報道発表資料
環境省では、昨年11月に、国内のプロジェクトにより実現された温室効果ガス排出削減・吸収量をカーボン・オフセットに用いられるクレジットとして認証するオフセット・クレジット(J-VER)制度を創設いたしました。
また、地方自治体等における森林のCO2吸収量を認証する取組についての関心の高まりや、昨年9月に発表された環境副大臣吉野正芳イニシアティブを踏まえ、本制度の対象プロジェクトとして、間伐等の森林管理を実施し森林の二酸化炭素の吸収量を増加させる取組を位置づけるため、昨年10月より、林野庁とも連携しながら森林吸収クレジットを認証するための基準を集中的に検討してまいりました。
今般、本制度における必要な手続を経て、森林管理プロジェクトが本制度の対象プロジェクトとして正式に位置づけられましたのでお知らせいたします。これにより、森林管理プロジェクトによるオフセット・クレジット(J-VER)の認証が受けられることになります。森林管理プロジェクトの申請については、4月15日(水)より受付を開始する予定です。
森林吸収クレジットを用いたカーボン・オフセットの普及は、京都議定書の目標達成に資するだけでなく、国内林業の活性化にも繋がる重要な役割を果たすと考えられます。
1.検討経過等
「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified Emission Reduction)の認証基準に関する検討会(VER検討会)」の下に、森林分野の専門家で構成される森林吸収ワーキンググループ(委員の構成は下記(2)のとおり)を設置し、林野庁とも連携しながら森林吸収J-VERの認証基準について検討を行った。
(1)森林吸収J-VER認証基準の検討の経過
- 2008年10月31日(金)第1回ワーキンググループ
- 2008年11月25日(火)第2回ワーキンググループ
- 2008年12月25日(木)第3回ワーキンググループ
- 2009年 1月13日(火)第7回VER検討会
- 2009年 1月16日(金)~30日(金)パブリックコメント
- 2009年 3月 3日(火)第4回ワーキンググループ
- 2009年 3月10日(火)第3回オフセット・クレジット(J-VER)認証運営委員会
(2)ワーキンググループ委員名簿(敬称略、五十音順)
- ・天野 正博
- 早稲田大学大学院 人間科学研究科 教授
- ・岡 成一
- 株式会社JACO CDM 審査部
- ・小林 紀之
- 日本大学大学院 法務研究科 教授
- ・速水 亨
- 速水林業 代表
- ・日比 保史
- コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 代表
- ・松本 光朗
- 森林総合研究所 温暖化対応推進拠点温暖化対応推進室長
2.制度の概要
(1)対象となるプロジェクト
[1] 森林経営プロジェクト
- ・
- 森林法第5条又は第7条の2の対象森林。
- ・
- 森林施業計画の認定又は森林認証(FSC、SGEC)等により持続的な森林管理を確保。
-
- i)間伐促進型プロジェクト
-
- ・
- 2007年度以降に間伐を実施した面積に応じてクレジット発行。対象地で行われる施業は森林計画に適合している必要がある。
- ・
- 対象地で主伐・土地転用を行うとクレジットは発行されない。
- ii)持続可能な森林経営促進型プロジェクト
-
- ・
- 1990年度以降に間伐・主伐・植栽を実施した面積に応じてクレジット発行。対象地で行われる施業は森林計画に適合している必要がある。
- ・
- 対象林分で行った主伐については伐採量に応じて排出とみなす。
- ・
- 対象地で土地転用を行うとクレジットは発行されない。
[2] 植林プロジェクト
- ・
- 2008年4月1日時点で森林法第5条・第7条の2の対象森林でなく、かつ森林の定義を満たさないこと。
- ・
- 森林法第5条・第7条の2の対象森林に編入されるための措置を講じていること。
- ・
- 2008年度以降に植林された面積に応じてクレジット発行。
(2)永続性の確保のための措置
- ・
- 発行されるクレジットの3%をバッファーとして制度管理者側で管理し、当該クレジットのうちの一定量を本制度の事務局を務める気候変動対策認証センター(以下、「事務局」)が毎年無効化することにより、自然撹乱及び土地転用等に伴うCO2吸収効果消失分を補填する。
- ・
- 土地転用や不適切な主伐により吸収量が失われた場合は、別途定める約款に基づき措置を講じる。
- ・
- 永続性の確保のための措置については、事務局がクレジット発行対象期間終了後10年間継続して行うものとする。
