平成22年度野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会の開催結果について(お知らせ)

１．鳥島での保護増殖事業について

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平成21年度の実施結果

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平成22年２月に行った環境省の調査により、今年生まれたヒナは、鳥島の燕崎（元々の繁殖地）で279羽、初寝崎（新しい繁殖地）で45羽、その他の地点で4羽の計328羽がカウントされ、昨年の310羽より18羽増加した。（※このうち燕崎のヒナ15羽を２月８日に小笠原聟島へ移送した。）

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分科会検討員の長谷川東邦大学教授により、アホウドリの鳥島個体群は約2570羽と推定されている。（平成５年の事業開始当時は約600羽）

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平成22年２月に発生した燕崎繁殖地への土砂流入対策として、幅５m×深さ２m×長さ80mの中央導水溝を掘削（人力、約800立米）した。（写真１参照）

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今年度（平成22年度）の実施計画

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昨年度も順調な繁殖が確認されたため、今年度も来年２～３月にモニタリングを行う。また、初寝崎のヒナには、来年４月～５月に足環を装着する。

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燕崎繁殖地おいて新たに掘削した中央導水溝は、いずれ土砂で埋まってしまうと予測されることから、当面、燕崎繁殖地への土砂の流入量を減らすため、土砂流路を変更する工事を検討し、実施する。

２．日米共同衛星追跡事業（平成13年度から実施中）

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昨年度以降（平成21年度～平成22年度）の実施結果

ア．

平成21年巣立ちヒナの追跡結果

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平成21年５月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ７羽（日本２羽、米国５羽）の計14羽に発信機を装着した。

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平成21年12月までに鳥島の５羽、聟島の５羽（ともに米国の発信器）が発信を終了したが、鳥島の２羽、聟島の２羽（ともに日本の発信器）については、現在（平成22年８月末）も追跡を継続中であり、約15ヶ月間にわたって人工衛星による行動追跡に成功している（図２・図３参照）。

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鳥島と聟島の雛の間には行動圏等の明確な違いは見られなかった。また、ベーリング海が巣立ちしたアホウドリの夏期の重要な餌場となっている可能性が示された

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４月以降は、日本近海に渡来してしばらく滞在し、その後北上する個体や、アメリカ北西海岸からアラスカ、ベーリング海、アリューシャン列島等で過ごす個体が見られた。（図３参照）

イ．

平成22年巣立ちヒナの追跡結果

○

平成22年５月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ６羽（日本２羽、米国４羽）の計12羽に発信機を装着した。

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平成22年８月までに鳥島の２羽（米国の発信器）が発信を終了したが、その他の鳥島の４羽、聟島の６羽については、現在（平成22年８月末）も追跡を継続中である。

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今後（平成22年度～平成23年度）の実施計画

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平成23年度も、鳥島・聟島の巣立ちヒナを対象に、発信機を取り付け、人工衛星による行動追跡を実施する。

３．小笠原（聟島）での新繁殖地形成事業（平成19年度から実施中）

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今繁殖期（平成22年２月～現在）の実施結果報告

ア．

ヒナ移送と人工飼育
＜移送＞

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２月８日に鳥島から聟島までヒナ15羽をヘリコプターで移送。

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捕獲から放鳥までの時間は約7.5時間だった（ヘリによる移送時間は1.5時間）。

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ヒナの性比は雄11羽、雌４羽。

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移送中に衰弱したヒナはなく、放鳥時にも健康状態に異常のあるヒナはなかった。

＜飼育＞

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聟島の飼育ヒナの体重成長は野生のヒナと同じ状態で推移した。

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１羽も死ぬことなく、全てのヒナが5月18～29日の間に巣立った。（平成19年からの累計40羽が巣立ち）

イ．

デコイ・音声装置の設置

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平成21年11月にデコイを、平成22年１月及び２月に音声装置を設置し、５月末まで稼働させた。

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音声装置稼働中少なくとも３羽の亜成鳥が飛来した。

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今後の実施計画

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移送するヒナは昨年度と同様、35日齢（移送予定日は２月５日～10日）、ヒナ数は15羽（利用するヘリに１度に載せられる最大数）とする。

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飼育方法は基本的に今年と同様とする。

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デコイ・音声装置は平成22年11月～平成23年５月まで設置する。