報道発表資料

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2002年03月29日
  • 保健対策

「生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について」(生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会報告書)について

化学物質の審査・規制に生態系保全の観点を導入することについて昨年10月から検討してきた「生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会」(座長:中杉修身・独立行政法人国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター長)により、今般、「生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について」と題する報告書がとりまとめられました。
 本報告書では、内外の知見や制度がレビューされ、化学物質の事前審査と製造・使用等の規制に生態系保全の観点を導入することが必要であること、化学物質の生態影響に関する試験及び評価の実施が我が国でも可能であることが検証されました。その上で、生態系保全に係る化学物質の審査・規制のあり方について大きな方向性が示され、さらに関連する審査・規制体系全体の見直しに係る検討課題について整理されています。
  1. 経緯
     
     近年、様々な化学物質による野生生物への影響についての国民の関心が高まっている。現行の化学物質審査規制法ではもっぱら人の健康の保護の観点から化学物質の審査・規制が行われているが、諸外国では人の健康と環境(生態系)の両者の保護を目的として審査・規制が行われており、我が国においても生態系保全のための取組強化が必要との指摘がなされている。
     このため、環境省では、生態系の保全を目的とした化学物質の審査・規制の枠組みを導入することについて、その必要性、技術的対応可能性等を検証するとともに、これを導入する場合の審査・規制体系のあり方等について検討するため、平成13年10月に環境保健部長の委嘱により「生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会」を設置した。
     検討会は6回にわたり開催され、今般、報告書がとりまとめられた。
     
  2. 検討会の構成(敬称略)
     
    飯塚 豊  化成品工業協会技術委員会委員
    池田 正之  京都大学名誉教授
    井上 達  国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長
    大塚 直  早稲田大学法学部教授
    北野 大  淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
    鳥居 圭市  社団法人日本化学工業協会常務理事・化学物質総合安全管理センター長
    中下 裕子  ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局長
    中杉 修身  独立行政法人国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター長(座長)
    畠山 成久  独立行政法人国立環境研究所生物圏環境研究領域上席研究官
    吉岡 義正  大分大学教育福祉科学部教授
    若林 明子  東京都環境科学研究所基盤研究部長
     
      
  3. 検討会報告書のポイント(概要は別紙のとおり)
     
     環境基本法の理念・目標に沿った政策を進め、また国際的に遜色のない化学物質対策を実現し、生態系に影響を及ぼすおそれがある化学物質による環境汚染の防止を図るため、生態系の保全を目的とした化学物質の審査・規制の枠組みを導入することが必要。
     試験・評価手法の整備状況や内外の実績を踏まえると、化学物質の生態影響に関する試験及び評価は我が国でも技術的に実施可能。
     製造・輸入される化学物質については、事前に生態影響に関する試験・審査を行い、生態系保全に支障を及ぼすおそれがある化学物質については、製造・使用等に関する規制を行う仕組みを導入することが必要。
     その際、現行の化学物質審査規制法の仕組みに必ずしもとらわれずに審査・規制スキームを検討すべき。
     また、生態影響試験の要求は段階的なものとし、合理的なものにすべき。
     関連して、既存化学物質対策の推進、現行の審査・規制体系の見直し等についても附言。
     
     
  4. 今後の方針

     環境省では、生態系保全のための化学物質の審査・規制制度を導入するため、本報告書について広く国民の皆様からの意見を求めつつ、関係省との調整を開始し、化学物質審査規制法の改正を視野に入れた検討をさらに進めていきます。
      
  5. 意見募集について

     今後の検討の参考にするため、国民の皆様からの本検討会報告書に対するご意見を募集します。ご意見のある方は、郵送、ファクシミリ及び電子メールにより下記の要領でご提出下さい。
     
    (1) 募集期間:平成14年3月29日(金)~5月13日(月)
    (2) 意見提出先:環境省総合環境政策局環境保健部企画課化学物質審査室 あて
      郵送の場合:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
      ファクシミリの場合:03-3581-3370(電話での御意見はお受けできません。)
      電子メールの場合:chem@env.go.jp(添付ファイルではなく、本文に記入して下さい。)
      御意見には、住所、氏名(又は企業・団体名、部署名、担当者名)、職業(又は業種)、年齢、性別、電話番号を記入し、報告書の該当箇所を明記した上で御提出下さい。
      いただいた御意見は、今後の検討に活用させていただきたいと考えております。その過程で、住所、電話番号を除き公開される可能性がありますのでご承知おき下さい。
    (3) 資料の入手方法
      環境省環境保健部企画課化学物質審査室(中央合同庁舎第5号館25F)において配付
      インターネットによる閲覧:環境省ホームページ
        (https://www.env.go.jp/info/iken.html)
      郵送による送付:郵送を希望される方は、200円切手を貼付した返信用封筒(A4版冊子が折らずに入るもの。郵便番号、住所、氏名を明記)を同封の上、上記(2)意見提出先の「郵送の場合」のあて先まで「生態系保全検討会報告書希望」と記載して送付してください。

生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について[PDFファイル(237KB)]

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室
室   長:早水 輝好(内 6309)
 室長補佐:新田 晃  (内 6314)
 担   当:東  利博 (内 6329)
 

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