報道発表資料

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2004年07月27日
  • 保健対策

平成16年度第1回内分泌攪乱化学物質問題検討会について

 7月27日(火)に「内分泌攪乱化学物質問題検討会(座長:鈴木継美東京大学名誉教授)」を開催。主な審議内容等は、次のとおり。

I 平成14年度優先検討物質の試験結果等について

 環境省では、「環境ホルモン戦略計画 SPEED'98」掲載の内分泌攪乱作用が疑われる物質について、平成12年度から順次、有害性評価を行っている。
 平成12年度に12物質、平成13年度に8物質、平成14年度に8物質を選定し、人の健康及び生態系への影響を評価するための動物実験(哺乳類、魚類)と試験管内試験を実施してきた。
 平成12年度に選定した12物質と平成13年度に選定した8物質のうち、7物質の試験結果については昨年6月までに公表してきたが、今般、以下のとおり取りまとめた。

 ●  平成13年度選定の8物質のうち、
  哺乳類を対象とした1物質の1世代試験結果(残り7物質については昨年6月までに公表
  魚類を対象とした1物質のフルライフサイクル試験結果(残り7物質については昨年6月までに公表
 平成14年度選定の8物質のうち、
  哺乳類を対象とした2物質の試験結果(残り6物質については1世代試験を実施中
  魚類を対象とした4物質の試験結果(残り4物質については試験を実施中
  1. 哺乳類を用いた人健康への内分泌攪乱作用に関する試験結果

     次の3物質について「げっ歯類を用いた1世代試験」及び「試験管内(in vitro)試験」の試験結果等を取りまとめた。
     ビスフェノールA(以上平成13年度選定物質
     p,p'-DDT、p,p'-DDD(以上平成14年度選定物質
     
    (1)  今回得られた試験結果からは、いずれの物質についても、低用量(文献情報等により得られた人推定曝露量を考慮した比較的低用量)での明らかな内分泌攪乱作用は認められなかった。
    (2)  なお、全ての物質について、高用量(既報告で影響が認められた用量)では、一般毒性と考えられる影響が認められた。今後、一般毒性を含む環境リスク評価を行う際には、この知見を参照する。
     
  2. 魚類を用いた生態系への内分泌攪乱作用に関する試験結果

     次の5物質について、メダカを用いた「ビテロジェニン*1産生試験」及び「パーシャルライフサイクル試験*2」等の結果を取りまとめた。
     ビスフェノールA(以上平成13年度選定物質
     ヘキサクロロベンゼン、β-ヘキサクロロシクロヘキサン、p,p'-DDT、o,p'-DDT(以上平成14年度選定物質
     
    (1)  ビスフェノールAについては、魚類(メダカ)の女性ホルモン受容体との結合性が弱いながらも認められるとともに、肝臓中ビテロジェニン濃度、精巣卵出現率及び孵化日数に統計学的に有意な高値(遅延)が認められたため、確定試験として環境中濃度を考慮したフルライフサイクル試験*3を実施した。その結果として、肝臓中ビテロジェニン濃度及び精巣卵出現率に統計学的に有意な高値が認められたため、魚類に対して内分泌攪乱作用を有することが推察された。
     なお、ビスフェノールAの予測環境中濃度は、本試験結果から推定された無影響濃度を下回っており、現実的なリスクはやや低いまたは低いと考えられた。
    (2)  ヘキサクロロベンゼン、β-ヘキサクロロシクロヘキサンの2物質については、用量相関性もなく低い頻度の、精巣卵の出現が確認されたが、平成14年度に実施した精巣卵の程度と受精率との関連等に関する追加試験の結果を踏まえると、受精率に悪影響を与えるとは考えられず、明らかな内分泌攪乱作用は認められなかった。
    (3)  o,p'-DDTについては、魚類(メダカ)の女性ホルモン受容体との結合性が弱いながらも認められるとともに、用量相関的な肝臓中ビテロジェニン濃度及び精巣卵出現率の有意な高値が認められたため、今後、確定試験として環境中濃度を考慮したフルライフサイクル試験を実施し、その結果を踏まえて評価を行うこととする。
    (4)  p,p'-DDTについては、今回得られた試験結果からは、明らかな内分泌攪乱作用は認められなかった。
     
    *1 ビテロジェニン : 肝臓で合成される卵黄タンパク前駆体
    *2 パーシャルライフサイクル試験 : 受精卵から成熟期を通して(約70日間)化学物質を暴露する試験
    *3 フルライフサイクル試験 : 少なくとも2世代にわたり(約180日間)化学物質を暴露する試験


II 「環境ホルモン戦略SPEED'98」の見直し状況について

 「環境ホルモン戦略計画 SPEED'98」の見直しの状況について別添資料により説明を行った。

 

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
課長 :上家 和子(6350)
 専門官:佐々木 健(6352)
 担当 :栄田 智志 (6354)
 

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