(3)吸収量の算定方式
- ・
- 京都議定書との整合性の確保のため、グロス-ネット計上方式(※)を採用。
- ※
- プロジェクトが実施されなかった場合の吸収量との差分をCO2年間吸収量とするベースライン&クレジット方式とは異なり、施業を行った対象地でのCO2吸収量を計上する方式。
3.今般追加された森林管理プロジェクトに関する制度文書等について(別添)
- 資料1
- オフセット・クレジット(J-VER)制度におけるポジティブリスト
- 資料2
- オフセット・クレジット(J-VER)の排出削減・吸収量の算定及びモニタリングに関する方法論
- 資料3
- オフセット・クレジット(J-VER)制度モニタリング方法ガイドライン(森林管理プロジェクト用)
- 資料4-1
- オフセット・クレジット(J-VER)制度実施規則(改定版)
- 資料4-2
- オフセット・クレジット(J-VER)制度実施規則 別紙(吸収量の永続性確保についての取扱い方)
- 資料5
- オフセット・クレジット(J-VER)制度温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクト申請書(森林管理プロジェクト用)
- 参考資料
- パンフレット(「森林による二酸化炭素吸収量をカーボン・オフセットに用いられるクレジットに」)
4.森林管理プロジェクトの申請受付について
森林管理プロジェクトの申請受付は、事務局において4月15日から開始する予定です。申請に係る手数料等、詳細情報については、下記の気候変動対策認証センターHPを御覧ください。
気候変動対策認証センター(事務局:海外環境協力センター内) http://www.4cj.org/
5.関連情報
- ・VER検討会について
- https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/conf_ver.html
- ・オフセット・クレジット(J-VER)認証運営委員会について
- https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/j-ver_cs_comm.html
添付資料
- 資料1:オフセット・クレジット(J-VER)制度におけるポジティブリスト [PDF 224 KB]
- 資料2:オフセット・クレジット(J-VER)の排出削減・吸収量の算定及びモニタリングに関する方法論 [PDF 313 KB]
- 資料3:オフセット・クレジット(J-VER)制度モニタリング方法ガイドライン(森林管理プロジェクト用) [PDF 1.3 MB]
- 資料4-1:オフセット・クレジット(J-VER)制度実施規則(改訂版) [PDF 315 KB]
- 資料4-2:オフセット・クレジット(J-VER)制度実施規則 別紙 [PDF 162 KB]
- 資料5:オフセット・クレジット(J-VER)制度温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクト申請書(森林管理プロジェクト用) [PDF 197 KB]
- 参考資料:パンフレット(「森林による二酸化炭素吸収量をカーボン・オフセットに用いられるクレジットに」) [PDF 2.7 MB]
- 連絡先
- 環境省地球環境局地球温暖化対策課市場メカニズム室
直通:03-5521-8354
代表:03-3581-3351
室長:高橋 康夫(6737)
係長:吉崎 仁志(6785)
担当:泉、仲埜、本田(6041)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成21年3月10日
- オフセット・クレジット(J-VER)制度における温室効果ガス排出削減量の認証第1号について(お知らせ)
- 平成21年2月17日
- 「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified Emission Reduction)の認証基準に関する検討会(第8回)」及びカーボン・オフセットモデル事業報告会等の開催について(お知らせ)
- 平成21年1月16日
- オフセット・クレジット(J-VER)制度における森林吸収クレジットの認証基準(案)に対する意見の募集について(お知らせ)
- 平成20年12月4日
- オフセット・クレジット(J-VER)制度 プロジェクト申請受付第1号について(お知らせ)
- 平成20年11月14日
- オフセット・クレジット(J-VER)制度の創設について(お知らせ)