報道発表資料

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1997年11月25日

神戸港内公有水面埋立て(六甲アイランド南埋立事業)について

兵庫県神戸市東灘区向洋町地先の公有水面における公共ふ頭用地等の整備のために行われる公有水面埋立について、平成9年7月11日付けで公有水面埋立法第47条第2項の規定に基づき、運輸大臣より環境保全上の観点による意見の照会があったことから、水質保全対策、道路交通騒音対策、及び計画的な環境監視等に関する環境庁長官意見を提出する。
【環境庁長官の意見】
  1. 本埋立計画は、埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域における計画であり、現状においても水質の環境基準が達成されておらず、富栄養化の進行し た海域であることから、本埋立計画の実施に際しては、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく埋立ての基本方針に十分配慮するとともに、水質保全に万全を期するため、次の措置を講じる必要がある。
    (1)  水質予測の前提となっている下水処理場への高度処理の導入については、予測年度までに確実に実施すること。
    (2)  埋立地の利用に伴い発生する汚水排水については、極力循環利用を図り、新たに発生する水質汚濁負荷量の削減に努めること。
    (3)  埋立工事中の水質汚濁防止について十分配慮するとともに、工事中の濁水処理について所要の対策を講じること。
     
  2. 本埋立計画における傾斜式護岸の導入等の環境対策については、海水の自浄能力の向上や、生物生息空間・親水空間の確保等、海域環境の改善を図る上で重要なものであることから、本事業計画の実施までに、さらに機能・構造・規模等の面から検討を重ね、事業実施の時点において確実に導入する必要がある。
  3. 瀬戸内海における埋立てを極力抑制する観点から、本埋立地に位置付けられた廃棄物 最終処分場が適切に活用されるように十分配慮するとともに、処分地からの浸出水・排出水による水質への悪影響が生じないよう、必要に応じ高度処理の導入を行う等十分な水質汚濁防止対策を講じる必要がある。
  4. 埋立てに用いる山土、石材の採取によって、環境保全上の問題が生じることのないよう、事業者においても十分留意する必要がある。
  5. 本埋立計画地の背後地域の交通公害は、国道43号をはじめとして現に著しく、将来、 埋立地に由来する交通量の増加が見込まれること、また、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成4年6月3日法律第70 号)に基づく特定地域であることにかんがみ、以下の措置をはじめとした積極的な交通公害防止対策を講じる必要がある。
    (1)  本埋立計画地からの発生交通の国道43号をはじめとした市街地への流入防止を図るため、阪神高速湾岸線をはじめ予測の前提となっている関連道路については、沿道環境の保全に十分配慮しつつ、予測年度までに供用開始されるよう、都市計画案の事業施行期間について整合性を図ることを契機に、今後の整備を促進するとともに、大型車の誘導等発生交通を適切なルートへ誘導できるよう関係機関に積極的に働きかけること。
     また、埋立地の上物施設が概ね供用開始した時点で、環境監視と合わせて関連交通の流動実態調査を行い、その結果を踏まえて、環境保全上必要な措置を講じること。
    (2)  港湾における自動車交通量を削減するため、関係者間で十分な調整の上、港湾関連貨物の共同化、輸送の効率化、モーダルシフト等を促進するとともに、公共交通機関の整備を促進すること。
    (3)  関連車両への最新規制適合車・低公害車の導入については、関係機関と協力しつつこれを促進すること。
     
  6. 本埋立事業は、埋立て等について環境保全上特別な配慮が必要な瀬戸内海海域における長期にわたる事業であることから、工事中及び埋立地利用時における環境監視を計画 的に実施し、工事途中段階及び埋立地利用時に環境監視結果を勘案の上、今回実施され た環境影響評価の予測結果についてレビューを行い、その結果を踏まえ埋立工事の工程等の変更を含め環境保全上必要な措置を講じる必要がある。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室  長:小林 正明(内線6231)
 審査官:辻   祐司(内線6236)