調査の一環として、我が国における企業の環境問題に対する認識や環境に配慮した行動の現状等について調査を行った。
 その結果、全体として、企業の意識は従来の経済成長中心から環境配慮中心へと変化していることがうかがわれた。例えば6割以上の回答企業が、地球環境問題は中長期的には重要な問題であり経済成長を多少緩やかにしても今のうちに対応をしておかなければ将来取り返しがつかなくなるという意見に賛成した。本調査結果 は、近く出版されるUNCSD(国連持続的発展委員会)の報告書でも引用される予定である。
 なお、本調査は地球環境研究総合推進費により実施された。調査対象企業は、東京、大阪、名古屋及びその他地方の証券取引所1・2部上場企業及び非上場企業6000社で有効回答数は2093社(有効回収率34.9%)であった。

〈報告書の要点〉

・地球環境問題に関する認識や行動は業種、上場・非上場、企業規模による差が大きく、上場大企業が著しく高い。総体的に電気・ガス・熱供給業、製造業、建設業は積極的である。金融・保険業は、自社の融資活動を通じて様々な産業に影響を及ぼしうる鍵となる業種であるにも関わらず、認識が低い。不動産・サービス業でも同様である。小売り、飲食業でも、環境に敏感になりつつある消費者との接点である業種にも関わらず、環境問題と自社業務との関連を認識している割合が低い。

・北米・EU諸国と取引のある企業は単に環境意識が高いだけではなく、自社基準を制定しているうえに国際的な認証の取得にも取り組んでいることが多いことが、統計的に有意に確かめられた。

・企業は消費者の環境意識の高まりに追いついておらず、消費者との認識の大きなギャップが生まれている。昨年度の我々の消費者調査の結果との比較から一例をあげると、卸・小売業に対する要望が「ビンやトレイのリサイクル」(64%)や「環境保全型商品の品揃え」(61%)と高いのに対して、卸・小売業ではそのような要望を、それぞれ23%および32%と半分程度の企業しか認識していない。また、自社の環境配慮(製品、サービス、その他の取り組み)を積極的に消費者に情報提供している企業は3割にみたず、企業の消費者に対するコミュニケーション・ギャップの存在が明らかになった。

・環境対応に積極的な「環境先進企業」の多くは製造業(8割)であり、また、上場企業が9割を占め、取引先に環境配慮を求めるなどリーダーとしての役割を果たしている。

*調査概要については添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁国立環境研究所
主任研究企画官  奥村知一 (0298-50-2302)
 社会環境システム部
 主任研究員     青柳みどり(0298-50-2392)