報道発表資料

この記事を印刷
1996年12月16日

平成7年度騒音規制法施行状況調査について

環境庁は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成7年度の騒音苦情の状況、騒音規制法の施行状況等を取りまとめた。その概要は次のとおりである。
 
(1) 騒音苦情の状況
   騒音苦情の件数は、平成7年度は14,359件で、前年度に比べ約10%減少した。
 苦情の原因別内訳をみると、工場・事業場騒音が最も多く36.8%、次いで建設作業騒音21.8%、営業騒音14.5%、家庭生活騒音9.2%等であった。
(2) 騒音規制法の施行状況
   法に基づく規制対象地域は、全国の64.5%に当たる2,101市区町村(前年度比4町村の増)で指定が行われている。
 同地域において規制対象となる工場・事業場及び建設作業に対する苦情については、立入検査が1,705件、行政指導が1,748件行われた。法に基づく改善勧告は 7件(前年度3件)行われた。

 環境庁としては、今後とも、騒音規制法に基づく騒音対策の推進を図っていく。

1.目 的

 環境庁では、騒音防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県及び指定都市を通じ、騒音苦情の状況、騒音規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)苦情の状況

{1}  平成7年度に全国の地方公共団体が受けた騒音に係る苦情の件数は、14,359件であった。これは、平成6年度(15,986件)と比べて1,627件、10.2%の減少となる。

図1 騒音苦情件数推移

{2}  苦情件数を都道府県別にみると、東京都の2,948件が最も多く、次いで大阪府1,430件、神奈川県1,216件、愛知県1,215件の順となっており、この4都府県で全国の騒音苦情件数の5割近くを占めている。(表1)
 苦情の都道府県別の増減状況をみると、減少件数の大きいのは東京都、埼玉県、神奈川県等、増加件数の大きいのは群馬県、兵庫県等である。(表2)

  表1 都道府県別苦情件数(上位10都道府県)


苦 情 件 数 人口100万対件数
都道府県 件 数 都道府県 件 数
東 京 都 2,948 東 京 都 255
大 阪 府 1,430 青 森 県 249
神奈川県 1,216 愛 知 県 179
愛 知 県 1,215 大 阪 府 166
埼 玉 県 943 神奈川県 149
兵 庫 県 696 埼 玉 県 140
千 葉 県 624 兵 庫 県 128
青 森 県 376 宮 崎 県 109
福 岡 県 362 千 葉 県 108
10 北 海 道 318 群 馬 県 106
全   国 14,359 全国平均 86

注) 人口は、平成8年3月31日現在の住民基本台帳人口による。

 表2 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況

{3}  苦情件数を発生源別にみると、工場・事業場(工場等)が5,283件(36.8%)で最も多く、次いで建設作業3,127件(21.8%)、営業2,073件(14.5%)の順となっている。
 また、発生源別の増減状況としては、苦情総数の2割程度を占める建設作業に係る苦情が増加し(前年度2.2%の増)、苦情の総数の4割弱を占める工場・事業場(前年度比13.0%の減)、営業(前年度比12.0%の減)、家庭生活(前年度比17.2%の減)に係る苦情が減少した。(図2)

図2 苦情件数の発生源内訳

 特定工場等・特定建設作業の最近の推移については、工場・事業場の指標となる特定工場等の総数の増加率はさほど高いとは言えないが、特定建設作業の件数は前年度より増加した。(表3)  表3 特定工場等・特定建設作業の最近の推移
  平成5年度 平成6年度 平成7年度
特定工場等
総数
202,544 204,838 206,548
対前年度増
(増加率)
809
(0.40%)
2,294
(1.13%)
1,710
(0.83%)
特定建設
作業件数
38,406 38,568 40,304
対前年度増
(増加率)
220
(0.58%)
162
(0.42%)
1,736
(4.5 %)
{4}  規制対象とそれ以外の苦情件数との比較
 
 工場・事業場に対する苦情総数 5,283件のうち、法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、約1/4の1,227件(23.2%)、建設作業に対する苦情総数 3,127件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約1/4の818件(26.2%)となっている。(表4)
 表4 規制対象・非対象別苦情件数
  発生源 指 定 地 域





特定工場等 1,227
( 23.2%)
61
( 1.2%)
1,288
( 24.4%)
上記以外 3,587
( 67.9%)
408
( 7.7%)
3,995
( 75.6%)
4,814
( 91.1%)
469
( 8.9%)
5,283
(100.0%)



