報道発表資料
本報告書では、京都議定書の締結に必要となる6%削減目標を確実に達成するための国内制度の一環として、
[1]経済的手法や規制的手法を組み合わせた5つの政策パッケージモデル
[2]政策パッケージを適切に実施するための基盤となる仕組みの在り方
について、小委員会で行われた議論を紹介している。
本報告書は、来年1月の環境省発足に伴い改組される新たな中央環境審議会における議論の出発点として引き継がれ、新中環審において引き続き検討がなされる予定である。
また、報告書については、今後の新中環審における審議の参考とするため、国民各界各層から広く意見を募集することが了承された。
1.これまでの経緯
中央環境審議会は、今後の地球温暖化防止対策の在り方について、平成9年12月に諮問を受け、翌10年3月中間答申を行った。中間答申を踏まえて、政府は地球温暖化対策推進法案を国会に提出し、同年10月に同法案は可決成立した。中間答申では、「本審議会としても、京都議定書の履行を担保し得る制度の在り方について引き続き審議を進め」ることとしている。
また、平成12年の環境基本計画の見直し作業に当たり、企画政策部会に「地球温暖化対策検討チーム」が設置され、7回にわたる議論が行われた。同検討チームは、本年6月22日、企画政策部会に検討結果を報告した。
同検討チームの報告を契機に、企画政策部会は、我が国政府がCOP5で京都議定書を2002年までに発効させるべきとの考えを表明していること、及び、COP6を始めとする国際交渉の進展を見据えつつも現時点から国内での削減目標を確実に達成するための制度について検討を進めることが必要であることから、「今後の地球温暖化防止対策の在り方」に係る諮問に対応する審議を再開することを決定した。
これを受け、企画政策部会は平成12年8月に、同部会の下に、「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」を設置し、京都議定書の締結に必要となる6%削減目標を確実に達成するための国内制度の一環として、自主的取組、税、排出量取組等の経済的手法、規制的手法等の各種政策手法の組合せ(ポリシーミックス)による複数の政策パッケージモデルの作成と、こうした政策パッケージを適切に実施するための基盤となる仕組みの検討を行うことを決めた。
本小委員会では、8月から6回の会合を実施し、12月11日の第6回会合において審議内容に関する報告書のとりまとめを行った。本報告書は、本日の企画政策部会に報告され、了承された。
2.小委員会報告書の概要
本報告書では、京都議定書の締結に必要となる6%削減目標を確実に達成するための国内制度の一環として、経済的手法や規制的手法を組み合わせた5つの政策パッケージモデル等について、具体的な提案がなされている。本報告書の内容については、今後、新中環審において議論が継続されることとなるが、その際に議論を行う出発点として有意義な材料を提供するものとなる。
[1]地球温暖化対策推進大綱重視モデル | |
・ | 現行の「地球温暖化対策推進大綱」に盛り込まれた各種施策を推進するとともに、2008年以前に各種施策の評価と見直しを行う。 |
[2]自主的取組強化モデル | |
・ | 産業部門については、自主行動計画の協定化又は計画策定の義務づけを図り自主的取組を強化。 |
・ | 民生・運輸部門についてもビル・大規模住宅の省エネ基準の義務化、自動車税制のグリーン化等、対策の一層の拡充。 |
[3]環境税モデル | |
・ | 環境税を導入し、温室効果ガスを排出するすべての者による取組を幅広く促進。 |
・ | 環境税の導入に当たっては、我が国の産業構造の中長期的な展望や国民生活への影響の観点から何らかの緩和措置を講じる。 |
・ | 民生・運輸部門対策については[2]に同じ。 |
[4]環境税&大規模管理モデル | |
・ | 環境税を導入し幅広く取組を促進する一方、より確実に排出量を管理する必要があると考えられる業種・分野については、環境税に代えて総量規制又は排出量取引制度を導入。 |
・ | 民生・運輸部門対策については[2]に同じ。 |
[5]ハイブリッド排出量取引モデル | |
・ | 化石燃料の輸入・製造者及び大規模排出者を対象とするハイブリッド型の排出量取引制度を導入し、確実な排出削減を図る。 |
・ | 2008年以降は、国際的な排出量取引制度と国内の排出量取引制度とをリンク。 |
・ | 民生・運輸部門対策については[2]に同じ |
(参考)小委員会報告書目次
はじめに
第1章 二酸化炭素の排出削減に向けた政策パッケージ
第2章 政策パッケージの内容について
第1節 | 各種推進メカニズムの特徴 | |
第2節 | 諸外国における政策パッケージの検討の現状 | |
第3節 | 我が国における政策パッケージ提案事例 | |
第4節 | ポリシーミックスの在り方について |
第3章 部門別の地球温暖化対策と推進メカニズムの現状と課題について
第1節 | 産業部門 | |
第2節 | 民生部門 | |
第3節 | 運輸部門 | |
第4節 | エネルギー転換部門 | |
第5節 | 非エネルギー起源のCO2及びCH4、N2O排出 | |
第6節 | HFC、PFC、SF6の排出 | |
第7節 | 我が国における地球温暖化対策と推進メカニズムの現状と課題全体についての議論 |
第4章 地球温暖化対策のための基盤メカニズムの在り方について
第1節 | 6%削減目標の達成に向けた課題 | |
第2節 | 情報システムの必要性 |
第5章 ポリシーミックスによる政策パッケージのモデル
第1節 | 政策パッケージの検討の視点 | |
第2節 | ポリシーミックスの要素となる推進メカニズムの検討 | |
第3節 | 各々の推進メカニズムを改善するための検討 | |
第4節 | 推進メカニズムを組合せるための検討 | |
第5節 | 政策パッケージのモデルの検討 | |
第6節 | 2002年までの議定書の締結に向けた国内制度の検討 | |
第7節 | ポリシーミックスによる政策パッケージのモデルについての議論 |
3.今後のスケジュール
<2000年> | |
12月13日 | 企画政策部会への小委員会報告書の報告 |
14日 | 報告書に対する国民からの意見の募集開始(~1月15日) |
<2001年> | |
1月 6日 | 環境省発足 |
新中央環境審議会における、地球温暖化防止対策の在り方に係る検討の再開
4.国民各界各層からの意見募集について
「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書の内容について、今後の審議の参考とするため、別紙を受けて、国民の皆様の御意見を広く募集することとしました。電子メール・ファクシミリ・郵送により御意見をお寄せください。送付先は、次のとおりです(詳細については、別添参照)。
【意見送付先】 中央環境審議会企画政策部会(地球温暖化防止対策検討小委員会関係)事務局 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 |
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環境庁地球環境部環境保全対策課内 今田宛て (1月6日からは環境省地球環境局地球温暖化対策課内今田宛て) ファクシミリ:03-3581-3348 電子メール:chikyu-taisaku@eanet.go.jp (1月6日からは、chikyu-taisaku@env.go.jp) |
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【意見募集期間】 | |
平成12年12月14日(木)~平成13年1月15日(月) |
なお、本件に関する情報は、環境庁ホームページで御覧になれます。
『URL:http://www.eic.or.jp/eanet/』
(1月6日からは、https://www.env.go.jp/)
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長 :竹本 和彦(内6740)
課長補佐 :塚本 直也(内6737)
担 当 :小紫 雅史(内6760)
:今田 元宏(内6738)