報道発表資料

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2000年10月19日

化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定等に関する中央環境審議会答申について

10月19日に開催された中央環境審議会水質部会において、本年2月に環境庁長官が諮問した「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」に関して報告が取りまとめられ、同日、中央環境審議会会長から環境庁長官に対して答申がなされました。
 環境庁としては、これを受け、新たな総量規制基準の適用等に向けて、関係法令の改正等所要の手続を進めることとしています
答申の背景及び経緯
(1)  東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、水質の汚濁を防止し、生活環境の保全に係る水質環境基準を確保することを目的として、昭和54年以来4次にわたり化学的酸素要求量(以下「COD」と言います。)を対象とした水質総量規制を実施してきましたが、CODのみならず窒素・燐の環境基準の達成率も満足できる状況になく、赤潮、貧酸素水塊といった富栄養化に伴う問題が発生している状況にあります。
(2)  こうした状況を踏まえ、本年2月8日、中央環境審議会より、第5次水質総量規制の実施に当たっては、平成16年度を目標に従来のCODに加え、新たに窒素・燐を総量規制の対象項目として指定することが適当との答申がなされました。
(3)  水質総量規制においては、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の関係地域にある一定規模以上の工場・事業場から排出される汚濁負荷量について、環境庁長官の定める範囲内で都府県知事が総量規制基準を定めることとなっており、環境庁は、右答申を踏まえ、同日付けで「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」を同審議会に諮問しました。
(4)  本諮問事項については、同審議会水質部会において審議が行われてきましたが、パブリックコメント手続を経て、10月19日に開催された同部会において最終的な審議が行われ、同日環境庁長官に対して答申がなされました。

答申の要点
 答申の要点は以下のとおりです(別添1)。
(1) CODの総量規制基準の範囲
現行の第4次水質総量規制における総量規制基準に係る全232業種その他の区分(備考を含めて297区分)のうち、34区分(備考を含めて50区分)について総量規制基準を強化することが適当。
(2) 窒素及び燐の総量規制基準の範囲
新たに総量規制の対象項目となる窒素及び燐についても一層の汚濁負荷量の削減を図るため、CODと同様の全232業種その他の区分について総量規制基準を設定。
なお、窒素については、工程の特性、排水水質の実態、排水処理技術の実態等に応じて、全232業種その他の区分のうち54区分について備考を設けて細分化した上で総量規制基準を設定。
同様に、燐については、全232業種その他の区分のうち18区分について備考を設定。
(3) 窒素及び燐の汚濁負荷量の測定方法等
汚濁負荷量は、総量規制基準が適用される汚染状態(濃度)と排出水の量との積として得られるものであるが、排出水の汚染状態の計測方法については、窒素含有量又は燐含有量の排水基準に係る検定方法によることとし、測定頻度、測定結果の記録方法等については、CODと同一とすることが適当。

パブリックコメント手続
 本件に係る中央環境審議会答申案については、本年9月7日から10月4日までパブリックコメント手続を実施したところですが、そこで寄せられた御意見及びそれに対する考え方については、同部会において審議され、別添2のとおり取りまとめられたところです。

今後の予定
(1)  環境庁としては、本答申を踏まえ、新たな総量規制基準の適用に向けて水質汚濁防止法施行規則の改正、環境庁告示の公布等所要の手続を速やかに進めることとしています。
(2)  なお、環境庁としては、総量規制基準が適用される工場・事業場から排出される汚濁負荷量のみならず、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の水質に影響を及ぼす汚濁負荷量の全体を削減する総合的・計画的な水質保全対策を推進するため、新たな総量削減基本方針の策定に向けて検討を進めることとしています。
(3)  総量規制に関係する都府県知事は、この総量削減基本方針に基づき、総量削減計画を策定し、都府県ごとの発生源別の削減目標量及び削減の方途等を定めることとなっており、平成12年度内の策定に向けて各都府県において検討が進められることとなります。
(4)  そして、この総量削減計画に基づき都府県知事が定めることとされている総量規制基準が、都府県知事による設定後、一定の猶予期間を経た上で、総量規制関係地域の一定規模以上の工場・事業場に適用されることとなります(CODに係る総量規制基準は、新たに改定される基準値が適用されるまでの間は、現行の第4次水質総量規制における基準値が適用されます。)。

 

[添付資料]

別添1 「水質に係る化学的酸素要求量の総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」中央環境審議会答申
別添2 中央環境審議会答申案に対する意見の募集結果について
参考資料 化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定等に関する意見の募集について

 


(参考)

審議経過等

平成12年2月 8日 第24回中央環境審議会水質部会
答申(「第5次水質総量規制の在り方について」)
諮問(「水質に係るCODの総量規制基準の設定方法の改定並びに窒素及び燐の総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等の設定について」)
総量規制基準等専門委員会の設置
 
4月 28日 第1回総量規制基準等専門委員会
汚濁負荷の実態等
総量規制基準の改定・設定に当たっての検討事項
窒素及び燐の汚濁負荷量の測定方法等
 
6月 1日 第2回総量規制基準等専門委員会
排水水質の実態
排水処理技術の実態
 
6月 30日 第3回総量規制基準等専門委員会
総量規制基準の算式
窒素及び燐に係る業種その他の区分
 
8月 18日 第4回総量規制基準等専門委員会
総量規制基準の業種その他の区分ごとの範囲(案)
窒素及び燐の汚濁負荷量の測定方法等
 
9月 1日 第5回総量規制基準等専門委員会
総量規制基準等専門委員会報告の取りまとめ
 
9月 6日 第25回中央環境審議会水質部会
総量規制基準等専門委員会からの報告
 
9月
 
10月
7日
4日
パブリックコメント手続(意見の募集)
 
 
10月 19日 第26回中央環境審議会水質部会
パブリックコメント手続の結果
答申

添付資料

連絡先
環境庁中央環境審議会水質部会事務局
環境庁水質保全局水質規制課総量規制室
室   長  齊藤 眞  (内線6641)
 室長補佐  山崎 卓三(内線6645)
 担   当  荒木 智行(内線6645)

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