報道発表資料

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1999年01月13日

阪南港阪南2区公有水面埋立について

大阪府岸和田市先公有水面における公共ふ頭用地、都市再開発用地等の整備のために行われる公有水面埋立について、公有水面埋立法第47条第2項の規定に基づき、運輸大臣より環境上の観点による意見の照会があったことから、平成11年1月13日付けで水質保全対策、交通公害防止、及び計画的な環境監視等に関する環境庁意見を提出した。

【環境庁長官の意見】

1.本埋立計画は、埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域における計画であり、本埋立計画の実施に際しては、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく埋立ての基本方針に十分配慮するとともに、環境保全に万全を期するため、次の措置を講じる必要がある。

  1. 予測の前提となっている下水道の整備、高度処理の導入を計画的かつ確実に実施すること。
  2. 埋立地の環境保全及び廃棄物等の減量化・リサイクルの推進の観点から、建設廃材等の処分が適切に行われるよう十分配慮すること。
  3. 住工混在を解消し、市街地の生活環境を改善するための製造業用地を設置していることから、本事業が竣功した時点で、工場の移転が確実に進むように対策を講じること。
  4. 本埋立計画に伴う人工海浜等の導入は、既に周辺の自然海浜が埋立てで改変された海域で実施されるものであるが、このような海域における自浄能力の向上、生物生息空間、親水空間の確保等海域環境の改善を図るための技術の確立が求められていることから、今後さらに機能、構造等の面から十分な検討を行った上で、環境に悪影響が生じないよう実施するとともに、工事中も含め長期的なモニタリング等によりその効果を確認すること。

2.本埋立地の背後地域の交通公害は、大阪臨海線沿道をはじめとして現に著しく、将来、埋立地に由来する交通量が増加し、道路交通騒音に係る環境基準(一部は自動車交通騒音に係る要請限度)や浮遊粒子状物質に係る環境基準の超過が予測される。また、当該地域は自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措法(平成4年6月3日法律第70号)に基づく特定地域であることにかんがみ、以下の措置をはじめとした積極的な交通公害防止対策を講じる必要がある。

  1. 低公害車向け燃料供給施設としての天然ガススタンドについて、関係機関と協力しつつ、阪南2区またはその周辺において用地を確保し、設置を推進すること。
      また、用地分譲・整備に当たり、自動車を多数使用する移転工場、清掃工場、港運事業者等の立地事業者における低公害車や低NOx車の使用を促進すること。
  2. 関係者間で十分な調整の上、港湾関連貨物の共同化、輸送の効率化、モーダルシフト等を促進すること。
  3. 工事期間中、埋立用材につき可能な限り海上運搬を行い関係車両数を削減するとともに、陸送時も原則として阪神高速湾岸線を使用すること等により、沿道環境負荷を低減すること。

3.周辺地域において二酸化窒素や浮遊粒子状物質に係る大気濃度が比較的高水準で推移していることにかんがみ、立地する工場・事業場について、ガス等良質燃料の使用や低Ox機器等の導入を促進することにより、大気環境負荷を低減する必要がある。

4.本埋立事業は、埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域におる比較的長期にわたる事業であることから、工事中及び埋立地利用時における環境監視を計画的に実施し、工事途中段階及び埋立地利用時に環境監視結果を勘案の上、今回実施された環境影響評価の予測結果についてレビューを行い、その結果を踏まえ埋立工事の工程等の変更を含め環境保全上必要な措置を講じる必要がある。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室 長:小林 正明(内線6231)
 審査官:辻  祐司(内線6236)