特定建設作業 818
( 26.2%)
18
( 0.6%)
836
( 26.8%)
上記以外 2,196
( 70.2%)
95
( 3.0%)
2,291
( 73.2%)
3,014
( 96.4%)
113
( 3.6%)
3,127
(100.0%)

(2)地域指定の状況


 騒音規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は、平成7年度末現在 2,101(平成6年度2,097)で、全国の市区町村の64.5%に相当する(表5)
  表5 地域指定の状況(平成7年度末現在)
全市区町
村数
指定
市区町村数
663 23 1,992 577 3,255
地域指定 661 23 1,240 177 2,101
割合 99.7 100 62.2 30.7 64.5
環境基準の
地域の類型
当てはめ
605 23 886 100 1,614
割合 91.3 100 44.5 17.3 49.6

(3)騒音に係る環境基準の類型当てはめ状況

環境基本法に基づく環境基準の類型当てはめ地域を有する市区町村数は、平成7年度末現在1,614(平成6年度1,613)で、全国の市区町村の49.6%に相当する。(表5)

(4)工場・事業場に対する規制の状況

  ア.  特定工場等数及び特定施設の届出数
   騒音規制法に基づき届出された特定工場等及び特定施設の総数は、平成7年度末現在それぞれ206,548及び1,462,901となっている。
 特定工場等の内訳をみると、空気圧縮機・送風機を設置しているものが最も多く(約33%)、以下、金属加工機械を設置しているもの(約22%)、織機を設置しているもの(約14%)の順となっている。特定施設の内訳をみると、空気圧縮機・送風機が最も多く(約34%)、以下、織機(約31%)、金属加工機械(約18%)の順となっている。
(表6-1、表6-2)

 表6 法に基づく届出数(平成7年度末現在)
 6-1 特定工場等総数

設 置 特 定 施 設 総 数 (%)
空気圧縮機・送風機 68,833 33.3
金属加工機械 44,759 21.7
織機 28,559 13.8
印刷機械 22,741 11.0
木材加工機械 22,454 10.9
合成樹脂用射出成形機 8,575 4.2
建設用資材製造機械 4,074 2.0
土石用破砕機等 4,109 2.0
鋳型造型機 1,127 0.5
抄紙機 727 0.3
穀物用製粉機 590 0.3
206,548 100

 6-2 特定施設総数

設 置 特 定 施 設 総 数 (%)
空気圧縮機・送風機 500,969 34.2
織機 448,120 30.6
金属加工機械 265,720 18.2
印刷機械 81,495 5.6
木材加工機械 69,486 4.8
合成樹脂用射出成形機 52,810 3.6
土石用破砕機等 24,523 1.7
鋳型造型機 7,880 0.5
建設用資材製造機械 5,977 0.4
穀物用製粉機 3,794 0.3
抄紙機 2,127 0.1
1,462,901 100

  注)特定工場等とは、特定施設を有し、法の規制対象となる工場・事業場。

  イ.  法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定工場等に係る苦情1,227件(平成6年度1,414件)に対して、平成7年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収300件(同321件)、立入検査1,023件(同1,164件)、騒音の測定571件(同702件)であった。騒音測定の結果、規制基準を超えていたものは361件(同478件)であり、改善勧告は7件(同3件)行われた。
 これらの措置のほか、騒音防止に関する行政指導が1,035件(同1,259件)行われた。
(表7)

表7 特定工場等の騒音に係る指定地域内における法に基づく措置状況

  特定工場等
苦   情 1,227




報告の徴収
立入検査
測   定
 内基準超
改善勧告
改善命令
300
1,023
571
361
7
0
行政指導 1,035

(5)特定建設作業に対する規制の状況

  ア.  特定建設作業の届出件数
   平成7年度中に届出された特定建設作業実施件数は40,304件(平成6年度38,608件)であり、その内訳をみると、さく岩機を使用するもの28,998件(同27,901件)、くい打機等を使用するもの7,124件(同6,877件)が多く両者で全体の約9割を占めている。(表8)

