報道発表資料

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2014年06月17日
  • 地球環境

気候変動枠組条約第40回補助機関会合(SB40)/強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第5セッション(ADP2-5)の結果について(お知らせ)

6月4日~15日,ドイツ・ボンにおいて,国連気候変動枠組条約の下での「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第5セッション及び2つの補助機関会合が行われたところ,概要は以下のとおり。我が国から,外務・経済産業・環境・文部科学・農林水産・国土交通の各省関係者が出席した。

1.ADP閣僚級対話

 第19回気候変動枠組条約締約国会議(COP19)における決定に基づき,ADPへの閣僚級の関与を強化するため,6月6日にADP閣僚級対話が開催され,2020年までの野心の向上や2015年合意の要素等について議論された。

 我が国からは,北川環境副大臣が出席し,我が国の温暖化対策を紹介するとともに,全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組み構築に向けて我が国の考えを述べた。また,欧州委員会,ペルー(COP20議長国),ポーランド(COP19議長国),マーシャル諸島等と意見交換を行った。

 なお, COP18における決定に基づき,6月5日に京都議定書第二約束期間参加各国による目標の見直しを検討するための閣僚級ラウンドテーブルも開催された。

2.ADP

 ①全ての国に適用される2020年以降の新しい法的枠組み(以下新たな枠組み)の要素をCOP20までに検討すること,および②2015年のCOP21に十分先立って(準備のできる国は2015年第一四半期までに)提出を招請されている約束草案を提出する際に示す情報をCOP20までに特定する,との過去の決定を踏まえて議論が行われた(ワークストリーム1)。また,2020年までの緩和の野心の向上(ワークストリーム2)について議論された。今回のADPでは,前回3月の会合の結論を踏まえ,ワークストリーム1およびワークストリーム2の両方を扱うコンタクトグループのもとで主に議論が行われた。

(1)新たな枠組みについての議論(ワークストリーム1)

新たな枠組みの要素となり得る適応,緩和,資金,キャパシティ・ビルディング,技術,行動と支援の透明性及び,約束草案を提出する際に示す情報,アセスメント,レビュー,遵守,新たな枠組みの構造について,それぞれ議論が行われた。また,約束草案については,共同議長からCOP決定案が提示され,右案を踏まえて,約束草案に盛り込まれるべき要素は何かが議論された。

(ア)新たな枠組みのあり方と約束草案の各々について,先進国 ,途上国が様々なグループに分かれ,立場の違いが明らかになった。約束草案に緩和が含まれるべきとの主張はいずれのグループも否定しなかったが,原則緩和のみに絞るべきとする先進国及び一部途上国と,適応や支援など緩和以外の要素も含めるべきとする他の途上国とで意見が分かれた。また,途上国は,先進国による率先した緩和への取組と,資金をはじめとする実施手段の供与が不可欠,緑の気候基金(GCF)への先進国による拠出が急務,等を主張した。また,新興国を中心とする一部の途上国は,「共通だが差異のある責任と各国の能力」の条約原則による附属書I国(先進国)と非附属書I国(その他)の二分論に基づき緩和や支援の義務は先進国のみにあり,途上国の緩和への取組は先進国の支援次第である,との主張を繰り返した。

(イ)我が国は,新たな枠組みは全ての国が参加する公平かつ実効的なものであるべき,約束草案の中心は緩和である,各国が約束草案を提出する際は緩和の取組が評価・検証可能であるべき,適応は重要であり国家計画や開発のプロセスに統合することで主流化すべき,資金・技術・キャパシティ・ビルディングへの支援は新たな枠組みの要素であるが法的義務の対象ではない,等を主張した。

(ウ)10月に予定される次回会合に向けて,交渉テキストの要素について共同議長が議論を促進するためのたたき台を準備することになった。また,約束草案に関して,今次会合での議論を踏まえ共同議長からのCOP決定案が改めて提示されることとなった。

(2)2020年までの緩和の野心向上(ワークストリーム2)

 都市・地域の適応・緩和に関するフォーラム,都市環境及び土地利用に関する技術専門家会合(TEM)が開かれ,各国・自治体・国際機関・研究組織等の取組について紹介・意見交換が行われた。日本からは,都市環境について,環境・耐震不動産への出資ファンド等の取組を紹介しつつ,低炭素まちづくりを進めることで温室効果ガスの削減のみならず交通渋滞の緩和など多様な便益があることを指摘した。また,土地利用分野について,緩和の取組の推進にはインセンティブの付与が重要であることを指摘した。この他,本年3月の前回会合にて行われた再生可能エネルギー・エネルギー効率に関する技術専門家会合のフォローアップが行われた。これらを踏まえて,今後のワークストリーム2の進め方につき議論された。

(3)今後の予定

 今回のADPは閉会手続きを取らずに中断された。次回会合は10月20日から25日に開催され,議論が再開される予定。

3.補助機関会合(SB)

 年に2回開催される実施に関する補助機関(SBI)及び科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)の第40回会合では,国別報告書,先進国の緩和目標・途上国の緩和行動,国別適応計画,気候変動の影響に関するロス&ダメージのためのワルシャワ国際メカニズム,対応措置,技術,キャパシティ・ビルディング,REDD+(途上国における森林の減少・劣化に由来する排出の削減等),LULUCF(土地利用,土地利用変化及び林業),農業,FVA(様々なアプローチのための枠組み),特権免除等に関する議論を行い,合意を得られた議題について結論文書がまとめられた。

 また,京都議定書第一約束期間の排出量・吸収量の審査終了日に関する決定案が採択され,これにより目標達成に向けた調整は原則として2015年11月18日までに実施することとなった。

4.我が国の立場に関する説明等

(1)二国間・多国間の会談

 会合期間中,米国,韓国,ニュージーランド,英国,EU,ブラジル,フランス,シンガポール,インド,小島嶼国,アフリカ諸国,東南アジア諸国等との会談を行い,今後のADPプロセスの進め方やCOP20で目指すべき成果,我が国が進める二国間クレジット制度等について意見交換を行った。

(2)ステークホルダーとの対話

 会合期間中,国内外のNGOと意見交換を行った。

(3)プレスへの説明

 会合期間中,邦人記者に対するブリーフを行い,交渉の状況や我が国の立場について説明した。

(了)

連絡先
環境省地球環境局国際連携課国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8330
室長:秦 康之(内線6772)
交渉官:水谷 好洋(内線6773)
担当:東 実希(内線6789)