報道発表資料

この記事を印刷
2014年01月31日
  • 保健対策

平成26年春の花粉飛散予測(第2報)について(お知らせ)

環境省は、平成25年12月に「平成26年春の花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(第1報)について」を公表したところですが、花粉飛散開始時期も迫ってきていることから、最新の気象情報等を踏まえ、第2報を公表します。

  • (1)スギ・ヒノキ花粉総飛散量は、スギ雄花花芽調査の結果から、第1報の予測に比べ、東北南部から関東北部で更に多くの飛散量が予測されています。全体的な傾向は第1報の通り、例年と比較すると、北海道及び西日本の一部で例年並みか多くなりますが、他の地方は例年よりも少なくなると予測され、とりわけ、一部を除く北陸や東海では例年の40%以下の飛散となることが予測されています。平成25年春(前シーズン)との比較でも、一部の地域を除き、全国的に少なくなると予測されます。
    ただし、多くの県で花粉症に対し十分な注意が必要な量の花粉が飛散すると予測されるため、例年比や前シーズン比での増減に関わらず、花粉飛散量の予測値に基づいた早めの花粉症予防対策等が必要と考えられます。
  • (2)スギ花粉の飛散開始時期は例年との比較では東北、北陸等で例年と同じか2日から3日前後遅くなると予測されますが、関東から西の地域の多くは2日から3日前後早くなる見込みです。
    前シーズンとの比較では、一部の地域を除いて遅く、西日本と東海の一部、東北北部では10日前後遅くなる所があると予測されています。ただし、飛散開始時期は開花直前の気象条件の影響を受けやすく、予測よりも早くなることがあります。
  • (3)飛散ピーク時期は、第2報で初めての予測となりますが、概ね九州地方と四国の一部で2月下旬、中国地方、四国地方、近畿地方、東海地方、関東地方で3月上旬、北陸地方や東北地方では3月中旬から4月上旬にピークになる見込みです。このピークの前後10日から20日の間も花粉量がかなり多いので注意が必要です。また、全国的に花粉が多く飛散する期間が長く、最も花粉飛散量が多くなるピーク時期も前シーズンに比べ早まると予測されます。
    なお、本予測(第2報)は、現時点で得られた気象データ、気象庁の季節予報、前年のスギ・ヒノキ花粉飛散量及び林野庁から提供されたスギ雄花花芽調査等を踏まえて作成されたものです。さらに、花粉の飛散開始時期をより実態に即して予測し、花粉症予防及び治療を効果的なものとするために、2月中旬頃にも最新の気象予報を踏まえて補正した予測(第3報)を公表する予定です。

1.概要

 環境省では、花粉症に関する調査研究の一環として、学識者からなる検討会※1の助言をいただきつつ平成16年度から花粉飛散予測に関する調査研究※2を行っており、平成25年12月に平成26年春(1月末から5月)における花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(第1報)を取りまとめたところですが、花粉飛散開始時期も迫ってきていることから、今般、最新の気象情報等を踏まえた第2報を取りまとめました。

※1
「花粉飛散予測及び動態に関する調査研究」検討会
※2
平成25年度花粉症に関する調査・検討業務(請負先;NPO法人花粉情報協会)

2.平成26年春のスギ・ヒノキ花粉総飛散量の予測について(別紙1、2)

 春に飛散するスギ及びヒノキ花粉は前年夏の気象条件に大きな影響を受けます。花粉数に影響するのは6月から8月の日照時間や気温、降水量等で、特に7月上旬から8月中旬にかけての期間の影響が大きくなっています。また、大量飛散年の翌年はスギ雄花の着花量が減少するという傾向が見られます。
 そこで、平成25年6月から8月、特に7月上旬から8月中旬にかけての日照時間や気温、降水量等の気象条件、前年のスギ・ヒノキ花粉飛散量※3及びスギ雄花花芽調査結果※4等から、平成26年春のスギ・ヒノキ花粉の総飛散量を予測しました※5
 第2報では、第1報に比べ、東北南部や関東北部で更に多くの飛散量が予測されました。

※3
NPO法人花粉情報協会が実施した調査結果によるもの
※4
林野庁及びNPO法人花粉情報協会が実施した調査結果によるもの
※5
例年比または前年比が、50%未満:少ない、50%以上~80%未満:やや少ない、80%以上~120%未満:並、120%以上~150%未満:やや多い、150%以上~180%未満:多い、180%以上:かなり多い、と記載している。

