報道発表資料

この記事を印刷
2001年10月14日
  • 地球環境

第10回アジア太平洋環境会議(エコアジア2001)の結果について

環境省は、10月13日及び14日の両日、第10回アジア太平洋環境会議(エコアジア2001)を東京で開催した。会議では、アジア太平洋地域の新しい発展のあり方を検討する有識者の会議(アジア太平洋環境開発フォーラム)が設立されたほか、「ヨハネスブルグ・サミットの準備」「気候変動」などを議題として、活発な意見交換を行い、有意義な成果を得ることができた。
 環境省としては、本会議での議論を踏まえながら、今後ともアジア太平洋地域の環境保全に貢献していくとともに、ヨハネスブルグ・サミットなどの地球規模での取組に向けて積極的にイニシアティブを発揮する。
 また、エコアジア2001での正式な設立を受けて14日に開催された、「アジア太平洋環境開発フォーラム」の組織会合では、橋本龍太郎元総理が議長に選ばれ、今後の作業の進め方が合意された。
I  第10回アジア太平洋環境会議
 
 1. 会議の正式名称
 
   第10回アジア太平洋環境会議(エコアジア2001)
 (the 10th Environment Congress for Asia and the Pacific (ECO ASIA 2001))
 
 2. 主 催  環境省
 
 3. 会 期  2001年10月13日(土)及び14日(日)
 
 4. 場 所  東京プリンスホテル(東京都港区)
 
 5. 参加者
 
   我が国を含むアジア太平洋地域等の21ヶ国(うち、大臣・副大臣クラスの参加は13ヶ国)、12国際機関、その他総計約140名が会議に参加した(具体的な参加国名及び国際機関名は別紙1のとおり)。
 
 6. 主たる成果
 
 議長に選出された川口環境大臣の議事進行の下、議論の結果は「議長サマリー」として取りまとめられた(別添資料参照)。その概要は以下のとおり。
 
(1) アジア太平洋環境開発フォーラム
 昨年9月のエコアジア2000において、川口環境大臣がアジア太平洋地域における21世紀に相応しい新たな発展のあり方を検討するための有識者会合の設立を提案し、各国から支持された。これを受けて、昨年以降、環境省は各国・国際機関からの意見等を踏まえ、フォーラムの具体的な設立に向けた準備を進めてきた。
 今次会議では、多くの国がフォーラムの設置に対して積極的な支持を表明したほか、包括的に幅広い議論が行われるべきであるとの意見や、メンバーの人選はアジア太平洋地域の特性である多様性を十分反映したものであるとの評価が示された。最終的に、より衡平で持続可能な開発モデルを政策決定者に提示することを目的とする「アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED: the Asia-Pacific Forum for Environment and Development )」の設置が承認された。
 
(2) エコアジア長期展望プロジェクト第2フェーズの成果報告
 1998年から開始し、2001年に終了するエコアジア長期展望プロジェクト(LTPP)第2フェーズの最終報告書が承認された。各国からは、アジア太平洋地域各国の間にある対処能力の差を考慮した取組、プロジェクトのフォローアップ、ヨハネスブルグ・サミットに対する成果のインプットの必要性について意見が示された。
 
(3) ヨハネスブルグ・サミットの準備
 冒頭、デサイ国連経済社会問題担当事務次長、テプファー国連環境計画事務局長、キム国連アジア太平洋経済社会委員会事務局長、ザクリ国連大学高等研究所所長、渡辺国連開発計画総裁補・開発政策局長より、各国際機関におけるヨハネスブルグ・サミットに向けた取組状況が紹介された。
 参加国からは、以下のような点が強調された。
 国、準地域、地域レベルでのヨハネスブルグ・サミットに向けたプロセスは重要。
 「持続可能な開発」という幅広い視点に立った議論が必要。
 国、企業、市民等の関係する各主体が協調して取り組んでいくことが重要。
 持続可能な開発の実現に向けて具体的な実施が課題。
 また、ヨハネスブルグ・サミットに向けての優先分野として、貧困関連、資金、技術開発と技術移転、各分野での様々な枠組み間の連携強化、消費パターンの変更などが指摘された。
 
