報道発表資料
3月24日~26日の3日間にわたり、カナダのモントリオールにおいて、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書特別締約国会合」が開催されました。昨年11月に開催された第15回締約国会合にて継続審議となった先進国における臭化メチルの不可欠用途申請等に関して議論が行われ、2005年における不可欠用途として使用が認められる消費量等が決定されました。
1.会合の概要
・ | 場所 | : | モントリオール(カナダ)・国際民間航空機関(ICAO) |
・ | 日程 | : | 3月24日~26日 |
・ | 出席者 | : | 締約国74か国の代表約110名、NGO約30名 |
(日本政府からは、猪又忠徳在コスタ・リカ大使を代表団長に、環境省(宇仁菅フロン等対策推進室室長他)、農林水産省、経済産業省から関係者が出席)。
2.結果の概要
今回の特別締約国会合における主な決定事項は以下のとおりである。
(1)先進国における臭化メチルの不可欠用途申請について
昨年11月に開催された第15回締約国会合において継続審議となった、先進国における臭化メチルの不可欠用途申請に関して議論が行われた結果、以下が決定された。
- 専門家グループである技術・経済評価パネル(TEAP)による評価、勧告を尊重することが確認された。
- 日本については、2005年の不可欠用途消費量として、TEAPの勧告どおり284トン(基準年の消費量の4.6%)が認められた(さらに追加分として7.5%分を申請中)。なお、締約国からは、これまでの農林水産省及び農業関係者の努力が高く評価された。
- 非常に多い申請を行い、各国から懸念が表明されていた米国の申請については、我が国やEC(欧州委員会)等から削減努力を強く求めた。これに対して米国から近い将来、30%以下に申請量を削減すること、多年度計画により申請量を抑制すること等の意向が表明されたため、TEAPにより勧告された量(8,942トン、基準年の消費量の35.0%)が認められた。
- 日米以外の10か国についても、それぞれTEAPにより勧告された量が認められた。
(参考)
先進国においては臭化メチルの生産・消費を2005年以降全廃しなければならないが、技術的・経済的に適切な代替手段がなく、かつ、臭化メチルを使用できなくなることにより著しい損害がある場合は、不可欠用途として、TEAPの評価を踏まえ、使用が認められることとされている。
前回の締約国会合(平成15年11月、ナイロビ)において、2005年分の各国の不可欠用途申請が決定されることとなっていたが、米国が申請した臭化メチルの消費量が非常に多かった(2004年までの消費量基準である、基準年(1991年)の消費量の30%を超えていた)ことについて、各国から懸念が示され、当該量の削減を求める提案が出されたが、合意には至らなかった。
先進国においては臭化メチルの生産・消費を2005年以降全廃しなければならないが、技術的・経済的に適切な代替手段がなく、かつ、臭化メチルを使用できなくなることにより著しい損害がある場合は、不可欠用途として、TEAPの評価を踏まえ、使用が認められることとされている。
前回の締約国会合(平成15年11月、ナイロビ)において、2005年分の各国の不可欠用途申請が決定されることとなっていたが、米国が申請した臭化メチルの消費量が非常に多かった(2004年までの消費量基準である、基準年(1991年)の消費量の30%を超えていた)ことについて、各国から懸念が示され、当該量の削減を求める提案が出されたが、合意には至らなかった。
(2)臭化メチルの不可欠用途規制除外を承認する条件について
今後の不可欠用途の申請に際しては、以下の条件が付されることが決定された。
- 不可欠用途を申請する締約国は、以下の内容を含む臭化メチルの全廃に向けた国家マネジメント戦略を国連環境計画(UNEP)オゾン事務局に提出すること。
(a) 臭化メチルの不可欠用途申請量を増加させないこと(ただし抵抗性病害虫の発生等予期できない事態が生じた場合は除かれる)。 (b) 技術的、経済的に実用可能な代替手段を開発し、その利用を奨励すること。 (c) 臭化メチルの大気中への排出を最小化する措置の実施を推進すること。 (d) 代替手段が技術的、経済的に実用可能となり次第、臭化メチルの不可欠用途使用量を全廃するため、この戦略をどのように実施するかを示すこと。 - 作物毎に、年間の使用量、代替手段が技術的、経済的に実用可能ではない理由等の事項を含む報告を、UNEPオゾン事務局に提出すること。
- 代替手段が経済的に実用可能でないと判断した場合には、その判断の方法を提示すること。
- 既に実用可能な代替手段に関する情報をUNEPオゾン事務局に提出すること。
(3)途上国に対する臭化メチルの生産・消費量の削減スケジュールの前倒しについて
ECから前倒しスケジュールが提案されたが、今回の会合においては合意に至らず、次回以降の締約国会合で改めて協議することとなった。なお、多くの途上国から、米国が多くの量の不可欠用途を申請する等、先進国が予想以上の不可欠用途を申請したことに対して批判する意見が示され、そのことが合意に至らなかった一因となった。
(参考)
途上国の規制スケジュールは、現行では基準年の消費量に対して2002年以降100%、2005年以降80%、2015年に全廃となっているのに対して、ECから2005年以降80%、2007年以降40%、2009年以降25%、2012年以降5%、2015年に全廃するという前倒しスケジュールが提案されている。
(参考)
途上国の規制スケジュールは、現行では基準年の消費量に対して2002年以降100%、2005年以降80%、2015年に全廃となっているのに対して、ECから2005年以降80%、2007年以降40%、2009年以降25%、2012年以降5%、2015年に全廃するという前倒しスケジュールが提案されている。
3.今後の開催予定
モントリオール議定書第16回締約国会合は、プラハ(チェコ)で、平成16年11月22日~26日に開催される。
4.今後の対応
今後、途上国において全廃への削減スケジュールが始まることに鑑み、我が国は先進国としてその範を示さなければならない。それに向け、引き続きオゾン層破壊物質の排出抑制のため、所要の対策に取り組むとともに、途上国の支援を行うことが必要である。
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
室長 宇仁菅伸介(内6750)
補佐 小泉 潤一 (内6751)
担当 草川 祐介 (内6753)