報道発表資料

この記事を印刷
1998年05月22日

「騒音の評価手法等の在り方について」の中央環境審議会答申について

1.平成8年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問された「騒音の評価手法等の在り方について」の中央環境審議会答申が5月22日の騒音振動部会において まとめられ、同日環境庁長官に答申される予定。

2.本答申は

  1. 騒音の評価手法としては、これまでの騒音レベルの中央値(L50,T)から等価騒音レベル(LAeq,T)に変更することが適当であるとしたこと。
  2. 騒音の評価手法の変更に伴い騒音に係る環境基準値を再検討し、新たな環境基準の指針値を示したこと。
  3. 新たな環境基準の指針値の達成期間を示したこと。

等を内容とする。

3.環境庁では、本答申に基づき、新たな騒音に係る環境基準を速やかに告示するとともに、関係省庁と連携しつつ環境基準の達成に向けて制度的枠組みの拡充を含 め総合的な騒音対策の推進に取り組む。

[1].経緯等
 平成8年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問された「騒音の評価手法等の在り方について」については、騒音振動部会に騒音評価手法等専門委員会が設置され、最新の 科学的知見の状況等を踏まえ、騒音に係る環境基準(以下単に「環境基準」という。)における騒音評価手法の在り方及びこれに関連して再検討が必要となる基準値等の在り方に ついて審議が行われてきた。
 このうち、騒音環境基準における騒音の評価手法の在り方及び一般地域のうち主として住居の用に供される地域(以下「住居系地域」という。)における環境基準の指針値につ いては平成8年11月28日同専門委員会から検討結果が中間報告として騒音振動部会に報告された。
 その後、一般地域のうち住居系用途地域以外の地域及び道路に面する地域における環境基準の指針値について同専門委員会において引き続き検討を行い、中間報告の結果と合わせて専門委員会報告としてとりまとめられた。
 騒音振動部会においては、5月22日に上記報告を受理し、「騒音の評価手法等の在り方について」についての騒音振動部会報告をまとめ、同日中央環境審議会答申として環境庁長官に答申される予定。
 環境庁では、本答申に基づき、新たな騒音に係る環境基準を速やかに告示するとともに、関係省庁と連携しつつ環境基準の達成に向けて制度的枠組みの拡充を含め総合的な騒音対策の推進に取り組むこととしている。

[2].答申のポイント

(1)

等価騒音レベルの採用
 騒音の評価手法として、これまでの中央値(L50,T)から等価騒音レベル(LAeq,T)に変更する。

 <等価騒音レベルの利点>

  • 騒音の総暴露量を正確に反映し、住民反応との対応が良好
  • 交通量等のデータから沿道の騒音レベルを推計する方法が明確化し、環境アセスメントにも適す
  • 国際的にも広く採用されており、これに対応
(2) 新たな評価の原則の導入
{1} 個別の住居等を単位とする評価
 現行の環境基準では地域を代表すると思われる地点等で測定評価されていたが、局所的に大きくレベルが変化する騒音の特性を踏まえ、個別の住居等ごとに評価を行うことを原 則とすることとする。これにより、環境基準が個別の住居等の生活環境保全の目標として、より効果的にその機能を果たすことが可能となる。
{2} 地域としての達成状況の把握
 道路に面する地域については、一定の地域ごとに面的な騒音暴露状況として地域内の全ての住居等のうちの基準値を超過する戸数、超過する割合等を把握することによって評価 することとする。この場合、積極的に推計を活用する。
(3)

新たな科学的知見に基づく環境基準値の設定
 現行の環境基準が新たな科学的知見(睡眠影響、会話影響、不快感等に関する知見)等を踏まえて、一般地域及び道路に面する地域について環境基準の指針値を設定する。

<新たな環境基準の指針値の特徴>

  • 現行の環境基準に比べ基準値を全体として強化
     地域類型の区分及び時間の区分等によって異なるが、一般地域及び道路に面する地域ともに現行基準値に比べ全体として強化。
     注)等価騒音レベルは騒音の総暴露量を正確に反映するため、同じ騒音の状況を測定したときに、中央値より等価騒音レベルの方が大きな値となっている。このため、等価騒音レベルによる新しい指針値は、概して中央値による現行基準値より見かけ上大きな値となっているが、実測値を統計処理することにより現行基準値を等価騒音レベルに換算した値 と比べると、全体として強化(別紙参照)。
  • 幹線道路近接空間における特例
     道路に面する地域のうち幹線交通を担う道路に近接する空間(道路に面して1列目にあるような住居等が対象)については、その騒音実態、居住実態、屋外における騒音低減対策の物理的・技術的制約等の条件を前提とした上で、生活環境を適切に保全するため環境 基準の指針値の特例を定め、これを対策の目標として施策の推進を促す。
     主として窓を閉めた生活が営まれていると認められる場合には、必要な防音性能を確保することにより屋外基準達成と実質的に同等の生活環境を保全することができることから 、屋内へ透過する騒音に係る指針値を適用できることとする。これにより環境基準が建物の防音性能の向上等の沿道対策の推進も視野に入れた対策の目標として機能するようにす る。(屋外の指針値については、現行基準値と比べ幹線道路近接空間全体として同等の範囲内で指針値を設定している。)
(4)

今後展開するべき施策
 環境基準の達成に向けて、制度的枠組みの拡充を含め総合的な騒音対策の推進を提言

 <特に早急に展開することが必要な施策>

  • 自動車単体対策の促進と低公害車の大量普及
  • 高騒音地域における総合的かつ計画的な対策推進を図るための枠組みの強化 ・沿道整備法の充実と適用拡大、防音工事助成の抜本的な拡充、沿道耐騒音化のための規制や助成のスキームの整備、騒音や防音性能の情報提供等
  • 騒音レベルの推計方法の開発等によるモニタリング体制の確立等

[3].答申の概要
 添付資料参照

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室   長 :竹内恒夫(6540)
 室長補佐 :山崎邦彦(6543)

環境庁大気保全局自動車環境対策第一課
課   長 :鈴木安次(6520)
 課長補佐 :平井節生(6526)

環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課   長 :三宅哲志(6550)
 課長補佐 :印南朋浩(6551)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。