表8 特定建設作業実施届出件数

特 定 建 設 作 業 件 数 (%)
さく岩機を使用する作業 28,998   71.9
くい打機等を使用する作業 7,124 17.7
空気圧縮機を使用する作業 3,848 9.5
コンクリートプラントを設ける作業 265 0.7
びょう打機を使用する作業 69 0.2
40,304 100
  イ.  法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定建設作業に係る苦情818件(平成6年度735件)に対して平成7年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収220件(同141件)、立入検査682件(同652件)、騒音の測定219件(同200件)であった。騒音測定の結果、基準を超えていたものは67件(同58件)であった。
 これら措置のほか、騒音防止に関する行政指導が713件(同662件)行われた。(表9)

表9 特定建設作業の騒音に係る指定地域内における法に基づく措置状況

  特定建設作業
苦   情 818




報告の徴収
立入検査
測   定
うち基準超
改善勧告
改善命令
220
682
219
67
0
0
行政指導 713

(6)自動車騒音に対する措置の状況

 指定地域内の自動車騒音に係る苦情362件(平成6年度379件)に対して、騒音の測定は206件(同213件)行われており、要請限度を超えていたものは56件(同64件)であった。また、都道府県公安委員会に対する交通規制等の要請が1件(同0件)、道路管理者に対する道路の構造改善等の意見陳述が24件(同16件)行われた。
 なお、これらの騒音規制法に基づく措置のほか、道路管理者に対する協力依頼等の措置が112件(同120件)、都道府県公安委員会に対する同様の措置が 9件(同15件)行われた。(表10)

表10 自動車騒音に係る指定地域内における法に基づく措置状況

  自動車
 苦     情 362
 測      定
  内要請限度超
 公安委員会へ要請
 道路管理者への意見陳述
206
56
1( 1)
24(16)
  要請以外の公安委員会への措置依頼
  意見陳述以外の道路管理者への措置依頼
  9( 3)
112(31)

  ( )内は要請限度を超えたものに対する内訳である。(内数)

(7) 低周波音(低周波空気振動)に係る苦情の状況平成7年度に地方公共団体が受けた低周波音に係る苦情の件数は23件(平成6年度33件)であった。内訳をみると、工場・事業場が12件(同12件)、鉄道が4件(同8件)等であった。(表11)

表11 低周波音(低周波空気振動)に係る苦情の状況

苦  情 件 数
工場・事業場 12 52.2
建設作業 1 4.3
道路交通 2 8.7
鉄道 4 17.4
その他 4 17.4
合  計 23 100

(8)一般地域における環境基準の適合状況

 平成5年度から、参考として、全国の一般地域(道路に面する地域以外)における環境騒音の状況を把握するため、地方公共団体により測定された環境騒音の環境基準の適合状況について調査している。(表12)

{1}  環境騒音の測定実施状況
   平成7年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体について、都道府県・指定都市ごとに取りまとめ、全国集計を行ったところ、測定実施団体数は441(同473)で、環境基準の類型あてはめ市町村数の約1/4であった。
 測定地点の総数は9,754(同8,016)であり、そのうち定点測定地点数(毎年度実施しているものとは限らない)は7,982(同5,097)で、全体の約4/5となっている。
 
{2}  環境基準の適合状況
   平成6年度から、地域の騒音状況をマクロに把握するような地点を選定している場合と、騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合とに分けて集計を行うこととした。
   地域の騒音状況をマクロに把握するような地点を選定している場合
    (ア) 全測定地点でみると、8,641地点のうち5,981地点が適合(適合率69.2%)している。地域類型別にみると、A類型(住居系地域)では5,860地点のうち3,647地点が適合(適合率62.2%)、B類型(住居・商工業混在地域)では2,748地点のうち  2,311地点が適合(適合率84.1%)している。
    (イ) 定点測定地点でみると、7,158地点のうち4,848地点が適合(適合率67.7%)している。地域類型別にみると、A類型では4,846地点のうち2,906地点が適合(適合率60.0%)、B類型では2,279地点のうち1,919地点が適合(適合率84.2%)している。
   騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合
     全測定地点では1,113地点のうち788地点が適合(適合率70.8%)し、定点測定地点では824地点のうち622地点が適合(適合率75.5%)している。
 (注) この集計における環境基準の適合・不適合の判定については、原則として、測定した全ての時間帯において環境基準を満たした場合を「適合」とした。

表12  一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)

 (AA とくに静穏を要する地域、
主として住居の用に供される地域、
相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域)

*〈参考〉平成6年度騒音規制法施行状況調査及び図に関しては添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室長 鈴木 安次(内線6540)
 補佐 荒木 真一(内線6543)
 担当 高橋、原渕(内線6546)