報道発表資料
環境庁企画調整局長委嘱の「地球温暖化防止のためのライフスタイル検討会(座長:大西隆 東京大学工学部教授)」は、この度、消費者のライフスタイルを二酸化炭素排出の少ない方向に誘導するための施策を網羅的に検討した報告書を取りまとめた本報告書では、(1)今後に想定される社会トレンドから見て民生部門から排出される二酸化炭素はなお増加するおそれがあること、(2)他方、その増加は不可避的なものではなく、ライフスタイルの変更によって相当に削減される可能性があること(仮想的試算例を提示)、(3)しかし、そのためには、社会の側でライフスタイルの変更を容易にし、実りあるものとするための適切な政策等が必要であることなどを指摘している。
今後、環境庁では、地方公共団体等に提示し、民生部門での対策強化の参考に供するとともに、引き続き同検討会において、検討すべき施策を絞り込み、例えば、「エコ商店」や「環境ベルマーク」など、消費者と事業者との努力を結び合わせ、効果を発揮する施策について検討作業を深めることとしている。
今後、環境庁では、地方公共団体等に提示し、民生部門での対策強化の参考に供するとともに、引き続き同検討会において、検討すべき施策を絞り込み、例えば、「エコ商店」や「環境ベルマーク」など、消費者と事業者との努力を結び合わせ、効果を発揮する施策について検討作業を深めることとしている。
- 趣旨
- 報告書の構成
(1) | わが国の二酸化炭素の排出量は、特に民生・運輸部門での増加が顕著である。この民生・運輸部門の二酸化炭素排出量の増加には、利便性、快適性を追求した結果としての家電製品の利用や、移動手段としての自動車の利用に代表されるように、最終消費者のライフスタイルに依存するところが大きい。民生・運輸部門からの二酸化炭素排出量削減のためには、国民全体が現在のエネルギー多消費型のライフスタイルから二酸化炭素排出の少ないライフスタイルに移行していくことが重要であると考えられる。 |
(2) | 上記検討会では、昨年6月に二酸化炭素排出削減に視点を当てた環境家計簿を作成し広く配布するとともに、その普及活動を展開してきた。ライフスタイルの変革を誘導する対策については、他にも様々な試みがなされているが、効果をあげているものは限られており、また、様々な課題を抱えているために実行に移せないものも多い。そこで、本検討会では、これまでに提唱された対策について、現在抱えている実行上の課題を抽出し、今後のあるべき方向性について提案を行うとともに、本検討会で独自に考案した対策についても同様に課題や今後の方向をまとめた。本報告書で検討した対策は合計50施策であり、ライフスタイルに係わる施策をいわば総覧している。 |
(3) | また、消費者のライフスタイル変革の重要性とその効果の大きさを訴えるための素材として、環境保全に熱心な家庭とそうでない家庭をモデルとしたケーススタディを行い、両家庭の二酸化炭素排出量の差異が一世帯当たりの平均的な排出量に比較した場合およそ34%に及び得ることなどを示した。 |
(4) | 今後、上記検討会では、本報告で取り上げた施策の実現・普及に向けて、テーマを絞り込んで検討を進めていく予定である。なお、具体的なテーマは今後の課題であるが、本検討会のこれまでの成果である「環境家計簿」の充実及び普及を図っていくことに加え、新たに、例えば「エコ商店」制度及び製品の生涯排出量を考慮し、生産から廃棄までの過程を通じて二酸化炭素の排出の少ない製品が消費者に選ばれやすくなるための「環境ベルマーク」制度(仮称)の具体化策を検討する予定である。 |
本報告書は以下の3章からなる。
第1章 | ライフスタイルに関連する二酸化炭素排出量の現状と将来展望 |
わが国の二酸化炭素排出の現状を整理し、消費者のライフスタイルに関連する社会的トレンドが二酸化炭素排出に及ぼす影響についてまとめた。 |
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第2章 | 我々の目指すべき社会像とその実現のための対策 |
地球温暖化防止のために、これから目指すべき望ましい社会像を描き、その実現のために望まれる具体的施策について、2010年頃までの実現・普及を想定して取りまとめた。 |
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第3章 | ケーススタディ |
環境保全に取り組むことの重要性とその効果を訴求するための素材として、環境保全に熱心な家庭とそうでない家庭を想定して比較を行い、2010年にどれくらい二酸化炭素排出量に差が出るか試算を行った。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長:小林 光 (6740)
補佐:上野賢一(6758)
担当:菅原雅彦(6739)