報道発表資料

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2000年10月12日

低周波音の測定方法に関するマニュアルの策定について

低周波音に関しては、これまで統一的な測定方法が定められていなかった。このため、低周波音による影響に関する知見、データが不足しているのが現状である。しかし、近年、ISOで超低周波音の測定方法に関する規格が定められ、また低周波音の専用の測定機器が市販されるようになった。このような状況を踏まえ、これまで専門の調査団体に委託して調査してきた成果を取りまとめて、「低周波音の測定方法に関するマニュアル」を作成した。
 近く、本マニュアルを地方公共団体に送付し、全国統一的な方法で測定するようにする。
 今後、このマニュアルにより測定された精度の高いデータを集積することにより、人体影響等についての調査研究を進め、有効な低周波音対策を講じる。

 マニュアルは次のような構成となっている。

1.本マニュアルに用いる用語
 以下の用語を定義している。
超低周波音;1/3オクターブバンド中心周波数で1~20Hz
低周波音;1/3オクターブバンド中心周波数で1~80Hz
G特性;ISOで決められた規格で、超低周波音の人体感覚を評価するための周波数補正特性。

2.低周波音の発生源と苦情
 どういうものからどんな低周波音が発生するかや、苦情の類型とその原因についての概要を説明している。

2.1低周波音の発生源と発生機構
 発生機構別の発生源として
平板の振動によるもの-大型振動ふるい、道路橋等
気流の脈動によるもの-空気圧縮機、真空ポンプ等
気体の非定常励振によるもの-大型送風機の翼の旋回失速等
空気の急激な圧縮、開放によるもの-発破、鉄道トンネルへの列車高速突入等
と分類している。

2.2低周波音の苦情
 低周波音により発生する苦情の類型を物的苦情、心理的苦情、生理的苦情に分け、発生する現象と予想される低周波音の周波数を説明。

2.3低周波音の卓越周波数と苦情内容
 文献に取り上げられた低周波音の苦情の卓越周波数と苦情内容を紹介。

3.測定の目的
 低周波音を測定する目的について解説。この内、「苦情対応」を目的とする測定が本マニュアルの中心となる。
(1)苦情対応
(2)現況把握
(3)対策および発生原因の解明
(4)対策効果の確認

4.低周波音の苦情があった場合の対処方法
4.1低周波音問題の診断手順
 測定の流れを説明



4.2発生状況の把握(状況調査)
 苦情を受けた際に聞いておくべき事柄について説明
(被害の内容、場所、時刻、苦情者の分布、周辺状況等)

4.3予備調査
 調査員自身による発生状況の把握、現場実測調査のための概略的な状況把握のために予備調査を行う。

5.低周波音の測定方法
5.1測定計画
 低周波音の問題となっている影響ごとに評価に用いる測定量を決めることについて説明
感覚及び睡眠への影響G特性音圧レベルを基本とし、必要に応じて1/3オクターブバンドによる周波数分析を行う。
建具等のがたつき1/3オクターブバンド周波数分析を行う。
 (中心周波数1-50Hz)
圧迫感・振動感1/3オクターブバンド周波数分析を行う。
 (中心周波数1-80Hz)
 その他に、低周波音の測定系列、測定機器、測定時期、測定場所、人員配置について説明。

5.2現場測定方法
 測定機器の設定、記録内容等について説明。

5.3測定時の注意事項等
 気象条件、地形等による影響に関する注意点を説明。

5.4音圧レベル指示値の読み取り方法
 音圧レベルの変動のパターンごとに指示値の読み取り方法を説明。

6.録音データの解析方法
 測定時に録音した場合のデータの処理方法を説明(G特性音圧レベルの波形の記録、統計処理、周波数分析)。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室 長  藤田 八暉 (内線6540)
 補 佐  戸田 英作 (内線6548)
 担 当  高尾、阿部 (内線6546)