報道発表資料

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1996年12月16日

平成7年度振動規制法施行状況調査について

環境庁は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成7年度の振動苦情の状況、振動規制法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。
 
(1) 振動苦情の状況
   振動苦情の件数はここ数年減少傾向にあったが、平成7年度は2,742件で、前年度に比べ7.7%増加した。
 苦情の発生源別内訳をみると、建設作業が46.3%、工場・事業場が29.8%、道路交通・鉄道が18.2%等であった。
(2) 振動規制法の施行状況
   法に基づく規制対象地域は、全国の50.5%に当たる1,643市区町村(前年度比3町村の増)で指定が行われている。
 同地域において規制対象となる工場・事業場及び建設作業に対する苦情については立入検査が513件、行政指導が549件行われた。法に基づく改善勧告は行われなかった(前年度1件)。

 環境庁としては、平成7年度の振動苦情件数の増加原因の1つとして阪神・淡路大震災後の復旧作業の影響があると考えているが、その他の原因について調査するとともに、振動規制法に基づく振動対策の一層の推進を図っていく。

1.目 的

 環境庁では、振動防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県及び指定都市を通じ、振動に係る苦情の状況、振動規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)振動苦情の状況

{1}  平成7年度に全国の地方公共団体が受けた振動に係る苦情の件数は、2,742件であった。これは、平成6年度(2,547件)と比べて195件、7.7%の増加となる。

 

図1 振動苦情件数の推移

 
{2}  苦情件数を都道府県別にみると、東京都の643件が最も多く、次いで大阪府383件、神奈川県303件の順となっており、この3都府県で全国の振動苦情件数の5割近くを占めている。(表1)
 苦情件数の増加要因を考察するため都道府県別の増減状況をみると、特に今年度増加件数が大きかったのは兵庫県、大阪府であった(表2)。
表1 都道府県別苦情件数(上位10都道府県)

苦 情 件 数 人口100万 対件数
都道府県 件 数 都道府県 件 数
東 京 都 643 東 京 都 56
大 阪 府 383 兵 庫 県 54
神奈川県 303 大 阪 府 45
兵 庫 県 292 神奈川県 37
愛 知 県 190 愛 知 県 28
埼 玉 県 153 埼 玉 県 23
千 葉 県 131 千 葉 県 23
北 海 道 62 石 川 県 22
福 岡 県 41 岡 山 県 21
10 京 都 府 40 京 都 府 16
全   体 2,742 全国平均 13
注) 人口は、平成8年3月31日現在の住 民基本台帳人口による。


表2 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況

{3}  苦情件数を発生源別にみると、建設作業が1,269件(46.3%)で最も多く、次いで工場・事業場(工場等)817件(29.8%)、道路交通及び鉄道500件(18.2%)の順となっている。(図2)

図2 苦情件数の発生源別内訳

 特定工場等・特定建設作業の最近の推移については、工場・事業場の指標となる特定工場等の総数は概ね前年度並であるが、特定建設作業の件数は増加している。(表3)
 
 表3 特定工場等・特定建設作業の最近の推移

  平成5年度 平成6年度 平成7年度
特定工場等
総数
115,073 117,730 117,076
対前年度増
(増加率)
367
(0.32%)
2,657
(2.31%)
-654
(-0.56%)
特定建設
作業件数
25,848 25,577 27,637
対前年度増
(増加率)
93
(0.36%)
-271
(-1.05%)
2,060
( 8.05%)
{4} 規制対象とそれ以外の苦情件数比較
   工場・事業場に対する苦情総数817件のうち、法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、約3割の261件(31.9%)、建設作業に対する苦情総数1,269件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は3割弱の359件(28.3%)となっている。(表4)

表4 規制対象・非対象別苦情件数

  発生源 指 定 地 域





特定工場等 261
( 31.9%)
16
( 2.0%)
277
( 33.9%)
上記以外 498
( 61.0%)
42
( 5.1%)
540
( 66.1%)
759
( 92.9%)
58
( 7.1%)
817
(100.0%)



特定建設作業 359
( 28.3%)
3
( 0.2%)
362
( 28.5%)
上記以外 882
( 69.5%)
25
( 2.0%)
907
( 71.5%)
1,241
( 97.8%)
28
( 2.2%)
1,269
(100.0%)

(2)地域指定の状況
 振動規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は平成7年度末現在1,643(平成6年度1,640)で、全国の市区町村数の50.5%に相当する。(表5)
 
 表5 地域指定の状況(平成7年度末現在)

 
全市区町村数 663  23  1,992 577  3,255
指定市区町村数 651 23 869 100 1,643
割 合 (%)  98.2 100 43.6  17.3 50.5