(1)例年(過去10年間の平均)との比較

 例年との比較では花粉の総飛散量は北海道、中国・四国の一部、九州で例年並みか多くなりますが、その他の地方は例年より少なく、特に一部を除く北陸や東海で40%以下の飛散となる見込みです。しかし、地域によって異なりますが、2000個/cm2を超えると、一般的に花粉症に対し十分な注意が必要とされており、半数以上の地域で、これを超える飛散になると予測されます。

(2)平成25年春シーズンとの比較

 平成26年春の花粉の総飛散量については、平成25年7月は北陸や東北を除いて日照時間が長く、気温も高めであり、8月の日照時間も日本海側の地方を除いて長く、気温も高めとなりました。しかし、平成25年春(前シーズン)が西日本を除いて大量飛散年となったことにより、スギ雄花の生育が悪く、前シーズンより少なくなる見込みです。
 特に、前シーズンに大量飛散となった東北南部から四国にかけての減少が著しく、前シーズンの半分以下になる地域が多い見込みです。
 一方、九州の一部では前シーズンの飛散量が例年並みか少なくなったこと、及び日照時間がやや多くなったため、ほぼ前シーズン並みか多く飛散する見込みです。

(補足)ヒノキ花粉の飛散量の増加について

 上記の予測では、スギ及びヒノキの花粉を合わせた予測結果としていますが、このうちヒノキの予測については以下のようになっています。

ヒノキ花粉は、日照時間に加え、気温による影響を大きく受けると言われています。また、ヒノキ花粉においても、大飛散年の翌年は着花量が減少するという傾向が見られます。前シーズンは東海、近畿、及び九州ではヒノキ花粉がかなり多く飛散し、その他の地域はヒノキ花粉は少なくなりました。このため、スギと同様にヒノキの花粉は東日本を中心に多めになる可能性が高い見込みです。
近年、西日本では雄花をつけるまでに成長したヒノキが多くなったこともあり、上述のようにヒノキの花粉がスギを上回る飛散量となる年が増加してきています。このため、西日本では予測値を上回る可能性があります。

3.平成26年春のスギ花粉飛散開始時期予測について(別紙3)

 スギ花粉を放出する雄花は、低温や日長時間の短縮によって休眠に入り、その後一定期間の低温にばく露された後、休眠から覚めて(休眠覚醒)開花準備に入るため、秋から冬の気温等により開花の時期が影響されます。このことから、気象庁による1月10日までの気温実況値および1月17日発表の1ヶ月予報を参考に、スギの花粉飛散開始時期について、以下のとおり予測しました。
 平成25年11月の気温は関東から西の地方で低くなり、12月も北日本を除いて低温になりました。1月前半の気温はほぼ全国的に平年よりやや低くなりました。気象庁によると、平成26年1月後半の気温は全国的にほぼ平年並みになる見込みです。また2月上旬の気温は低気圧が日本海を進み、暖かい空気が流れ込むために、東北から九州にかけての地方では平年並みか平年よりも高くなる確率が高いと予測され、一時かなり高くなる見込みです。
 11月と12月が低温だったため、雄花の休眠覚醒はほぼ例年並みかやや早くなりますが、開花準備期間の1月が関東から西ではほぼ平年並み、東北から北はやや低温になり、2月上旬の気温が高くなるために、スギ花粉の飛散開始日は、関東から西の地域の多くは例年より2日から3日前後早く、東北、北陸地方で例年並みか2日から3日前後遅くなりそうです。平成25年春と比較すると西日本を中心に遅くなる可能性が高いと見込まれます。ただし、飛散開始時期は開花直前の気象条件の影響を受けやすく、予測よりも早くなることがあります。

4.平成26年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散ピーク時期予測について(別紙4)

 一般的にスギ・ヒノキの花粉数は、スギが主体の地方では飛散開始後徐々に増加し、飛散のピークを過ぎると徐々に減少する「ひと山型」の分布となり、ヒノキの割合が多い地方ではスギのピークとヒノキのピークが別になる「ふた山型」になります。このことを踏まえ、平均飛散曲線、各地点の予測される花粉総飛散量、及び気象庁の季節予報を参考として、花粉飛散が多くなる期間※6の予測を行いました。なお、本ピーク予測は、スギ及びヒノキ花粉を合わせた予測結果としています。

