報道発表資料

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2001年06月22日
  • 地球環境

CFC管理戦略等検討会報告書について

環境省では、1999年のモントリール議定書第11回締約国会合において、先進国は「CFC管理戦略」を策定し、2001年7月末までにUNEPに提出することが決定されたことを受けて、「CFC管理戦略等検討会」(座長:平岡 正勝 立命館大学エコ・テクノロジー研究センター長)において、CFC管理等の在り方について検討を行ってきたが、今般、同検討会における報告書が取りまとめられた。
 本報告書は、我が国における「国家CFC管理戦略」を取りまとめるに先立ち、環境保全の観点から、CFCを中心に、その代替物質であるHCFC、HFCまで視野に入れて、今後の望ましい管理等の在り方について取りまとめたものである。
 その内容は、冷媒、発泡、洗浄、エアゾールの各分野及び破壊処理について、CFCを中心に管理の現状とこれまでの取組を整理し、今後CFCの管理を進めていく上で中心となる分野は冷媒分野と発泡分野であることを明らかにするとともに、今後の管理の基本的考え方を示し、さらに、冷媒分野においては、「家電リサイクル法」、「フロン回収破壊法」の適正な施行等を図ること、発泡分野においては、断熱材フロンの回収・処理の仕組みを早急に検討・整備する等、今後の具体的な取組を提案している。
 環境省においては、今後、本報告書を踏まえ、関係省庁と調整を行い、本年7月末までに我が国における「国家CFC管理戦略」を取りまとめるとともに、今後の環境省の施策に反映させることとしている。
  1. 背 景

     主要なオゾン層破壊物質であるCFC(クロロフルオロカーボン)については、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリール議定書」(以下「モントリオール議定書」という。)に基づき、先進国では、1995年末までに生産等が全廃されたが、既に生産されたCFCが依然として冷媒分野等で相当量使用されており、その使用時・廃棄時の排出抑制の管理の一層の促進が残されたCFC対策の重要な課題となっている。
     こうした中、1999年12月に北京で開催されたモントリオール議定書第11回締約国会合において、先進国は、CFCの回収・再利用等の選択肢を含む「CFC管理戦略」を策定し、2001年7月までにUNEP(国連環境計画)オゾン事務局に提出することが決定された。
     このため、環境省では、我が国における「国家CFC管理戦略」の取りまとめに先立ち、環境省地球環境局長の諮問機関である「CFC管理戦略等検討会」(座長:平岡 正勝 立命館大学エコ・テクノロジー研究センター長)において、環境保全の観点から、CFCを中心に、その代替物質であるHCFC、HFCまで視野に入れて、今後の望ましい管理等の在り方について検討を行ってきたが、今般、その報告書が取りまとめられた。
     
  2. 本報告書のポイント
     
    (1) 我が国におけるこれからの課題
       我が国における2000年末現在(注1)のCFCのストック量は、約57,100トンで、このうち、冷媒分野が16,700トン、発泡分野が40,000トン(注2)であり、今後、CFCの管理を進めていく上での対策の中心となる分野は、冷媒分野と発泡分野と考える。
     

    図1 我が国におけるCFCストック量(2000年末現在)【環境省試算値】
     

    (注1)  洗浄分野のストック量については、2000年度末のCFCストック量の推計値を用いている。
    (注2)  発泡分野のストック量については、現在、環境省及び経済産業省において、断熱材の使用実態調査及び断熱材中フロンの残存量の測定等を実施しているところであり、これらの結果を踏まえて、 今後、より精度の高い我が国全体としての試算値を出す予定である。
     
    (2) 今後のCFC管理の基本的考え方
     
       環境保全の観点から、我が国における今後のCFCの管理の在り方は、以下の考え方を基本とすることが適当と考える。
     
      [1]  CFC使用製品・機器の生産から使用、廃棄に至るライフサイクルの中で、CFCの使用製品・機器からの漏洩・放出等による大気中への排出を抑制する。
      [2]  環境保全の観点から支障を生じないようなCFCの代替物質・技術への転換を促進することにより、CFCの使用削減を推進する。
      [3]  CFC使用製品・機器ごとに、生産、使用、廃棄等の実情を適切に把握するとともに、これを踏まえて、各関係者がそれぞれの適切な役割分担の下で、製品・機器の整備時・廃棄時におけるCFCの回収及び回収したCFCの適切な管理・破壊を推進する。
     なお、漏洩分の補充を必要とするCFC使用機器の使用や回収したCFCの再利用は、原則として、行うべきではないと考えるが、他の環境問題等を考慮の上、必要最小限のCFC使用機器の使用や回収したCFCの再利用については、例外として認めることが適当と考える。
     
    (3) 今後の具体的取組
       冷媒分野及び発泡分野における今後の具体的取組として考えられる主な事項は以下のとおり。なお、HCFC、HFCについても、CFCと同様の取組を行うべきと考えられる事項について、併せて示している。
      a) 冷媒分野
       「特定家庭用機器再商品化法」の適正な施行により、廃家電のリサイクル時における確実なフロン回収の実施を図る。
       「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」により、業務用冷凍空調機器及び自動車の廃棄に際し、適正なフロン回収の実施を確保する。
       業務用冷凍空調機器のうち、遠心冷凍機等大型機器については、長期間にわたりフロンを使用し続けることになるため、機器の廃棄時におけるフロンの回収・破壊に加えて、その使用状況等を的確に把握し、管理する体制を検討する。
       フロン巡回回収システム等のフロン回収支援方策を検討・整備する。
     
      b) 発泡分野
       家庭用冷蔵庫用断熱材フロンの適正かつ能率的な回収・処理技術の早期確立を図るとともに、法律による回収等の義務化を視野に入れた、断熱材フロンの回収・処理の仕組みを早急に検討・整備する。
       建材用断熱材の使用・廃棄実態等について調査を実施し、建材用断熱材フロンの適正かつ能率的な回収・処理技術等の確立を図るとともに、これらを踏まえ、建材用断熱材フロンの適正な回収・処理の在り方について検討を行う。
     
  3. 今後の対応
     
     環境省においては、今後、本報告書を踏まえ、関係省庁と調整を行い、本年7月末までに我が国における「国家CFC管理戦略」を取りまとめるとともに、今後の環境省の施策に反映させることとしている。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課  長 鈴木 克徳(内6740)
 補  佐 中屋敷勝也(内6751)
 専門官 太田志津子(内6755)