報道発表資料

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1997年10月13日

砂漠化防止条約第1回締約国会議の結果について

砂漠化防止条約第1回締約国会議が9月29~10月10日の日程で、国連食糧農業機関(FAO)本部(ローマ)において開催された。砂漠化防止条約は1996年(平成8年)12月に発効したものの、条約事務局、資金問題(グローバル・メカニズム)等に関しては合意が得られていなかった。今回の会合により、これらの懸案事項について原則的な合意がなされるとともに、同条約の科学的な裏付けを行う科学技術委員会(CST)の第1回会合が開催された。また、条約事務局の設置場所は、ボン(独)に決定し、次回の第2回締約国会議はセネガルがホスト国になることが承認された。
 なお、環境庁では平成7年度より西アフリカのブルキナ・ファソ国において砂漠化防止対策モデル事業を実施しており、今後とも乾燥地域における砂漠化防止対策を積極的に進めることとしている。
1.会議の概要
(1)日程
   平成9年9月29日~10月10日
(2)開催地
   国連食糧農業機関(FAO)本部(ローマ)
(3)主催
   砂漠化防止条約事務局(ホスト国 イタリア)
(4)参加国等
 締約国102ヶ国、オブザーバー国36ヶ国、国連機関及びその関連組織等15機関、国際機関17機関、NGO62団体、EU事務局及びパレスチナ等を代表し、計910名が参加した(10月7日現在の事務局文書)。我が国は、オブザーバーとして環境庁、外務省及び農林水産省等から10名が出席した。
(5)概要
・砂漠化防止条約が1996年(平成8年)12月26日に発効したことを受けて、第1回目の締約国会議が開催されたもの。これまで、準備会合として砂漠化防止条約交渉委員会が10回にわたって開催され、条約事務局、資金問題(グローバル・メカニズム)等に関する議論が行われてきたが、国際的な合意は得られていなかった。このため、第1回締約国会議においてこれら懸案事項の合意を目指した議論が行われ、概ね合意に達した。
・我が国は条約未締結のため、今回会合はオブザーバー参加となったが、G77及び中国グループ等の途上国を中心としたグループからは、ドナー国としての我が国の役割が期待されている。
・なお、当庁では平成7年度より西アフリカ、ブルキナ・ファソ国において砂漠化防止対策モデル事業を実施しているなど、今後とも乾燥地域における砂漠化防止対策を積極的に進める予定としている。本事業については、今秋にも現地での本格的な工事に着工の予定であり、会議場の展示スペースにおいても、同事業の概要の展示を行った。

2.会合の結果
(1)条約事務局の所在地
 常設事務局の設置場所については、カナダ、ドイツ及びスペインが立候補していたが、締約国による投票の結果、ドイツ(ボン)に決定した。
(2)グローバル・メカニズム
 条約に定められている資金メカニズムであるグローバル・メカニズムは、国連国際農業開発基金(IFAD)が受け入れ機関となることが合意された。なお、グローバル・メカニズムに設置されることとなったトラスト・ファンドに関しては、任意の資金拠出によるものとされた。
(3)計画及び予算
 暫定事務局の1998年度予算案及び常設事務局としての初年度に当たる1998/99年度予算が承認された。
(4)CST(科学技術委員会)の第1回会合の開催
 CSTは、砂漠化防止条約の実施のための科学的裏付けを行うものであり、専門家の登録制度の設立、研究のインベントリーの作成、研究ネットワークの調査及び砂漠化に関する指標等の作成について合意が得られた。
{1}専門家の登録制度
 専門家数は、現在のところ自然科学分野を中心に34ヶ国より計587名の登録がある。登録専門家数の少ない社会科学分野及び女性(12%)の参加が促進されるべきとの意見が相次いだ。
{2}研究のインベントリー
 伝統的技術の重要性及びNGOの参加の促進が強調され、アドホック・パネルの設置が承認された。
{3}UNEPによる協力組織の形成
 既存の砂漠化防止研究ネットワークに関する調査及び評価を、UNEPが他の国際機関等との協力組織を形成し、実施することとされた。
(5)次回締約国会合の開催等
 砂漠化防止条約第2回締約国会議(COP2)については、アフリカのセネガルが開催国となることが承認された。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長:小林  光(6740)
 調整官:関 荘一郎(6765)
 補 佐:島田 幸司(6737)