報道発表資料

この記事を印刷
2004年11月18日
  • 自然環境

平成16年の鳥島初寝崎側の斜面におけるアホウドリの産卵について

平成16年11月16日までに、アホウドリの繁殖地の誘導事業を行っていた東京都鳥島の初寝崎(はつねざき)側の斜面において、従来の1つがいに加え、今回新たに2つがいによる産卵が、山階鳥類研究所によって確認されましたので、お知らせします。これにより、アホウドリの繁殖地を安全な場所に誘導する事業の目途がついたといえます。

1 初寝崎における新たなつがいによる産卵の確認

 環境省では平成5年より、東京都鳥島において、アホウドリの保護増殖事業の一環として、従来の繁殖地である燕崎(つばめざき)よりも安定した場所である初寝崎側の斜面への繁殖地の誘導事業を行ってきました。
初寝崎側の斜面において従来繁殖に成功している1つがいに加えて、新たに2つがいによる産卵が、山階鳥類研究所によって確認されました。新たに繁殖した2つがいのうち、1羽は初寝崎で巣立った個体であることが確認されました。


2 今後の展望

 鳥島におけるアホウドリの個体数は平成5年の事業開始時の約500羽と比較して、現在3倍以上の約1600羽となりましたが、そのほとんどは、火山灰が降雨により泥流となって流出・堆積する不安定な斜面である燕崎の繁殖地で繁殖をしています。今回、安全である初寝崎側の斜面で新たに2つがいが産卵に成功し、そのほか、多くの個体の営巣、交尾等の繁殖行動が確認されたことなどから、今後、初寝崎側の斜面における繁殖数が増加していくことが予想され、アホウドリの繁殖地を安全な場所に誘導する事業の目途がついたといえます。


3 アホウドリの保護増殖事業

■背景と内容
 環境省は昭和56年より、東京都鳥島においてアホウドリの保護増殖事業に取り組んできました。アホウドリは主に鳥島の燕崎で繁殖地を形成していますが、燕崎の繁殖地は降雨によって火山灰が泥流となって流れ出し、堆積するおそれがあるため、砂防工事、堆積土砂の除去及び植栽を行い、繁殖成功率の向上に取り組んできました(東京都委託事業)。それと並行して、平成5年よりアホウドリにとって危険の少ない繁殖地を設けることを目指し、燕崎に対して島の反対側で、火山灰の流出及び堆積がない初寝崎側の斜面に新たな繁殖地を形成するために、デコイ(アホウドリの模型)及びアホウドリの鳴き声を再生する音声装置を用いた、アホウドリの誘導事業を実施してきました(山階鳥類研究所請負事業)。

■初寝崎側の斜面における保護増殖事業の実績
 初寝崎側の斜面における誘導事業は、平成7年に初めて1つがいが繁殖に成功し、ヒナが巣立ちました。このつがいは毎年初寝崎側の斜面で繁殖し、今までに7羽のヒナが巣立ちました。今回、新たに繁殖した2つがいの卵が無事にかえり、ヒナが巣立てば、9年ぶりの繁殖成功つがいの増加となります。
アホウドリ写真

 初寝崎側の斜面において今年から繁殖を開始した個体。アホウドリの左足の足元にある白いものが卵。この個体は、足輪の番号から、平成12年5月に初寝崎側の斜面で巣立った個体であることが確認されている。 写真の解説図
(撮影:山階鳥類研究所)



 

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長:名執芳博    (6460)
 補佐:松田  博    (6469)
 担当:佐々木 真二郎(6469)
 直通:03-5521-8283