報道発表資料
これを受け、我が国におけるPRTRシステムの導入を目指し、環境庁では、平成8年10月、「PRTR技術検討会」(座長:近藤次郎 東京大学名誉教授)を設置した。同検討会では、本年夏のPRTRパイロット事業に向けて、PRTRに係る技術的事項を検討してきたが、今般、その報告書(パイロット事業実施要綱及びPRTR排出量推計マニュアル)が取りまとめられた。
今後、この要綱等に沿って、神奈川県地域(川崎市、藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町)及び愛知県地域(豊田市、岡崎市等の西三河地域)における約1700の製造業等の事業所を対象に、パイロット事業を実施する予定である。具体的には、発がん性、慢性毒性、生殖毒性、生態毒性等を有する191の化学物質について、環境への年間排出量等を事業所が行政に報告し、行政は非点源からの排出量も可能な限り推計し、事業所からの報告と併せて当該排出状況等に係る情報提供を行うという、一連のPRTRのプロセスを検証するとともに、関係者間の共通認識の形成を図り、我が国におけるPRTRシステムの導入に当たっての課題等を整理することとしている。
1.背 景
(1)1992年の国連地球サミット(於リオデジャネイロ)において採択された「アジェンダ21(持続可能な発展のための人類の行動計画)」の第19章において、化学物質の環境リスクの低減手法として、PRTRの導入が推奨された。
これを受け、OECDでは、PRTRを世界的に普及させるためのガイドラインの検討に着手し、その結果、1996年2月に、「OECD域内の環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)の実施に係る理事会勧告」及び「環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)のための政府手引きマニュアル」が取りまとめられた。
(2)OECD勧告では、以下のとおり、加盟各国に対し、PRTRの導入を勧告するとともに、1999年2月に取組状況の報告を求めている。
・「加盟国政府はOECD作成の環境汚染物質排出
・移動登録(PRTR)のための政府手引きマニュアルに記された原則、情報を利用しつつ、PRTRシステムを適切に構築し、実施し、公衆に利用可能なものとするよう取り組むこと」
・「環境政策委員会(EPOC)は、加盟国の取組を本勧告の日から3年後に、またその後の進捗を定期的にとりまとめ、理事会に報告すること」
(3)これを受けて、環境庁では、我が国におけるPRTR導入に向けた取組を早急に進めることとし、平成8年10月に「PRTR技術検討会」(座長:近藤次郎 東京大学名誉教授)を設置し、PRTRに係る技術的事項を検討してきたが、今般、その報告書が取りまとめられた。
(4)今後は、この報告に沿って、本年夏にパイロット事業を実施し、PRTRの一連のプロセスを検証するとともに、関係者の共通認識の形成を図り、我が国におけるPRTRの導入に当たっての課題を整理することとしている。
*「PRTRパイロット事業の概要、実施体制 等」及び「対象化学物質」については添付資料を参照。
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課 長 中島正治(6350)
担 当 内藤克彦(6353)