報道発表資料

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2001年09月27日
  • 総合政策

海外における戦略的環境アセスメントの技術手法と事例の概要

海外の戦略的環境アセスメント(以下、SEA: Strategic Environmental Assessment)に関する技術手法あるいは具体的な実施事例に関しての情報を収集するため、環境省では、(株)三菱総合研究所に委託し、同社内に「戦略的環境アセスメント海外事例調査に関する検討会(座長:松村弓彦 明治大学法学部教授)」を設け、情報収集及び分析を行ってきた。この度、この結果をまとめた報告書を公表する。
 本報告書では、SEAにこれまで先進的に取り組んでいる諸外国におけるSEA制度の概要を紹介し、SEAに関する評価の技術手法に関する参考図書(ガイドライン等)の整備状況を把握した。さらに、諸外国においてSEAが適用された事例を、複数案の設定の考え方及び方法、具体的な調査・予測・評価の方法等に着目し、取りまとめた。
  1. 背景・目的

     海外においては、本年7月、EUのSEA指令が成立・発効するなど、SEAの導入に向けた動きが活発に進んでいる。

     本調査は、このような状況を踏まえつつ、各事業所管官庁や地方公共団体におけるSEAの検討及び実例の積み重ねを支援するため、わが国の参考となるSEA情報を収集・分析することを目的とし、(株)三菱総合研究所に委託し、「戦略的環境アセスメント海外事例調査に関する検討会(座長:松村弓彦 明治大学法学部教授)」を設けて実施したものである。具体的には、諸外国SEA制度と技術手法等に関するガイドライン等の参考図書を収集・整理すること、及びSEAの適用事例について評価書等を詳細に調査し、分析することに重点を置いた。

  2. 本報告の概要

    1)諸外国のSEA制度の概要(第1章)
    SEAにこれまで先進的に取り組んでいるアメリカ、オランダ、カナダ、イギリス、EUの5カ国・地域を取り上げ、?制度名/年、?制度体系、?概要、?対象、?手続、?公衆・専門家・環境担当部局等の関与、?評価の対象範囲、?評価の視点、?評価書記載内容、について概要を整理した。制度に関しては、いずれの制度においても、手続きの過程における公衆・専門家・環境担当部局等の関与が求められており、また、複数案の比較/評価も必要とされている。
     アメリカ及びオランダでは、事業実施段階の環境影響評価(いわゆる、「事業アセス」。)とSEAとを制度上分けておらず、同一の法(制度)の下、両者を規定している一方、カナダでは閣議命令によりSEAが事業アセスとは独立した制度として位置付けられている。また、イギリスでは、中央政府及び地方公共団体それぞれにおいて、環境省手引きによる環境政策評価の取り組みが行われている。EUにおいては、本年7月に、SEAに関する欧州議会及び欧州理事会の指令が発効しているため、各加盟国は、今後3年以内に当該指令の要求事項に対応する国内措置を整備することとなった。
    2)諸外国のSEA制度における参考図書等(第2章)
     上記5カ国・地域において、SEAに関する評価の技術手法等の実務的な内容についてとりまとめられている参考図書(ガイドライン等)の整備状況をとりまとめた。SEAと事業アセスを同一の制度で実施するなどの事情もあり、必ずしもSEAに特化した参考図書が用意されている状況ではない。また、スコーピング手続において、計画・事業毎に評価項目の詳細が決定されるためか、調査・予測等の手法について、考え方と例を示すにとどまるものが多かった。
     アメリカ、カナダについては、複数の事業からの影響を累積的影響として評価するための参考図書を、オランダについては、個々の計画毎に環境影響評価委員会が提言するアドバイザリーガイドラインの例を取り上げた。また、EUについては、地域開発計画及び交通基盤整備計画に関するSEAのために用意されたハンドブックやマニュアルを、イギリスについては、環境政策評価の技術手法に関する参考図書を、それぞれ取り上げた。
    3)事例の詳細分析(第3章)
     諸外国において、SEAが適用された4つの事例を、?複数案の設定の考え方及び方法、?具体的な評価の方法、?SEAと事業アセスとの関連、などに着目し、取りまとめた。なお、事例の選定に当たっては、ある特定政策、面的な開発、及び線的な開発、それぞれに関する政策/計画から選ばれるよう留意した。
     次頁以降に、概要を示す。
本報告書に採用された事例

事例1.廃棄物処理計画に関する事例(オランダ)

事例2.総合開発計画に関する事例(アメリカ)

事例3.河川総合計画に関する事例(アメリカ)

事例4.道路計画に関する事例(イギリス)

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課
課 長 :小林 正明(内6230)
課長補佐:小森 繁 (内6234)