報道発表資料
- 地球環境
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)国際ワークショップ「アジア太平洋地域における生物多様性と生態系サービスに関するスコーピングワークショップ」の開催結果について(お知らせ)
環境省が支援しているアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、国際連合大学の協力のもとで「アジア太平洋地域における生物多様性と生態系サービスに関するスコーピングワークショップ」を、2月13~15日に国際連合大学(東京)にて開催しました。
ワークショップでは、APNが過去に支援してきた研究プロジェクトの中から、「生物多様性」、「生態系サービス」及び「土地利用・土地被覆変化」を主なテーマとして扱ったプロジェクトに焦点をあて、国内外から専門家を招聘し、これらのプロジェクトの成果を整理・評価しました。
その上で、まだ研究が及んでいない領域や、今後重点的に研究を進めるべきテーマを分析し、研究分野を特定する目的で議論を行いました。
議論の結果、生物多様性の保全とグリーングロースを達成し、win-winを実現することの重要性が再確認され、改めてAPNのようなメカニズムを通じた対話、議論、共同研究、能力開発の必要性が明らかになりました。「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム (IPBES)」が発足するのを機に、この国際的な枠組みのなかで、アジア太平洋地域における今後の活動の重点課題についてさらなる議論が必須です。
なお、本ワークショップの成果は、平成23年4月に開催されるAPN第16回政府間会合(スリランカ・コロンボ)へ報告される予定です。
1.開催日時・場所
- 日時:
- 2011年2月13日(日)~15日(火)
- 場所:
- 国際連合大学
2.出席者
アジア太平洋地域を中心に、10ヶ国(米国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、カンボジア、インド、ニュージーランド、オーストラリア、中国、日本)から生物多様性や生態系サービスに関する専門家や政策決定者等計22名が参加しました。我が国からは、武内和彦国際連連合大学副学長、松澤地球環境局研究調査室長をはじめ、計8名が出席しました。
3.開催の趣旨
生物多様性の減少とそれに伴って起きる生態系サービスの劣化については、環境問題のみならず、社会・経済の問題として世界レベルで取り組まなくてはなりません。APNはこれまで、「生物多様性」、「生態系サービス」、「土地利用・土地被覆変化」を主なテーマとして扱った数多くのプロジェクトを支援してきましたが、特に発展途上国においては、研究不足な課題が数多く残されていると想定されます。
こうした現状を念頭に、APNが支援してきたプロジェクトのみならずその他のアジア太平洋地域において実施されてきた生物多様性等に関する研究における成果を整理、評価するとともに、今後の研究課題を特定することが喫緊の課題となっています。
4.主な内容
議論の結果、生物多様性の減少が、どのように、またどのような規模でいつ人間社会に悪影響を及ぼすのかに関する研究が不十分であること、及び、生物多様性の保全とグリーングロースを達成し、win-winを実現することの重要性が再確認され、改めてAPNのようなメカニズムを通じた対話、議論、共同研究、能力開発の必要性が明らかになりました。 具体的には、以下の5つの研究分野を、アジア太平洋地域において優先的に取り組む必要がある分野として特定し、分類を行いました。
- [1]
- 生物多様性の減少の駆動要因の研究
- [2]
- 生物多様性及び生態系サービスの減少による影響のアセスメント
- [3]
- 生物多様性及び生態系サービス変化の、モデルを用いた予測
- [4]
- 生物多様性及び生態系サービスの減少に対する緩和策の研究
- [5]
- [1]~[4]に関する能力開発及び政策決定へ繋がる議論へのインプット
これらの分野について、今後さらに検討を行い、APNの活動へ活かしていく予定です。また、本ワークショップの成果は、平成23年4月に開催されるAPN第16回政府間会合(スリランカ・コロンボ)へ報告される予定です。
なお、ワークショップの概要につきましては、取りまとめ後、APNのホームページ(http://www.apn-gcr.org/newjp/indexj.html)にて公表いたします。
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局総務課研究調査室
直通:03-5521-8247
代表:03-3581-3351
室長:松澤 裕(内線 6730)
補佐:佐々木 緑(内線 6731)
担当:小早川 鮎子(内線 6733)