報道発表資料

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2004年03月30日
  • 総合政策

「藻場の復元に関する配慮事項」について

1) 開発事業などに伴い消滅する藻場について、代償措置(注1)として藻場の復元(注2)を実施する場合に配慮すべき配慮事項を取りまとめた。
2) 配慮事項として、目標設定の重要性や実施場所の選定、方法・技術の選定、モニタリング・維持管理などに係る留意事項を13項目取りまとめた。
3) 本配慮事項は、専門家6名により構成される検討会(座長:岡田光正広島大学大学院教授)で検討された。

1.目的

 近年、開発事業などの実施に伴い消滅する藻場の代償措置として、藻場(海草・海藻)の移植や造成を行う事例が多くなってきている。
しかしながら、その様な措置の計画や実施に際して、何を目標とし、どの様な考え方に基づき取組を行うか、またどの様な点に配慮すべきかが明確にされていなかったと考えられる。

 本配慮事項は、これらの点について、藻場の復元に関する配慮事項として13の項目を取りまとめたものである。
本配慮事項により、藻場に係るより適切な代償措置の実施、ひいては沿岸生態系の保全に資することが期待される。
 本配慮事項は様々な藻場のタイプのうち、沿岸の浅海底に分布するアマモなどの海草藻場を主たる対象(注3)としている。

 
2.配慮事項の概要
 
 2つの章で構成され、第1章では藻場の現状、藻場の構造と機能、藻場復元の定義や意義について、第2章で「藻場の復元に関する配慮事項」を示している。また、事例集及び用語集を巻末に添付している。
配慮事項の概略は以下のとおり。

(1) 前提となる検討事項(基本的な考え)
   回避又は低減が優先されていること(配慮事項1)、対象事業全体について環境保全措置立案の基本的考え方、措置の対象及び措置の対象毎の具体的目標を含めた方針が設定されていること(配慮事項2)、合意形成に向けた情報提供や意見交換が行われていること(配慮事項3)及び専門家の助言や指導を受けていること(配慮事項4)などについて示した。
(2) 配慮すべき具体的事項
   計画段階において配慮すべき事項として、目標の実現性の根拠なども含めた具体的な目標設定の必要性(配慮事項6)、実施場所の選定に際し留意すべき点(配慮事項7)、方法・技術の選定にあたって留意すべき点(配慮事項8)及びモニタリング・維持管理の計画にあたって留意すべき点(配慮事項9)などを示した。
 また、措置の実施段階(配慮事項11)、モニタリング・維持管理の実施段階(配慮事項12)及び評価段階(配慮事項13)における配慮事項を示した。

3.検討委員会

 岡田光正広島大学大学院教授を座長とした6名の委員によって、平成14年から検討を行った。
 また、(独)水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場・干潟環境研究室の寺脇利信室長にも、適宜助言を頂いている。

「藻場の復元に関する配慮事項」検討委員会(五十音順)

 相生啓子  青山学院女子短期大学講師
 岡田光正(座長)  広島大学大学院工学研究科教授
 尾田 正  岡山県水産試験場専門研究員
 香村眞徳  琉球大学名誉教授
   (財)沖縄県環境科学センター専務理事
 川崎保夫  (財)電力中央研究所CS推進本部次長
 前川行幸  三重大学生物資源学部教授
(注1) 代償措置
    損なわれる環境要素の価値を補う措置。
 取組対象事業の実施により、環境要素に及ぶおそれのある影響について、事業者により実行可能な範囲でその影響に係る各種の環境保全の観点からの基準又は目標の達成に努めることを目的として検討される環境保全措置のうち、代償措置は、事業の全体又は一部を実行しないことによって環境要素への影響をゼロにする「回避」又は例えば開発面積を少なくするなどにより開発行為の環境影響を最小限に抑えるなどの「低減」の効果が十分でない、あるいはその実施が不可能と判断された場合に行われるべきものとされている。
(注2) 藻場の復元
   本配慮事項では、「藻場の復元」を次のように定義する。
 「改変による攪乱を受ける以前に有していた藻場の無機的及び生物的な構造を、それに関連した藻場の機能とともに、攪乱以前と同じ状態にまで回復させること」
(注3) 本配慮事項の対象
   なお、自然再生推進法(平成14年法律第148号)における「自然再生」は過去に失われた生態系その他の自然環境を取り戻す趣旨であり、開発行為などに伴う「代償措置」は含まれないことから、本配慮事項は、「自然再生」の対象とされた藻場を直接想定したものとはなっていない。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長: 小川 晃範(内6231)
 審査官:曽宮 和夫(内6232)
 03-5521-8237 (夜間直通)