(3)工場・事業場に対する規制の状況

 ア. 特定工場等及び特定施設の届出数
   振動規制法に基づき届出された特定工場等数及び特定施設数は、平成7年度末現在それ ぞれ117,076及び854,634となっている。
 特定工場等の内訳をみると、金属加工機械を設置しているものが最も多く(約36%)、 以下、圧縮機を設置しているもの(約23%)、織機を設置しているもの(約18%)の順と なっている。特定施設の内訳をみると、織機が最も多く(約37%)、以下、金属加工機械 (約34%)、圧縮機(約15%)の順となっている。(表6-1、表6-2)

表6 法に基づく届出数(平成7年度末現在)
 6-1 特定工場等数

設 置 特 定 施 設 総 数 (%)
金属加工機械 41,724   35.6
圧縮機 27,286 23.3
土石用破砕機等 3,213 2.7
織機 21,450 18.3
コンクリートブロックマシン等 891 0.8
木材加工機械 2,587 2.2
印刷機械 11,491 9.8
ロール機 716 0.6
合成樹脂用射出成形機 6,842 5.9
鋳型造型機 876 0.8
 117,076 100

 6-2 特定施設数

特 定 施 設 総 数 (%)
金属加工機械 287,691   33.7
圧縮機 128,592 15.0
土石用破砕機等 18,316 2.1
織機 318,499 37.3
コンクリートブロックマシン等 2,533 0.3
木材加工機械 4,039 0.5
印刷機械 37,268 4.4
ロール機 3,909 0.5
合成樹脂用射出成形機 48,299 5.6
鋳型造型機 5,488 0.6
 854,634 100

 注)特定工場等とは、特定施設を有し、法の規制対象となる工場・事業場。

 イ. 法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定工場等に係る苦情261件(平成6年度253件)に対して、平成7年度に 行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収75件(同59件)、立入検査225件 (同218件)、振動の測定135件(同127件)であった。振動測定の結果、規制基準を超え ていたものは41件(同36件)であり、改善勧告(同1件)及び改善命令(同0件)は行わ れていない。
 これらの措置のほか、振動防止に関する行政指導が233件(同209件)行われた。 (表7)

表7 指定地域内の特定工場等に係る措置状況

  特定工場等
苦   情 261




報告の徴収
立入検査
測   定
 うち基準超
改善勧告
改善命令
75
225
135
41

行政指導 233

(4)特定建設作業に対する規制の状況

 ア. 特定建設作業の届出件数
   平成7年度中に届出された特定建設作業実施件数は27,637件(平成6年度25,577件 )であり、その内訳をみると、くい打機等を使用するもの10,943件(同10,648件)、ブレ ーカーを使用するもの15,919件(同14,122件)が多くを占めている。(表8)

表8 特定建設作業件数

特 定 建 設 作 業 届出件数
くい打機等を使用  10,943   39.6%
鋼球を使用して破壊 129 0.5%
舗装版破砕機を使用 646 2.3%
ブレーカーを使用 15,919 57.6%
27,637 100%
 イ. 法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定建設作業の苦情359件(平成6年度393件)に対して、平成7年度に行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収75件(同66件)、立入検査288件(同354件)、振動の測定88件(同87件)であった。振動測定の結果、基準を超えていたものは7件(同18件)であった。改善勧告、改善命令は行われていない(同0件)が、振動防止に関する行政指導が316件(同366件)行われた。(表9)

表9 指定地域内の特定建設作業に係る措置状況

  特定建設作業
苦   情 359




報告の徴収
立入検査
測   定
 うち基準超
改善勧告
改善命令
75
288
88


行政指導 316

(5)道路交通振動に対する措置の状況
 指定地域内の道路交通振動の苦情338件(平成6年度306件)に対して、振動の測定は191件(同144件)行われており、要請限度を超えていたものは3件(同4件)であった。また、都道府県公安委員会に対する要請及び道路管理者に対する要請は行われていない。(同ともに0件)
 なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、道路管理者に対する協力依頼等の措置が137件(同113件)、都道府県公安委員会に対する同様の措置が9件(同13件)行われた。(表10)
 
 表10 指定地域内の道路交通振動に係る措置状況

行 政 措 置 等 件  数
苦    情
測    定
 うち要請限度超
公安委員会へ要請
道路管理者へ要請
338
191


要請以外の公安委員会への措置依頼
要請以外の道路管理者への措置依頼
9(1)
137(2)

 ( )内は要請限度を超えたものに対する内訳(内数)である。
 
*〈参考〉平成6年度振動規制法施行状況調査、図表に関しては添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室長 鈴木 安次(内線6540)
 補佐 荒木 真一(内線6543)
 担当 高橋、原渕(内線6546)