報道発表資料

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2001年09月28日
  • 水・土壌

「土壌環境保全対策の制度の在り方について」(中間取りまとめ)について

平成12年12月から、水環境部長の委嘱により、「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」(座長:原田尚彦東京大学名誉教授)において、土壌環境保全対策のために必要な制度の在り方に関する調査・検討が行われてきたところであるが、今般、土壌環境保全対策の制度の在り方について中間的な取りまとめが行われた。
 この中間取りまとめでは、土壌汚染による人の健康等への影響の防止を図るため、土壌汚染の把握、土壌汚染による環境リスクの低減及び土地の改変等に伴う新たな環境リスクの発生の防止のための措置を講ずることにより、土壌汚染による環境リスクを適切に管理し得る新たな制度が必要であるとし、それらの措置のそれぞれについて必要と考えられる制度の在り方を明らかにしている。
 環境省としては、この中間取りまとめについてパブリック・コメント手続を実施するとともに、今後の土壌環境保全対策の在り方について中央環境審議会に諮問を行うなど、今後、更に土壌環境保全対策の制度の在り方につき検討を進めていくこととしている。
  1. 経緯

     工場跡地等における土壌汚染については、近年、企業の工場跡地等の再開発や、事業者による自主的な汚染調査の実施等に伴い、汚染事例が顕在化してきている。特に最近における判明件数の増加は著しく、環境省の調査結果では、平成11年度に新たに判明した土壌汚染の事例は、前年度に引き続き高い水準で推移している。
     これらの有害物質による土壌汚染は、過去における有害物質の不適切な取扱い等により生じた環境上の「負の遺産」と言うべきものであり、このような土壌汚染による人の健康等への影響の懸念や対策の確立への社会的要請が高まっているところである。
     このような状況を踏まえ、水環境部長の委嘱により、平成12年12月から学識経験者等から成る「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」が9回にわたり開催され、土壌環境保全対策に関する制度の在り方について調査・検討が行われてきた。今般、同検討会から、中間取りまとめがあったものである。

  2. 中間取りまとめの要旨
    • 新たな制度において管理を図るべき土壌汚染による環境リスクとしては、[1]汚染された土壌を直接摂取することによる人の健康に対するリスクと、[2]地下水等の汚染を経由して生ずる人の健康等に対するリスク、を対象とする。

    • 土壌汚染の実態を的確に把握するため、土壌汚染の可能性がある土地について事業場の廃止等の場合に土地所有者が調査を実施。また、必要な場合は、都道府県が土地所有者に対し調査の実施を命令する。

    • 土壌汚染の調査により、環境リスクの管理を図るべき土地であることが判明した土地については、都道府県が台帳への登録・公告を行う。

    • 環境リスクの管理を図るべき土地の土壌汚染により、人の健康等に影響が及ぶことを防止するため、被覆、封じ込め、浄化等のいずれかの措置を、当該土地を管理・支配している土地所有者が適正に選択して実施。また、土地所有者と汚染原因者との間で協議が調った場合や、汚染原因者が判明し土地所有者に異議がない場合は、汚染原因者が実施。

    • 土地の改変又は汚染土壌の搬出に伴い、新たな環境リスクが発生しないよう、土地の改変等を行おうとする者が、リスクの発生を防止する措置を実施。

  3. 今後の対応

     今回の中間取りまとめについてはパブリック・コメント手続を実施するとともに、今後の土壌環境保全対策の在り方について中央環境審議会に諮問を行うなど、今後、更に土壌環境保全対策の制度の在り方について検討を進めていくこととしている。

(参考)土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会委員名簿(五十音順)

大塚 直早稲田大学法学部教授
河内 哲(社)経済団体連合会環境安全委員会
大気・水質等タスクフォース座長(住友化学工業株式会社常務取締役)
嶌田 道夫農林漁業信用基金副理事長
高橋 滋一橋大学大学院法学研究科教授
谷川 義夫新潟県環境生活部環境対策課長
中杉 修身独立行政法人国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター長
野口 基一神奈川県環境農政部大気水質課長
林 裕造元国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長
座長原田 尚彦東京大学名誉教授
細見 正明東京農工大学工学部教授
松村 弓彦明治大学法学部教授
吉田 文和北海道大学大学院経済学研究科教授

添付資料

連絡先
環境省環境管理局水環境部土壌環境課
課長:伊藤 洋(6650)
補佐:庄子 真憲(6651)
補佐:荒木 真一(6652)