報道発表資料

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2001年03月15日
  • 地球環境

温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書概要について

我が国では、1990年(平成2年)に「地球温暖化防止行動計画」を策定し、二酸化炭素排出量を「2000年以降1990年レベルで安定化させる」という目標を達成するため、各種の温室効果ガス削減対策を推進してきた。しかし、1998年における二酸化炭素排出量は1990年に比べて既に5.6%増加しており、2000年の達成は極めて困難な状況にある。一方、1997年(平成9年)に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において京都議定書が採択され、我が国は、温室効果ガス排出量を基準年*)に比して6%削減することを約束した。政府の地球温暖化対策推進本部は、これを受け1998年(平成10年)に「地球温暖化対策推進大綱」を策定し、各部門ごとに取り組むべき具体的対策と削減目標量を明らかにして取組を進めてきている。しかし、個々の対策を具体的に推進する制度、資金等が十分整備されている状況ではない。
 そこで、平成12年9月に環境庁(当時)において、「温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会」を設置し、以下のような検討を行った。
*)基準年は、二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素については1990年 HFC、PFC及びSF6については1995年

検討会報告のポイント

1. 検討内容
(1) 1990年以降の排出量増減の要因分析
(2) これまでに決定した政策・対策を実施した場合の、2010年時点の削減見込み量 (計画ケース)
(3) 追加的な対策技術について、その導入のための資金的、社会的、制度的な制約条件をある程度捨象した場合の、2010年時点における最大限の削減ポテンシャル
2. 計画ケースの推計結果
 大綱策定以降の種々の情勢変化を踏まえると、計画ケースの2010年の温室効果ガス排出量は、固定ケース(何も新たな対策を取らない場合)と比べれば、基準年の約12%相当分の削減が見込まれる。しかし、基準年の排出量に比べれば、5%(ケース1:原 子力発電所が新たに13基設置された場合)から8%(ケース2:同じく7基設置された 場合)増加してしまう。さらに、京都議定書に定められた我が国の削減目標である-6 %を達成するためには、基準年の11~14%相当分の削減が必要である。
3. 削減ポテンシャル量の推計結果
 追加的な対策技術について、その導入のための資金的、社会的、制度的な制約条を ある程度捨象した場合の、2010年時点における最大限の削減ポテンシャル量は、計画 ケースからさらに基準年の10%~18%相当分の削減の可能性があると推計される。
4. 今後の課題
 政府においては、今後、この削減ポテンシャルとしての推計を基に、現実にどの部 門のどのような対策でどれだけの削減を図って目標の達成を行うかについて、さらに 検討する必要がある。
  また、削減目標を確実に達成するため、対策技術の開発・導入に強力なインセンテ ィブを与え、国民全体が削減に積極的に取り組むことのできる対策推進メカニズムの 導入に向けての検討を引き続き実施していく必要がある。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課   長 :竹内 恒夫 (内線6770)
調 整 官  :石飛 博之 (〃 6771)
課長補佐 :世一 良幸 (〃 6778)
担   当 :東  利博 (〃 6780)