報道発表資料

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2001年06月08日
  • 総合政策

公有水面埋立(徳島空港周辺整備事業)について

 環境省は、徳島空港周辺整備事業に係る公有水面埋立てについて、公有水面埋立法第47条第2項の規定に基づき、国土交通大臣より環境上の観点からの意見照会があったことから、平成13年6月8日付けで環境大臣意見を提出した。
 環境大臣意見の概要は以下のとおりである。
1. 海浜緑地、空港緑地等の緑地については、改めて県民の需要を精査し、緑地における施設等の内容を見直すなど、有効に利用されるよう適切に対応すること。
2. 廃棄物最終処分量を抑制し、廃棄物処分場が長期間利用されるようすること。
3. 埋立てには建設残土及び浚渫残土を可能な限り利用し、山土使用量の低減と今後の埋立ての抑制を図ること。
4. 下水道整備計画及び高度処理の導入を確実に実施すること。
5. 護岸については、生物の生息環境に適した構造等を検討すること。
6. 人工海浜の造成、海浜植生の移植等については事後調査等を実施し、それらの結果を踏まえて環境保全上必要な措置を講じること。

 [環境大臣の意見]

 本埋立計画は、環境の保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域で実施される計画であり、その実施に当たっては、環境保全に万全を期すため、埋立て事業者である徳島県は関係機関と協力して下記の措置を講じる必要がある。

  1.  海浜緑地、空港緑地等の緑地については、埋立てによる環境への影響を回避、低減することが必要であるので、改めて自然との触れ合いを求める県民の需要を精査し、その結果を踏まえ緑地における施設等の内容について見直しを行うなど、有効に利用されるよう適切に対応すること。
     
  2.  今般、平成22年度の最終処分量を平成9年度の概ね半分にすることを目標として定めた「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」(環境省告示第34号)が策定されたところである。本廃棄物処分場の計画には、この目標が盛り込まれていないため、今後、この目標を踏まえ、廃棄物処分のために行われる埋立てを極力抑制する観点から、処分場が可能な限り長期間使用されるよう、所要の措置を講じることを関係機関に働きかけること。
     また、廃棄物減量の目標等については、地域住民に周知するよう関係機関に働きかけること。
     さらに、廃棄物の埋立に使用する建設残土を可能な限り削減すること。
     
  3.  山土の代替用材として建設残土や浚渫土砂を利用することは、山土使用量の低減や今後の埋立ての抑制に資するものであることから、廃棄物最終処分場となる部分を除いて、建設残土及び浚渫土砂を可能な限り利用するとともに、徳島県施行の事業以外から発生する建設残土等の確保にも努めること。
     また、山土採取場での環境保全上の問題がないよう、採取及び運搬に係る事業計画、環境保全対策を十分に確認すること。
     
  4.  周辺海域の水質保全のため、本計画の前提となっている下水道整備計画及び下水処理場への高度処理の導入について、確実に実施されるよう措置するとともに、廃棄物最終処分場からの浸出水についても、可能な限り最新の水処理技術を導入し、十分な水質汚濁対策を講じること。
     また、埋立工事中の水質汚濁防止について十分配慮するとともに、工事中の濁水処理について、所要の対策を講じること。
     
  5.  本埋立計画における傾斜式護岸の導入については、海水の自浄能力の向上や生物生息空間の確保等、海域環境の改善を図る上で重要なものであることから、本事業計画の実施までに、さらに機能・構造・規模等の面から検討を重ねること。
     
  6.  以下の措置をはじめとして、工事中及び埋立地供用時における事後調査等を計画的に実施し、それらの結果を踏まえ、埋立工事の工程等の変更を含め環境保全上必要な措置を講じること。
     また、事後調査等の結果及びそれらの結果を踏まえて講じられた環境保全上の措置については、適切に公表すること。
    (1) 松茂海岸が消失することに対する代償措置として造成することとしている人工海浜の造成に関しては、砂の安定性について事後調査を実施すること。
    (2) 遊水池の水質、海生生物については、予測の不確実性を考慮して環境監視調査を実施し、必要に応じて適切な対策を講じること。
    (3) 特定植物群落(海浜植生)が消失することに対する環境保全措置として当該群落の移植が計画されているが、移植を実施するに当たっては、専門家の意見を聴取し、現在の生育状況及び移植候補地周辺の自然環境に係る調査を実施し、その結果及び移植実験等の結果を勘案した上で、最適な移植方法及び移植場所を選定し、慎重に移植を行うこと。また、その活着状況に係る事後調査を十分に行い、活着状況に間題がある場合は、工事工程、施設計画及び移植計画の変更も含め、環境保全上適切な措置を講じること。
    (4) 海生生物については、事業の実施の影響が少ないとされているが、予測の不確実性を考慮し環境監視調査を行うとともに、影響が確認された場合には工事工程及び施設計画の変更も含め、環境保全上適切な措置を講じること。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室  長:森谷 賢(内6231)
 審査官:北村昌文(内6239)