報道発表資料

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2009年12月21日
  • 保健対策

平成22年春の花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(速報)について(お知らせ)

 環境省が実施している調査研究報告(速報)によれば、平成22年春のスギ・ヒノキ科花粉総飛散量は、平成21年春(昨シーズン)と比較して、ほとんどの地域で昨シーズンよりも少なくなると予測されます。また、例年との比較では、全国的に例年並みか例年よりも少なくなると予測されます。スギ花粉の飛散開始時期は、昨シーズンとほぼ同様で、例年よりも1週間程度早くなると予測されます。
 しかしながら、一部地域を除き、全国的に花粉症を発症しうるレベルであると考えられるため、前シーズン比や例年比での増減にかかわらず、予報に基づいた早めの花粉症予防対策等が必要と考えられます。
 なお、1月下旬頃に最新の気象予報及び花芽調査の詳細結果を踏まえ、花粉飛散開始前のより精緻な予測を公表する予定です。

1.概要

 環境省では、花粉症に関する調査研究の一環として、平成16年度から花粉飛散予測に関する調査研究を行っています。
 今般、当該研究※1において、平成22年春(1月末から5月)における花粉総飛散量及び飛散開始時期の予測(速報)を取りまとめました。内容は以下のとおりです。

※1
平成21年度花粉症に関する調査・検討業務(請負先;NPO法人花粉情報協会)

2.平成22年春のスギ・ヒノキ科花粉総飛散量の予測について(参考資料1)

 春に飛散するスギ及びヒノキ科花粉は前年夏の気象条件に大きな影響を受けます。花粉数に影響するのは6月から8月の日照時間や気温、降水量などで、特に7月上旬から8月中旬にかけての期間の影響が大きくなっています。
 そこで、平成21年6月から8月、特に7月上旬から8月中旬にかけての日照時間や気温、降水量などから、平成22年春のスギ・ヒノキ科花粉の総飛散量を予測しました※2

※2
例年比または前年比が、50%未満:少ない、50%以上~80%未満:やや少ない、80%以上~120%未満:並、120%以上~150%未満:やや多い、150%以上:多い、と記載している。

(1)昨シーズンとの比較

  • 平成22年春の花粉の総飛散量は、平成21年の7月・8月ともに日照時間が短かったことや低温の影響などにより、ほとんどの地域で昨シーズンより少なくなる見込みです。
  • 東日本では昨シーズンより少なく、東北北部等の一部地域を除いて20~40%程度になる見込みです。特に東北南部※3から北陸の日本海側で昨シーズンよりも顕著に少なくなると予測しています。
  • 西日本においても昨シーズンより少なく、和歌山県や中国・四国、九州の一部等を除いて30~60%程度と予測しています。しかしながら、昨シーズンよりも多くなる地域や昨シーズン並みとなる地域もあり、東日本に比較して前シーズン比では多めの予測となっています。
※3
東北南部とは宮城県、山形県、福島県のこと。

(2)例年との比較

  • 例年との比較では花粉の総飛散量は全国的に例年並みか例年より少なくなる見込みです。
  • 東日本では東北北部や東海、甲信の一部で例年並みとなっていますが、その他の地域では例年の30~60%程度と見込まれます。
  • 西日本では近畿、中国・四国、九州の約半数の地域で例年並みと予測されており、それ以外の地域では例年の60%以上と見込まれます。例年比についても東日本よりも多めの予測となっています。
(補足)
ヒノキ科花粉の飛散量の増加について
上記の予測では、スギ及びヒノキ科の花粉を合わせた予測結果としていますが、
このうちヒノキ科の予測については以下のようになっています。
  • 東海以西では、今年8月の気温が四国、九州で平年並みかやや高くなりましたが、その他は7月・8月の気温はともに平年より低めでした。このため、日照不足に加えて低温の影響が加わり、ヒノキ科の花粉は全般に少なめになる可能性が高い見込みです。
  • しかしながら、近年、西日本では雄花をつけるまでに成長したヒノキが多くなったこともあり、ヒノキ科の花粉がスギを上回る飛散量となる年が増加してきています。このため、西日本では予測値を上回る可能性があります。

3.平成22年春のスギ花粉前線予測について(参考資料2)

 スギ花粉を放出する雄花は、日長時間や一定期間の低温へのばく露等により開花の時期が影響されます。このことから、気象庁12月11日発表の1ヶ月予報及び11月25日発表の3ヶ月予報を参考に、スギの花粉飛散開始について、以下のとおり予測しました。

  • 平成21年11月以降の気温の経過は全国的に高めに推移しましたが、気象庁の季節予報によれば、これから年末にかけて気温が低くなると予測されています。その後は平成22年1月以降、全国的に暖冬傾向になる確率が高いと予想されています。
  • このため、雄花の休眠覚醒はほぼ例年並みですが、スギ花粉の飛散開始日は平成21年春と同様に例年よりも1週間程度早くなる可能性が高いと見込まれます。

4.花粉症予防対策の必要性

 近年の花粉飛散量は多くの地域において増加しており、1980年代には大量飛散とされていた1000個/cm2を超えて、平成22年春も半数近くの地域で2000個/cm2を超える飛散になると予測されています。
 平成22年度の花粉の総飛散量は昨年度との比較で減少することが見込まれますが、一部地域を除き、全国的に花粉症を発症しうるレベルであると考えられます。前シーズン比や例年比での増減にかかわらず、予報に基づいた早めの花粉症予防対策等が必要と考えられます。

5.その他

(1)本速報に関する留意事項

 本速報は、現時点で得られた気象データ、気象庁の季節予報及び花芽の調査結果速報を踏まえて作成されたものです。
 今後、最新の気象予報及び花芽調査の詳細結果を踏まえ、花粉飛散開始前の1月下旬頃に、より精緻な予測を公表する予定です。

(2)平成22年春シーズンの対応

 環境省では、平成22年春シーズンにおいても、花粉の総飛散量等の予測及び観測を行い、「スギ花粉飛散開始マップ」により、都府県毎の飛散開始日情報を順次提供します。また、リアルタイムの花粉の飛散状況については、「花粉観測システム(愛称:はなこさん)」により、情報を提供します(2月初旬より提供予定)。
 上記の情報は、環境省ホームページ上※4にて公開し、順次、更新していく予定です。

※4
環境省花粉情報サイト(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html

 なお、上記サイトでは、花粉症に係る各種関連情報を紹介する「花粉症環境保健マニュアル2009」を併せて提供しています。

 この他、政府における花粉症対策は、今後とも関係各省(内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、気象庁、環境省)の緊密な連携の下で進めることとしております。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
代表:03-3581-3351 
直通:03-5521-8261
課長 早水 輝好(内6350)
課長補佐 佐方 信夫(内6352)

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