報道発表資料
1. | 9月6日に開催された中央環境審議会水質部会(部会長:村岡浩爾・大阪産業大学教授)において、「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて」の第二次答申案がとりまとめられ、同日、森嶌中央環境審議会会長より環境庁長官に対し答申が行われた。 |
2. | この答申(第二次答申)は、多摩川中・下流など3河川、深山ダム貯水池など5湖沼の環境基準(生活環境項目)に係る水域類型の見直しを求めるものである。 |
3. | 環境庁では、本答申を踏まえ、これらの水域の環境基準の類型指定に関する改定告示を速やかに行うよう手続きを進める予定である。 |
1.経緯 |
||||||||||||||||||
(1) | 背景 |
|||||||||||||||||
[1] | 「水質汚濁に係る環境基準」については、昭和46年12月の環境庁告示第59号により定められているが、この中で、生活環境の保全に係る環境基準(生活環境項目)は、水域の利用目的(水道、水産等)に対応して複数の類型が設けられており、個々の水域にいずれかの類型をあてはめることによって、当該水域の具体的な水質目標が示されることになっている。また、類型指定は、政令で指定された水域(県際水域)については、環境庁長官が行うこととされている。 | |||||||||||||||||
[2] | この水域類型の指定については、水域利用の変化等事情の変更に伴い適宜改定することとされているが、多くの公共用水域では約20年前に類型指定が行われたままであり、水域の利用や水質汚濁の状況変化を踏まえ、類型指定の見直しを行う必要が生じた。 | |||||||||||||||||
[3] | このため、平成9年5月、環境庁長官から中央環境審議会に対し「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて」諮問を行った。 |
|||||||||||||||||
(2) | 審議経過 | |||||||||||||||||
平成9年5月の諮問を受け、中央環境審議会では、中川下流、荒川下流、小河内ダム貯水池について見直しを行い、平成10年3月9日に第1次答申を行った。 引き続き、第二次分として、多摩川中流・下流、猪名川下流、神崎川、深山ダム貯水池、川治ダム貯水池、土師ダム貯水池、弥栄ダム貯水池、小瀬川ダム貯水池について水質部会及び水質部会陸域環境基準専門委員会で見直しの調査審議を行い、第二次答申がとりまとめられた。 |
||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||
2.第二次答申の概要 |
||||||||||||||||||
第二次の見直し対象とされた各水域については、それぞれの水域利用目的及び水質状況等を踏まえ、水域類型及び達成期間を次表のとおり見直すこととされた。 このうち、 |
||||||||||||||||||
○ | 多摩川中流・下流など3河川については、昭和45年にC類型(BODで5mg/l以下)~E類型(同10mg/l以下)が指定されていたが、近年の水質改善傾向と利水状況を踏まえ、B類型(BODで3mg/l以下)~D類型(同8mg/l以下)に改める |
|||||||||||||||||
○ | 深山ダム貯水池など5湖沼(ダム湖)については、従来、該当水系の河川の一部として類型指定が行われていたが、湖沼としての水質管理の見地から、それぞれ利水目的等を踏まえた湖沼の水域類型を指定することとされた。 |
政令別表 による名称 |
水域 | 水域類型 | 達成期間 | (参考) 現行の類型 |
---|---|---|---|---|
多摩川水系の 多摩川 |
多摩川中・下流 (拝島橋より下流) |
河川B |
直ちに達成 |
河川C (多摩川中流) 河川D (多摩川下流) |
淀川水系の 猪名川 |
猪名川下流(1) (箕面川合流点より下流(藻川を含む)。ただし、藻川分岐点から藻川合流点を除く) |
河川B |
5年以内で可及的速やかに達成 |
河川E (猪名川下流) |
猪名川下流(2) (藻川分岐点から藻川合流点まで) |
河川D |
直ちに達成 |
||
淀川水系の 神崎川 (大阪府及び兵庫県に係るもの) |
神崎川 (安威川、猪名川を除く神崎川) |
河川B |
5年以内で可及的速やかに達成 |
河川E |
那珂川水系の 那珂川 |
深山ダム貯水池 (深山湖) (全域) |
湖沼AA | 直ちに達成 | 河川AA |
湖沼I (窒素を除く) |
平成18年までの暫定目標 全燐 0.011mg/l |
|||
利根川水系の 鬼怒川 |
川治ダム貯水池 (川治ダム湖) (全域) |
湖沼AA | 平成18年までの暫定目標 COD 2.0mg/l |
河川AA |
湖沼II | 平成18年までの暫定目標 全窒素 0.32mg/l 全燐 0.021mg/l |
|||
江の川水系の 江の川 |
土師ダム貯水池 (土師ダム湖) (全域) |
湖沼A | 直ちに達成 | 河川A |
湖沼II | 平成18年までの暫定目標 全窒素 0.43mg/l 全燐 0.020mg/l |
|||
小瀬川水系の 小瀬川 |
弥栄ダム貯水池 (弥栄湖) (全域) |
湖沼AA | 平成18年までの暫定目標 COD 2.6mg/l |
河川AA |
湖沼II | 平成18年までの暫定目標 全窒素 0.32mg/l 全燐 0.010mg/l |
|||
小瀬川ダム貯水池 (小瀬川ダム湖) (全域) |
湖沼A | 直ちに達成 | 河川AA | |
湖沼II (窒素を除く) |
5年を超える期間で可及的速やかに達成 |
3.今後の予定 |
||
環境庁では、この第二次答申を受け、今後関係都府県の意見を聴取した上で、速やかに類型指定告示の改定をすることとしている。 また、利用目的や水質状況に変化が生じている他の水域について、引き続き第三次の類型見直しを行うこととし、中央環境審議会水質部会陸域環境基準専門委員会の調査審議をお願いすることとする。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁水質保全局水質管理課
課 長: 小沢典夫(内6630)
補 佐: 横田敏宏(内6637)
係 長: 飯島正典(内6632)