報道発表資料
環境省生物多様性センターでは、モニタリングサイト1000の一環として実施しているシギ・チドリ類調査について、平成25年度の秋期(8月~9月)に行った調査結果をまとめました。今年は連続して調査を行っているサイトの最大数の合計は19,821羽であり、これまでの調査で最も数の少なかった2009年とほぼ同じ値でした。トウネンの飛来数が前年度より約6割減少したことが主な要因と考えられます。また、秋期に確認されることが多い絶滅危惧IA類のヘラシギが今年は確認されませんでした。一方で、ホウロクシギやダイシャクシギについては有明海などで前年度調査に比べ増加が確認されています。
1.平成25年度秋期調査概要
- ・調査期間 :
- 平成25(2013)年8月1日から平成25(2013)年9月30日
- ・調査地 :
- 113地点
- ・調査方法 :
- 各サイトに調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、シギ・チドリ類の個体数を種ごとにカウント
2.結果概要
平成25年度の秋期の調査では、日本全国のシギ・チドリ類の最大個体数の合計は、昨年度に比べ4,214減の31,435個体でした。
種別に見ると、キアシシギが全体の12.5%を占め、最も個体数の多い種となり、例年上位に挙がるトウネンの観察数が少ない結果となりました。
また、前年度と比較すると、トウネンが約6割減少したほか、ムナグロが約2割減、タシギが約3割減となっています。増加した種は、オオメダイチドリが前年度に比べ約2.3倍となったほか、ホウロクシギが約1.7倍、ダイシャクシギが約1.5倍に増えています。ホウロクシギ及びダイシャクシギは有明海などで増加傾向が見られており、この大型シギの2種にとって餌の量や干潟の面積など良い採食環境があったためと考えられます。
絶滅危惧種に注目すると、日本では秋に見られることが多い、環境省レッドリストで絶滅危惧IA類のヘラシギが、春期に続き確認されませんでした。ヘラシギの個体数の減少が懸念されます。同じく絶滅危惧II類のオオソリハシシギは、199個体が確認され、春期の2,376個体と比べて大きく減少していますが、この種については例年春期に多く観察されており、同じシギ類でも渡りのルートが異なることで、観察される時期が異なることがわかります。
詳細については、添付資料のニュースレターをご覧ください。
モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査について
モニタリングサイト1000(重要生態系監視地域調査)はわが国を代表する様々な生態系の変化状況を把握し、生物多様性保全施策への活用に資することを目的とした調査で、全国約1,000か所のモニタリングサイトを設置し、平成15年から長期継続的に実施しています。
シギ・チドリ類調査は、干潟生態系の指標として干潟の微生物・ゴカイ類・貝類・甲殻類等を採食しており干潟生態系の上位に位置するシギ・チドリ類の調査を実施しているものです。代表的な全国140地点の干潟を中心としたサイト(添付資料2)において、シギ・チドリ類が日本へ渡ってくる春(4~5月)、秋(8~9月)、冬(12月~2月)の3期の個体数調査を行っています。
3.参考
- ○
- モニタリングサイト1000ウェブサイト
http://www.biodic.go.jp/moni1000/index.html - ○
- シギ・チドリ類調査の速報ページ
http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/newsflash/index.html - ○
- シギ・チドリ類調査の調査報告書ページ
http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/reports/index.html
添付資料
- (添付資料1)平成25年度シギ・チドリ類調査 秋期調査概要(ニュースレター) [PDF 429 KB]
- (添付資料2)モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査 調査サイト位置図 [PDF 2.0 MB]
- 連絡先
- 環境省自然環境局生物多様性センター
直通:0555-72-6033
センター長 :中山 隆治
総括企画官 :鑪 雅哉
保全科長 :木村 元