報道発表資料

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2010年03月30日
  • 再生循環

微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験(平成21年11月~22年1月実施分)の実施結果について(お知らせ)

 環境省は、静岡県、茨城県、富山県富山市、福島県いわき市及び福岡県北九州市並びに株式会社ミダックふじの宮、株式会社カツタ、株式会社富山環境整備、株式会社クレハ環境及び光和精鉱株式会社の協力を得て、微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験を実施しましたので結果をお知らせいたします。

1.趣旨

 PCBを使用していないトランス等の中に、実際には微量のPCBに汚染された絶縁油を含むもの(以下「微量PCB汚染廃電気機器等」という。)が大量に存在することが判明しており、環境省では、これらの処理体制の整備に向け、平成17年度から既存の産業廃棄物処理施設において微量PCB汚染廃電気機器等の焼却実証試験を行い、安全かつ確実に処理できることを確認してきたところです。
 この処理体制については、平成21年3月の「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会」とりまとめ報告において、「これまで行ってきた微量のPCBに汚染された絶縁油等の焼却等による無害化の実証試験を引き続き行うことが適当」とされ、さらに、「今まで微量PCB汚染廃電気機器等を対象として行われてきた実証試験により得られた技術的知見は、微量のPCBを含む他の廃棄物の処理にも応用できる可能性がある。この点を確認するための実証試験を更に実施することにより、PCB廃棄物の処理体制を検討していくことが望ましい。」とされたところです。
 上記を踏まえ、環境省では、微量のPCBを含む廃棄物の処理体制の整備に向け、既存の産業廃棄物処理施設において微量のPCBを含む廃棄物が安全かつ確実に処理できることを確認するため、今般、関係自治体である静岡県、茨城県、富山市、福島県いわき市及び福岡県北九州市並びに実証試験施設の設置者である株式会社ミダックふじの宮、株式会社カツタ、株式会社富山環境整備、株式会社クレハ環境及び光和精鉱株式会社の協力を得て、微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験を実施しました。

2.実証試験の概要

(1)
実施場所及び実施期間
株式会社ミダックふじの宮(静岡県富士宮市)
平成21年11月18日(水)~11月20日(金)
株式会社カツタ(茨城県ひたちなか市)
平成21年11月25日(水)~11月27日(金)
株式会社富山環境整備(富山県富山市)
平成21年12月1日(火)~12月3日(木)
株式会社クレハ環境(福島県いわき市)
平成21年12月23日(水)~12月25日(金)
光和精鉱株式会社戸畑製造所(福岡県北九州市)
平成22年1月13日(水)~1月15日(金)
施設の概要は、「別紙」表1参照。
(2)
実施内容  株式会社ミダックふじの宮、株式会社カツタ及び株式会社富山環境整備では、微量(数十ppm程度)のPCBを含む絶縁油を焼却処理し、排ガス中のPCB濃度等を分析することにより、これらの処理状況を確認しました。
 株式会社クレハ環境では、微量のPCBを含む廃棄物(廃活性炭、防護服等)を焼却処理し、排ガス中のPCB濃度等を分析することにより、これらの処理状況を確認しました。
 光和精鉱株式会社では、微量PCB汚染廃電気機器等(コンデンサ)及び微量のPCBを含む廃棄物(廃活性炭、防護服等、汚泥、ウエス等)を焼却処理し、処理後のコンデンサ及び廃活性炭等並びに排ガス中のPCB濃度等を分析することにより、これらの処理状況を確認しました。
 なお、本試験においては、燃焼ガスを1,100℃以上(株式会社ミダックふじの宮及び株式会社カツタは850℃以上)の温度に保ちつつ、2秒以上滞留させて焼却処理を行いました。
 ロータリーキルン式焼却炉で廃活性炭及び防護服等を焼却処理(1,100℃以上)し、また、固定床炉でコンデンサ、廃活性炭、汚泥及びウエス等を加熱処理(850℃以上)し発生したガスを2次燃焼炉で焼却処理(1,100℃以上)しました。

3.実証試験の結果

 大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度を「別紙」表2に、排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度等を「別紙」表3に、焼却処理後の燃え殻及びコンデンサ等のPCB及びダイオキシン類の分析結果を「別紙」表4にまとめました。

(1)
株式会社ミダックふじの宮
 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、関係法令に定める基準値等よりも低いことを確認しました。また、試験試料を投入せずに施設を運転した場合(通常運転時)と、試験試料を投入して施設を運転した場合(本試験時)において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界(4地点)における大気中のPCB濃度並びに施設周辺(1地点)における大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、本試験時(1日目)に施設周辺のダイオキシン類の濃度が基準値を上回りました※1が、それ以外は基準値等よりも低いことを確認しました。
※1
 当日の排ガス中のダイオキシン類濃度の結果及び風向等から、この施設の影響ではないと考えられます。
(2)
株式会社カツタ
 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度について、通常運転時と本試験時(2日目)にダイオキシン類の濃度が基準値を上回りました※2が、それ以外は基準値等よりも低いことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
※2
 通常運転時と本試験時を通じて排ガス中のダイオキシン類の濃度に顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる影響ではないと考えられます。なお、本件について同施設において今回の試験実施後に別途原因調査及び改善対策が行われており、改善後の排ガス中のダイオキシン類濃度が基準値より低いことを確認しています。
(3)
株式会社富山環境整備
 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。また、通常運転時と本試験時において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
(4)
株式会社クレハ環境
 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。また、通常運転時と本試験時において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
 焼却処理後の焼却炉の燃え殻に含まれるPCB及びダイオキシン類の量については、基準値よりも低いことを確認しました。
(5)
光和精鉱株式会社戸畑製造所
 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。また、通常運転時と本試験時において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
 ロータリーキルン式焼却炉での廃活性炭及び防護服等の焼却処理後の燃
 え殻に含まれるPCB及びダイオキシン類の量については、基準値よりも低いことを確認しました。また、固定床炉でのコンデンサ(容器、素子等)、廃活性炭、汚泥及びウエス等の加熱処理後の残渣物に含まれるPCB及びダイオキシン類の量については、ウエス等(ドラム缶入り)の残渣物に含まれるダイオキシン類の含有量が基準値を上回りました※3が、それ以外は基準値よりも低いことを確認しました。
※3
当該残渣物は、特別管理産業廃棄物(ダイオキシン類を含む燃え殻)の処分に関する許可を有している焼却施設(本実証試験を行ったロータリーキルン式焼却炉)において処理されました。

4.その他

 今後も、協力が得られる他の施設において、実証試験を実施していく予定です。

添付資料

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課
代表:03-3581-3351
課長:坂川 勉(内線6871)
課長補佐:松崎 裕司(内線6880)
主査:斎藤 史紀(内線6895)

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