報道発表資料

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1999年03月10日

中央環境審議会廃棄物部会「総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方に関するとりまとめ」について

本日開催の中央環境審議会廃棄物部会(部会長:平岡正勝京都大学名誉教授)に おいて,「総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方に関するとりま とめ」が行われた。本とりまとめは,「環境負荷の低減」と「物質循環」を確保す る循環型社会の構築という観点から,廃棄物対策と資源の循環的再利用を一体的に 進めるため廃棄物・リサイクル対策に関する基本原則,役割分担,政策手法などに ついての基本的考え方をとりまとめたもの。

1.とりまとめの概要

(1)趣旨・背景

  • 「環境負荷の低減」と「物質循環」の確保という観点から,廃棄物対策と資源の循環的 再利用の促進を一体的に進めるための基本的方向性を提示。

(2)基本原則

  • 大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会からの転換を目指し,製造から流通,消費 ,再利用に至るまでのとぎれない物質循環の輪を構築し,環境負荷の低減と併せて環境 コストも低減されるような,持続可能な経済社会を実現することが必要。
  • 社会を構成する全ての者が参加し,その創意工夫が活かされるような柔軟な仕組みとす ることにより,効率的な環境負荷低減システムを構築することが必要。
  • 廃棄物・リサイクルを一体としてとらえ,環境保全上適切な対策が隙間なく講じられる システムの構築が必要。

(3)政策の優先順位

  • 第一に発生抑制,第二にリユース,第三にリサイクル,最後に適正処理という優先順位 を原則として取組を総合的に進めることが必要。

(4)対象物の範囲・分類

  • 健全な物質循環と隙間ない環境保全対策を確保するため,廃棄物・リサイクル一体とし て対象物の範囲をとらえることが必要。
  • 物の性状,利用形態などに照らし,適切な対応が図られるよう対象物を分類することが 必要。

(5)役割分担

  • 汚染者負担原則を踏まえ,物質循環の輪の中で,最も環境負荷低減に決定力を持つ者が 主たる役割を担う,という基本的考え方を明確にすることが必要。
  • このため,廃棄物の排出者の責任を徹底するとともに,製品生産者にも適切に役割分担 を求めることが必要。
  • 行政も,全体的な施策の方向性の提示や制度の運用などのほか,率先して再生品を使う などの取組を進めることが必要。

(6)循環型社会構築のための施策手法

  • 上記基本理念を踏まえ,
    1. 社会全体の目標を示すとともに,
    2. 各主体の創意工夫が活 かされる柔軟な仕組みの構築,
    3. 上流(=生産段階等)への対策の強化,
    4. 適正処理の 一層の確保,

    などが必要

(7)廃棄物・リサイクルに係る情報基盤の整備

  • 廃棄物の排出・処理に関する情報と生産段階での再利用に関する情報のつながりを明ら かにし,社会経済活動に伴うモノの流れを把握するための仕組みが必要。
  • また,製品への表示や環境教育など各主体の取組を促す情報,不要物の需要と供給に関 する情報などを提供するための基盤整備も必要。

2.審議経過

平成9年11月
廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方について第1次答申
平成10年1月
総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の在り方に関する課題と方向性の整理,ワーキンググループ(座長:平岡部会長)の設置
2月~5月
ワーキンググループにおける検討
6月
総合的体系的な廃棄物・リサイクル対策の基本的考え方(以下「基本的考え方」)に関するワーキンググループの検討結果の公表・審議
7月
廃棄物部会として基本的考え方のたたき台をとりまとめ
8月~10月

基本的考え方のたたき台をもとに,

  • 郵便,ファックス,電子メールによる意見の公募
  • 全国的な活動を行う団体からのヒアリング(2回)
  • ブロック別ヒアリング(3ブロック)   を実施
11月
意見募集結果の整理・公表,審議
平成11年1月の公表,審議
意見募集結果を踏まえ,基本的考え方に関するとりまとめ(事務局案)
3月10日
基本的考え方に関するとりまとめ

添付資料

連絡先
環境庁水質保全局企画課物質循環促進検討チーム
主 査:太田  進 (6620)
 補 佐:藤倉まなみ(6652)
 補 佐:大熊 一寛(6264)
 担 当:鮎川 智一(6627)