報道発表資料

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2002年03月22日
  • 自然環境

中央環境審議会動物愛護部会の答申について

平成14年3月22日(金)に開催された第4回中央環境審議会動物愛護部会(部会長:竹内啓 東京大学名誉教授)において、環境大臣から諮問された「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管に関する基準の策定」につき、これまでの審議を踏まえて「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」としてとりまとめ、答申されたのでお知らせします。
  1. 答申に至った経緯等
     
     「動物愛護管理法」では、第5条において、動物の適正な飼養及び管理を確保するため動物の所有者又は占有者の責務を定め、さらに、環境大臣は動物の飼養保管に関し所有者等がよるべき基準を定めることができるとされている。
     近年、少子高齢化等社会状況の変化を反映し、ペット動物をめぐる国民意識、要請に変化がみられている中、犬及びねこを対象とする「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」並びに、犬及びねこ以外のペット動物を対象とする「展示動物等の飼養及び保管に関する基準」の一部については、それぞれ基準制定後25年以上を経過し、見直しを行う必要が生じていた。

     さらに、上記のような社会状況の変化を背景に、同基準の根拠となる動物愛護管理法は平成11年に改正、平成12年12月に施行されたところ。
     このため、動物の飼養保管基準のうち、まず、犬及びねこの飼養及び保管に関する基準の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管に関する基準の策定について検討策定を進めることとし、この件について、平成13年12月中央環境審議会に諮問し、これまで中央環境審議会動物愛護部会において審議を行ってきたところ。
     なお、平成14年2月15日から1ヶ月間パブリックコメントの募集を行ったところ。
  2. 新基準のポイント
     
    ペット動物の多様化へ対応するため、従来の犬・ねこ中心の基準から、家庭で飼養される動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)を対象とした基準としたこと。
    人と動物の共生社会の実現のため、飼養者の基本的責務を重視したこと。
      飼養開始前の知識の修得と、終生飼養を前提とする将来にわたる飼養可能性の判断
      所有者を明示する措置の推進
      繁殖制限措置の徹底
      ねこの室内飼養の推進
      学校、福祉施設等における適切な飼養の確保 
    生物多様性保全等新たな社会的要請への対応
      動物の逸走、放し飼い等による野生動物の圧迫等の防止を飼養者の責務として明記
  3. 「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の概要
     
     一般原則
      動物の生態、習性及び生理を理解し、終生飼養するように努めること。
      人の生命、身体、財産に対する侵害の防止、生活環境への被害の防止に努めること。
     基準の対象
      愛玩動物、伴侶動物として家庭等で飼養されている動物、並びに情操の涵養、生態観察のため飼養されている動物で、哺乳類、鳥類、爬虫類に属するもの。
     飼養保管に当たっての配慮
      飼養開始に先だって、動物の生態、習性及び生理に関する知識の修得に努めるとともに、将来にわたる飼養の可能性について慎重に判断すること。
      特に野生動物等の飼養については、飼養に先立ち、飼養条件の整備、飼養の中断の困難性等、慎重に検討すべきものであること。
     共通基準
      適切な方法により所有を明示する措置を講じること。
      飼養数は、適切な飼養環境、終生飼養の確保、生活環境保全のため限定すること。
      終生飼養の確保、譲渡が自らの責任で可能な場合を除き、繁殖制限措置を講じること。
      飼養する動物に起因する感染性疾病に係る知識を修得し、感染防止に努めること。
      逸走防止措置を講ずるとともに、逸走した場合は自らの責任において捜索し捕獲すること。
      その他(動物の健康及び安全の保持、生活環境の保全、動物の輸送、緊急時対策)
     犬の飼養保管に関する基準
      犬の放し飼いを行わないこと。適切なけい留の実施。運動させる場合の留意事項。
      危害防止、迷惑害防止のための適切なしつけ訓練の実施
      子犬の譲渡に当たっては、離乳前の譲渡を避け、また社会化後に譲渡するよう努めること。
       
     ねこの飼養保管に関する基準
      周辺環境に応じた適切な飼養保管を行い、人に迷惑を及ぼさないよう努めること。
      ねこの健康、安全の保持の観点から屋内飼養に努めること。
      屋内飼養によらない場合は、原則として、不妊去勢等繁殖制限の措置を行うよう努めること。
      子ねこの譲渡に当たっては、離乳前の譲渡を避け、また社会化後に譲渡するよう努めること
       
     学校、福祉施設等における飼養保管
      管理者は、動物の飼養保管が、獣医師等の指導のもとに行われるよう努め、適切な動物の飼養及び動物による事故の防止に努めること。
       
     その他
      所有者等は、動物の逸走、放し飼い等により、野生動物の捕食、在来種の圧迫等自然環境保全上の問題が生じないよう配慮を行うこと。

「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」[PDFファイル]

添付資料

連絡先
環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
室   長:神田 修二(6484)
 室長補佐:岡部 久  (6427)
 

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