報道発表資料

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1998年06月26日

「第8回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」の結果概要及びその議長サマリー(21世紀に向けたイニシアチブ)について

 「第8回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」(環境庁、タイ政府及び国連 アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)主催)が、6月22日(月)から 25日(木)までの4日間にわたり、タイ国プーケットにおいて、21ヶ国、8国際機 関の専門家の参加を得て開催された。
4日間の討議の結果「21世紀に向けたイニシアチブ」と題し、

  1. 条約及び京都議定書の実施のための残された課題(シンク、共同実施、ク リーン開発メカニズム、排出量取引)の解決に努力すること。途上国が条約を実施するため、資金的、技術的支援を継続することが重要であること。

  2. 域内各国のこれまでの取組を基に、各国が検討すべき行動のリストを作成 し、各国がこのリストに掲げられた行動を優先的に最大限に検討すべきこと。

  3. 環境庁が行ったアジア太平洋気候変動情報ネットワーク(APNET) の提案を了承し、試験的にネットワークの構築に着手すること。

  4. 地方公共団体が重要な役割を果たしうることから、各国が地方公共団体の取組を支援し、奨励すべきこと。

などを内容とする議長サマリーを取りまとめた。

 京都議定書の早期実施を図るためには、途上国との対話を推進し、議定書で定 められた各種制度の検討及び条約実施上の各種問題の検討を進めることが必要で あり、今回の会合は今後の国際的議論の推進に向けて、大きな意義があった。具体的には、温室効果ガスの排出抑制を含めたアジア太平洋地域の各国が今後 実施を検討する施策のメニューや情報ネットワークシステムの設立に合意したこ とは、画期的な成果であった。
  環境庁においては、今回の合意を踏まえ、インターネットを活用した情報ネッ トワークを設立する予定。
  今回のセミナーの結果は、9月に仙台市で開催されるエコ・アジア'98に報告され、11月のCOP4に向けて、エコ・アジアにおいても、気候変動対策につい てハイレベルの意見交換が期待される。

1.開催日時及び開催場所

 開催日時: 平成10年6月22日(月)から25日(木)
 開催場所: タイ国プーケット

2.実施主体

 主   催:環境庁、タイ国政府、国際連合アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)
 後援/協力:在タイ日本国大使館、通商産業省、気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局

3.参加者

 各国政府及び国際機関からの参加者42名

  • 中国、フィジー、インド、インドネシア、日本、キリバス、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、 パプア・ニューギニア、フィリピン、韓国、スリランカ、タイ、ツバル、米国、ウズベキスタン、ベトナム
  • ESCAP、アジア開発銀行(ADB)、南太平洋地域環境計画(SPREP)、UNFCCC事務局、地球環境ファシリティ(GEF)、国連環境計画(UNEP/ROAP)、国連開発計画(UNDP)、 経済協力開発機構(OECD)

4.開催趣旨
 アジア太平洋地域では、気候変動問題に対処するために、これまでに多大の努力がなされてきた。環境庁でも、これまでに本セミナーを7回開催し、アジア太平洋地域における 気候変動問題への認識の向上、経験の交流及び取組の強化を支援してきた
。 今回のセミナーは、域内諸国による気候変動問題の情報、経験及び意見交換を行うとともに、域内における同問題への取組を促進することを目的として、具体的には、以下の事 項を主要なテーマとして開催された。

  1. COP3の成果を評価するとともに、COP3の成果が気候変動対策に関するアジア太平洋地域における協力にとってどのような意味を持つかを検討すること。
  2. COP4及びそれ以降に向けてアジア太平洋地域の国々が取り組むべき課題を明らかにすること。
  3. 最新の科学、技術、研究、行政、制度等に関する情報へのアクセス及び相互の交換を促進するための地域情報ネットワークについて検討すること。

5.会議の概要
 浜中地球環境部長、カリムESCAP環境課長、ジャデック・プーケット知事、サクシット・タイ王国科学技術環境省環境政策計画局長の挨拶、インパン・タイ王国科学技術環境大臣から開会宣言に続いて、サクシット氏(タイ)を議長に、シュレスタ氏(ネパール)及 びセルカ氏(ツバル)を副議長に、鈴木酸性雨研究センター副所長をラポルトゥールに選出して、以下のとおり討議を進めた。

○キーノート・スピーチ「COP3の成果及びアジア太平洋地域が対処すべき事項」
 コー・キー・チョー氏(マレーシア気象庁部長、UNFCCC科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)議長)より、京都議定書の採択を重要なマイルストーンと位置づける とともに、京都議定書の内容、特に三つの新たなメカニズムについて触れ、さらに、域内各国の今後の取組として、京都議定書の署名及び批准を速やかに進めるべきこと、議定書 で定められた新たなメカニズムの検討プロセスに積極的に関与すべきこと、既存の約束の推進を図るべきこと、技術移転を促進すべきこと、地域情報センターの創設を検討すべき ことを述べ、最後に世界の気候変動の取組を率先すべく、アジア太平洋地域が協力を進めるべきことを強調した。

○第1セッション「COP3の成果の評価及び将来対処/検討されるべき事項」
 まず、条約事務局からCOP3の成果について、ESCAPから気候変動分野でのアジア太平洋地域における取組について、アジア開発銀行からALGASプロジェクトについて、また 、タイ政府及びSPREPから域内各国が抱える問題について、GEF、UNDP、OECD、UNEP及び米国からそれぞれの取組について報告があった。
 これらの報告を踏まえ、環境庁から、今後検討されるべき行動について提案がなされ、活発な討議を経て、議長サマリーに添付する行動リストをとりまとめた。

○第2セッション「気候変動に関する地域情報ネットワーク」
 これまでのセミナー及びその他の会合における議論を踏まえ、我が国からアジア太平洋気候変動情報ネットワーク(AP NET)の構築について提案を行い、インターネット を活用した情報ネットワークの具体的な枠組みが合意された(議長サマリーの添付)。

○気候変動問題の対処に当たって地方公共団体が果たしうる役割
 気候変動対策の推進についての地方公共団体の取組に関し、ICLEI並びに東京都、滋賀県、北九州市及び仙台市から報告がなされ、各国が地方公共団体の役割の重要性に合意した。また、滋賀県山脇副知事から来年開催予定の次回セミナーの招致の意向が表明され、 参加者から歓迎された。

6.プログラム (参照)

7.議長サマリー(参照)

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課  長  :竹内 恒夫(内線6740)
 課長補佐 :石飛 博之(内線6737)
 担  当  :山下 靖生(内線6763)

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