{1} | 企業の意識は従来の経済成長中心から、環境への配慮中心へと変化している |
地球環境問題は中長期的には重要な問題であり、経済成長を多少緩やかにしても今のうちに対応をしておかなければ将来取り返しがつかなくなるという意見に6割以上が賛同した。また、5割の企業がビジネスチャンスとしての将来性があるという期待感を持つ企業や環境対策を経営面のコスト削減に積極的に活かそうとしている。 |
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{2} | 地球環境問題に対する認識や行動は業種による差が大きい |
電気・ガス・熱供給業、製造業、建設業は自社の活動が地球環境に与える負荷を認識し、環境問題への配慮、可能な対応を実施している割合が高い。運輸・通信業は、自社事業が環境に与える負荷を認識しているものの、法律や条例の遵守以上の対応をしている企業は少ない。環境問題は一社だけでは対応のしようがなく、また環境問題への対応は企業経営にとってもコスト増になると考えている。金融・保険業・不動産業・サービス業、卸売業、小売業・飲食店では事業内容が環境問題を引き起こすと考えていない企業の割合が高い。特に、不動産業・サービス業、卸売業は、オフィス部門での省エネ・リサイクルの取り組みも少ない。金融・保険業はオフィス部門の環境配慮や社会貢献活動には積極的である。 |
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{3} | 上場大企業の環境認識と行動は著しく高い |
環境問題に対する認識と取り組みは、上場大企業が著しく高く、続いて上場中小企業、非上場大企業、非上場中小企業の順となっている。上場企業が環境問題に取り組む動機で非上場企業に比べて顕著なのは、国際ルールの制定や海外顧客の要望への対応といった外圧への対応である。次いで、リスクの回避、企業イメージの向上を図るといった要因があげられた。また、取引企業やグループ企業に対して、環境に配慮した製品の製造や納入・納品など環境に配慮した行動の要請をしている割合も高い。 |
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{4} | 北米・EU諸国と取引をしている企業の環境意識は、そうでない企業に比べて有意に高い |
海外取引のある企業について取引相手別に環境意識や環境行動を比較したところ、北米・EU諸国と取引をしている企業の環境意識は、取引先に北米・EU諸国を含まない企業に比べると有意に高くなっている。北米・EU諸国を取引先に持つ企業は自社基準に加えて国際的な認証の取得に取り組んでいる割合が高くなる。 |
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{5} | 企業は環境行動がイメージアップにつながっていると認識 |
環境に関する自社の商品、サービス、広告、企業活動に対する消費者からの反応は、「環境に関する広告によって環境に配慮しているというイメージが定着した」が約3割で最も多い。「売れ行きが伸びた」という企業は約1割である。 |
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{6} | 消費者と企業の地球環境問題についての認識の乖離 |
企業は、消費者の環境意識はマスコミ主導の一時的なものであるといった見方はしていないものの、まだ環境よりも価格や便利さを重視していると考えている。平成7年度「消費者調査」と比べると、製造業は廃棄段階で責任を持って回収・処分するべきであるという認識が消費者の期待に比べて半分以下である。消費者は物を大切にしたいとの姿勢を示しているのに対して、製造業は新しい商品を販売しようとする姿勢がみえる。 また、「ビンやトレイ等のリサイクル活動を積極的に行う」、「省エネ商品・再生商品などの環境保全型商品の品ぞろえを豊富にする」といった行動に関しては、小売業の認識が消費者の期待を大きく下回っている。 |
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{7} | 企業に不足する消費者とのコミュニケーション努力 |
企業から消費者への情報の発信として、環境に配慮した商品・サービス、その他環境への取り組みを消費者に情報提供・公開している企業は3割に満たない。 |
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{8} | 環境先進企業 |
自社業務の地球環境への負荷の認識・対応と、環境関連規制への対応状況に応じて採点した結果10点満点であった251社を「環境先進企業」と名付けた。上場大企業が9割近くを占め、業種別では8割強が製造業であった。取引企業やグループ企業に対して、環境に配慮した商品を製造・納入するよう要請したり、自社の環境基準を遵守するよう要請するなど、取引業務を通じて企業活動を環境に配慮したものへと変革するリーダー的な役割を担っている。 | |
{9} | 環境リテラシーは企業の環境行動のカギ |
環境に関する最新の6つのキーワードの認知状況を「環境リテラシー」とした。環境リテラシーレベルが「高」グループには、上場大企業の半数以上が含まれ、ISO14000や環境JISの認証を目指し取り組むだけではなく、消費者の最近の環境意識の高まりに対して戦略的な対応を実施するなど、環境問題に対して積極的に取り組んでいる。 |
標本数 | 有効回収数 | 回収率 | ||
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上場企業 | 2,304 | 885 | 38.4% | |
非上場企業 | 3,696 | 1,193 | 32.3% | |
大企業 | 1,372 | 436 | 31.8% | |
中小企業 | 2,324 | 757 | 32.6% | |
不 明 | − | 15 | − | |
合 計 | 6,000 | 2,093 | 34.9% |
{1} | 1)社会的な影響が大きい、2)アンケート以外のデータが入手できる、3)アンケートの回収数を確保するという点を考慮し、証券取引所1・2部上場企業(地方上場を含む)をすべて調査対象とした(平成8年10月現在:2,304社)。 | |||||||||||||||||
{2} | サンプル総数6,000社から上場企業数(2,304社)を除いた企業3,696社については、「(株)帝国データバンク」に登録されている非上場の大企業(30,578社)と非上場の中小企業(51,730社)の比率で按分し調査対象数を設定した。 | |||||||||||||||||
{3} | 非上場の中小企業の母集団を決めるに当たっては以下のように定義した。 | |||||||||||||||||
1) | 上限については、「中小企業基本法」の定義のうち従業員数を使用した(資本金の基準については考慮しなかった)。 |
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2) | 環境に対する様々な取り組みや考え方について、個人としてではなく企業という立場で回答してもらうという観点から、従業員数の下限を「工業・鉱業等」は100名以上、卸売業・小売業・サービス業は30名以上とした。 |
〈問い合わせ先〉 ○環境庁国立環境研究所 社会環境システム部 青柳 みどり TEL:0298-50-2392 FAX:0298-50-2572 ○(株)住友生命総合研究所 生活部 桂川、鈴木、田畑 TEL:03-3272-5888 FAX:03-3272-5911 |