(4) 気候変動
 冒頭、浜中環境省地球環境審議官がプレゼンテーションを行い、京都議定書の効果的な実施を図るとともに、第1約束期間について合意を得た後に講じるべき取組について検討を開始する必要性を強調した。
 各国からは、気候変動問題は国内及び地球規模で早急に取り組むべき重要な課題であり、全ての国が参加できる地球規模の制度の下、各国が積極的に取り組んでいく必要性が指摘されるとともに、国内対策を進めていく上での課題である能力の開発を図るための、国際機関や先進国からの支援の必要性が強調された。
 また、各国は、第7回気候変動枠組条約締約国会議に向けて強い政治的意思の必要性、京都議定書合意の重要性を強調した。
 
(5) エコアジアの今後の活動
 我が国環境省より、LTPP第2フェーズの終了を受けた後継プロジェクトとして、アジア太平洋地域の持続可能な発展のための革新的な政策立案及び実施のための基礎を提供することを目的とする「アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS: Asia-Pacific Environmental Innovation Strategy Project)」の立ち上げ、APEISとその調整機関であるエコアジアパネルの設置を提案し、各国が支持を表明した。また、各国からは、行動指向の研究の必要性、情報の透明性の必要性等につき提言がなされた。
 
(6) その他
 エコアジア2001の期間中に開催された、GEA地球環境警鐘会議及びAPFED組織会合の結果が報告された。
 
 
II  アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)の組織会合
 
   エコアジア2001においてAPFEDの設立が正式に承認されたことを受け、14日、直ちにAPFEDメンバー(別紙2)により、今後の作業の進め方を検討する組織会合を開催した。組織会合では、全会一致で橋本龍太郎元総理を議長に選出した。
 今後、以下のような方向で検討を進め、ヨハネスブルグ・サミットに向け特別提言を行った後、2004年に最終報告をとりまとめ、ESCAP環境大臣会合など様々な機会を通じて世界に公表する予定である。
 
 1. 付託事項の概要
 概ね今後四半世紀を展望しつつ、経済、環境のみならず、社会的要素を含む幅広い検討を行う。例えば、次のような項目について検討し、より衡平でより持続可能な新しい発展の枠組みを提案し、地域内の全ての利害関係者に対して取るべき行動を提示する。
アジア太平洋地域の環境及び社会経済の展望
経済成長、工業化と環境資源の適切な管理、
農村開発、都市化と環境
貧困の撲滅と持続可能な発展
国際経済関係と環境貧困         等々
 
2. 今後のスケジュール
 
 年2回の頻度で会議を開催する。第1回会合は来年1月はバンコクで開催予定。
 
 
III  GEA地球環境警鐘会議及びアジア太平洋環境会議の合同記念フォーラム
 
   エコアジア2001の関連行事として、13日午後、地球環境行動会議(GEA: Global Environmental Action)との共催により、GEA地球環境警鐘会議及びアジア太洋環境会議の合同記念フォーラムを開催した。
 
 1. 開会式
 
 開会式は、皇太子殿下のご臨席の下で開催された。基調講演がワトソンIPCC議長により行われ、ワトソン議長は、地球温暖化の現状と今後の予測を交えつつ地球環境の危機的状況を紹介し、今後の地球規模での環境保全の取組の必要性を訴えた。
 
2. パネルディスカッション
 
 開会式に引き続き、「地球温暖化防止のためのアジア太平洋地域の役割」をテーマとしてパネルディスカッションが行われた。
 
(1) 参加者
パ ネ リ ス ト 近藤次郎(財)国際科学技術財団理事長
森嶌昭夫(財)地球環境戦略研究機構理事長
テプファーUNEP事務局長
マカリム・インドネシア環境大臣
バール・インド環境森林大臣
ウォーラハンターOECD環境局長
コーディネーター 平野次郎NHK解説委員
 
(2) 議論の概要
 パネリストからは、アジア太平洋地域では、急激な人口の増加と経済の成長を背景として、都市を中心に深刻な大気汚染や廃棄物問題が生じており、総合的な対策が必要であること、環境保全の観点から生産のあり方のみならず消費のあり方についても見直していく必要があること、アジア太平洋地域の環境問題の解決のためには、政府レベルのみならず草の根レベルでのきめ細かな環境協力が重要であること、NGOが自立して環境保全に取り組んでいける形で活動を支援することが重要であること、市民レベルでの意識向上を通じて政治的な関心を高めていくことが課題であること、などの様々な意見が示された。
 環境省としては、ヨハネスブルグ・サミットに向けて、国内外の参加者が新しい世紀の持続可能な社会のあり方を考えていくに当たって、本フォーラムの開催が有意義な視点を提供できたと考えている。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課
課  長 寺田 達志(6710)
 調査官 星野 一昭(6720)
 補  佐 島田、上條、奥山(6721、6725、6722)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。