報道発表資料

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2009年03月19日
  • 大気環境

(株)ガステック製アルデヒド類捕集管加温装置に係る不具合について(第2報)

 ホルムアルデヒドの大気環境モニタリングに用いられる(株)ガステック製のアルデヒド類捕集管加温装置(型式:GTH-1、製品番号1501~1614)に係る不具合については、1月30日にお知らせしたところですが、その後、地方公共団体等による当該装置の使用実態を把握するとともに、過去の測定値の取扱いについて取りまとめたのでお知らせします。

1.経緯

 大気汚染防止法に基づき、国及び地方公共団体では、有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを実施(原則月1回)しており、このうちホルムアルデヒドの捕集においては、大気中の水分の凝縮による影響を抑えることを目的に、捕集管を加温することがある。
 今般、(株)ガステックが製造した一部の製品(型式:GTH-1、製品番号1501~1614、以下「当該装置」という。)において、使用時の加温等に伴い装置の部材等からホルムアルデヒドが放散し、測定値が影響を受ける(濃度が高めに測定される)可能性があるとの報告が同社から寄せられた。
 このため、環境省では平成21年1月30日付けで当該装置の不具合に係る情報を公表するとともに、地方公共団体等によるホルムアルデヒドの大気環境モニタリング調査における当該装置の使用実態を把握してきた。
https://www.env.go.jp/press/10703.html

2.当該装置の使用実態及び影響を受けた可能性がある測定値の状況

 大気汚染防止法に基づきホルムアルデヒドの大気環境モニタリングを実施している地方公共団体等に調査を依頼し、当該装置が使用された可能性がある平成18年6月~平成21年1月(32ヶ月分)の期間における当該装置の使用の有無を確認するとともに、当該装置を使用していた、又は使用していた可能性がある場合には、別添1のフローに従い測定値への影響を判断した。
 この結果、ホルムアルデヒドの測定値が影響を受けた可能性があるのは、調査地点数として最大で39地点(約10%)、検体数として最大で487検体(約4%)であった。

表1 ホルムアルデヒドの測定値が影響を受けた可能性がある調査地点数と検体数
都道府県数 調査主体 調査地点数 検体数 (参考)調査対象期間の全数(※)
調査地点数 検体数
22 自治体 15 160 約400 約12,000
環境省 24 327
合計 39 487
平成20年度のモニタリング調査が完了していないため、平成18、19年度の調査実績を踏まえ、対象期間における概数を求めた。

 なお、測定会社等が(株)ガステック製の同装置を複数台所有し、このうち一部が不具合のある可能性がある装置であったため、測定に使用したかどうか特定することができないケースがあった。上記の値は、このケース(調査地点数:17、検体数:156)を含めた数字である。

3.過去の測定値の取扱い

(1)当該装置を使用した調査地点の測定値に関する取扱い

 当該装置の使用による測定値への影響の程度は、気象条件や使用状況等によって異なるため、測定値を定量的に補正することは不可能である。したがって、当該装置が使用された可能性がある検体の測定値は、全て参考値扱いとすることとした。
 参考値扱いとする調査地点名、測定値は別添2のとおり。

(2)平成18、19年度調査の全国集計結果※に関する取扱い

地方公共団体等における調査結果を取りまとめ、年1回公表している。
平成19年11月30日(https://www.env.go.jp/air/osen/monitoring/mon_h18/index.html
平成20年12月12日(https://www.env.go.jp/air/osen/monitoring/mon_h19/index.html
○ホルムアルデヒドの調査の集計結果に関する取扱い
 参考値扱いとした検体の測定値を除いて平成18、19年度の集計結果における年平均値、最小値及び最大値を求めたところ、集計結果の概要は表2のとおりとなった。
 平成18、19年度ともに年平均値、最小値に変化はなかったが、平成19年度結果の最大値は、参考値扱いのデータを除いた場合、6.8μg/m3であった。
 このため、公表済みの集計結果における平成18、19年度の調査地点数・検体数及び平成19年度の最大値については参考値扱いとすることとした。
表2 ホルムアルデヒドの調査の集計結果の概要
年度 地点数 検体数 年平均値
[μg/m3]
最小
[μg/m3]
最大
[μg/m3]
ホルムアルデヒド
(公表済みの値)
H18年度 399 4,485 3.1 0.53 8.8
H19年度 403 4,462 2.7 0.45 9.0
ホルムアルデヒド
(参考値扱いのデータを除いた値)
H18年度 396 4,449 3.1 0.53 8.8
H19年度 389 4,294 2.7 0.45 6.8
○平成9年度からの継続測定地点に係る調査結果の取扱い
 平成9年度からの継続測定地点は、平成18年度で83地点、平成19年度で79地点であったが、これらの中に当該装置が使用された可能性がある検体は含まれていなかったため、数値の取扱いに変更はない。
(参考)
 (株)ガステックが実施した放散試験によると、最大の影響を受けると考えられる条件下(新品の製品を開封直後に、その吸引口付近をビニールで囲い込み、外気温が高い条件下で直射日光を当てる)において、実際の大気濃度に比べ3.7μg/m3高い値が測定されている。

4.不具合の原因に関する(株)ガステックからの報告内容と環境省の対応

 (株)ガステックでは、今般の不具合の原因を検証した結果、通気系以外の部分からホルムアルデヒドが放散する可能性についての認識が欠如していたこと、不具合が顕在化する最悪条件下での検証がなされていなかったこと、購入部材の原料にまで至るトレーサビリティ体制がなかったことなどが原因であったとしている。
 また、是正対策として、設計プロセスにおける審査機能向上のための検証項目の標準化、製品開発時における不具合発生リスクの高い環境条件・使用方法に関する検証、購入部材の履歴管理(トレーサビリティ管理)による外注管理の徹底等の対策を講じることとしている。
 (詳細は同社HPに掲載。http://www.gastec.co.jp/whatsnew/index.htm
  環境省は、(株)ガステックから上記内容の報告を受け、同社に対し、是正対策を速やかに講じるよう指導するとともに、今後、同社製品に同様の不具合が生じないよう、再発防止策を徹底するよう求めた。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通 03-5521-8295
代表 03-3581-3351
課長 早水 輝好(6530)
課長補佐 伊藤 隆晃(6572)
係長 小池 紘一郎(6572)

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