スギ・ヒノキ花粉の飛散が多くなる期間中、最も花粉飛散量が多くなるピーク時期は、概ね九州地方、中国地方、四国地方、近畿地方、東海地方、関東地方で2月下旬から3月上旬、北陸地方等では3月中旬、東北地方では3月下旬から4月上旬の見込みです。このピークの前後10日から20日の間も花粉量がかなり多いので注意が必要です。
※6
ダーラム法による観測方法で飛散量が1日あたり30個以上/cm2と予想される期間

5.花粉症予防対策について

 花粉飛散量は、地域によって異なりますが、2000個/cm2を超えると、一般的に花粉症に対し十分な注意が必要とされています。近年の花粉飛散量は多くの地域において増加しており、平成26年春は東北から九州にかけては60%を越える地域でこれを超える飛散になると予測されます。このため、前シーズン比や例年比での増減に関わらず、予報に基づいた早めの花粉症予防対策等が必要と考えられます。

*参考
1日の花粉数が30個を超えると花粉症の症状が悪化することが知られています。シーズンの花粉数が1000個の場合、30個以上飛散する日数は平均で11日前後ですが、2000個では22日に、4000個では34日にもなります。

 なお、花粉のばく露を避けるための基本的な対策には、以下のものが挙げられます。

マスク、メガネを着用する。特にマスク内側に当てガーゼを付け、鼻口部分に枕ガーゼを当てると効果が高い。
換気時にはレースのカーテン等で遮るとともに、開窓を10cm程度にとどめる。
掃除はこまめに行い、掃除機の使用だけでなく、濡れ雑巾やモップによる清掃を行う。
洗濯物は屋内に干す。
衣類の素材は羊毛や毛織物は避け、ポリエステルや綿製品で起毛のないものを着用する。

 上記については、花粉症に係る各種関連情報を紹介する「花粉症環境保健マニュアル2014」(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual.html)で、より詳しい内容がご覧いただけます。

6.その他

(1)本予測(第2報)に関する留意事項

 本予測(第2報)は、現時点で得られた気象データ、気象庁の季節予報、前年のスギ・ヒノキ花粉飛散量及びスギ雄花花芽調査等を踏まえて作成されたものです。さらに、花粉の飛散開始時期をより実態に即して予測し、花粉症予防及び治療を効果的なものとするために、2月中旬頃にも最新の気象予報を踏まえて補正した飛散開始日の予測(第3報)を公表する予定です。

(2)平成26年春シーズンの対応

 環境省では、平成26年春シーズンにおいても、花粉の総飛散量等の予測及び観測を行い、「スギ花粉飛散開始マップ」により、都府県毎の飛散開始日情報を順次提供します。また、リアルタイムの花粉の飛散状況については、「花粉観測システム(愛称:はなこさん)」により、情報を提供します(2月3日より提供予定)。
 上記の情報は、環境省ホームページ上※7にて公開し、順次、更新していく予定です。

※7
環境省花粉情報サイト(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html

 なお、上記サイトでは、「花粉症環境保健マニュアル2014」を併せて提供しています。
 このほか、政府における花粉症対策は、今後とも関係府省庁(内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、気象庁、環境省)の緊密な連携の下で進めることとしております。

【本件発表に係る詳細についての問合せ先】

スギ・ヒノキ花粉飛散予測(スギ及びヒノキ雄花花芽調査含む)に関すること
NPO法人花粉情報協会
 連絡先:047-475-7116 担当:佐橋
林野庁によるスギ雄花花芽調査に関すること
林野庁森林利用課
 連絡先:03-3501-3845 担当:大沼、山本
「花粉観測システム(愛称:はなこさん)」に関すること
環境省水・大気環境局大気環境課
 連絡先:03-5521-8294 担当:中島
「花粉症環境保健マニュアル2014」に関すること
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
 連絡先:03-5521-8261 担当:森川

(参考)平成25年度「花粉飛散予測・動態に関する調査研究」検討会名簿(五十音順)

今井 透
NPO花粉情報協会 理事長
榎本 雅夫
鳥取大学医学部客員教授
大久保公裕
日本医科大学耳鼻咽喉科教授
岡本 美孝
千葉大学大学院医学研究院教授
金子 雅信
東京都健康安全研究センター企画調整部健康危機管理情報課
岸川 禮子
国立病院機構 福岡病院 臨床研究部アレルギー科医長
佐橋 紀男
東邦大学理学部訪問教授
村山 貢司
(一財)気象業務支援センター専任主任技師
横山 敏孝
元(財)林業科学技術振興所主任研究員 

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8261
課長   牧谷 邦昭(内6350)
課長補佐 森川 博司(内6365)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。