今後の方向性
(1)基盤的研究の推進
内分泌系への作用発現経路を解明するために、分子レベルの研究や動物モデルを用いた研究仮説の立証などによって、作用メカニズム研究や基礎的な生 物学的知見の充実を図るための研究を推進する。
(2)環境中での検出状況の把握、野生生物等の観察
・化学物質環境に係る実態調査等の継続的な実施結果を踏まえ、さらに環境中の実態把握を容易にするための分析手法の開発を行う。
・環境及び野生生物等を長期的継続的に観察する等により、我が国における生態系の異変・変化を捉えて、内分泌攪乱作用の観点から更に調査すべき情報を収集できる体制の整備を図る。
(3)影響評価のための技術開発の推進
・ヒト健康と生態系への影響を推察するため内分泌攪乱作用に関する影響評価手法の開発と評価を進める。
・その際、環境中の濃度を視野においた曝露濃度での評価手法として開発を進める。
・生殖系のみでなく甲状腺その他の内分泌系を対象として捉える。
・一方、天然由来の物質の作用との比較も目指す。
・ヒトへの影響の観点では疫学的手法の確立を進める必要がある。
(4)曝露の測定
・影響評価を行うための基礎データを得るとともに、リスク評価に資する曝露の測定を実施する。
・対象物質の中には天然由来の物質等も入れておく必要があるため、手法の開発が必要である。
・一方、曝露の偏りについても考慮できるよう方法論の検討が必要。
(5)リスク評価・リスク管理
当面のリスク管理はリスクコミュニケーションに基づく自主的取組が中心となるものと考えられることから、リスクコミュニケーションの基礎(ファクト:基礎資料としての科学的事実)とすべきリスク評価を進める必要がある。(
フロー図)
(6)リスクコミュニケーションの推進
・SPEED'98に欠けていたリスクコミュニケーションを重視し、内分泌攪乱作用問題に関するリスクコミュニケーションのあり方、課題を整理する。
・さらに、内分泌攪乱作用についての正確な理解が深まるようリスクコミュニケーションを推進することにより、リスク管理にも資する。
・その際、産官学による情報交換、役割分担のもとでのリスクコミュニケーションの推進、予防的取組方法による対応の可能性、を検討する。
(7)取組に当たって配慮すべき事項
・研究結果の解析手法
・国際的連携による情報と研究成果の共有化
・国内関係省庁や関係機関との連携と分担
などに言及する。